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【AMDチップセットマザーボードレビュー第13回】

唯一無二の最上位マザーボード、ASUS「ROG Zenith II Extreme Alpha」は個性を極めたい人にオススメ!(2/2)

文● 石川ひさよし 編集● AMD HEROES編集部

ついに90AのMOSFETを採用
さらにCPU用電源端子はEPS12V×2+6ピンPCI-E

ROG上位モデルとなれば電源回路設計も通常モデルと異なり、高級な部品を潤沢に使用している。TRX40マザーボード自体、かなりCPUの電源要求が高いために高級部品中心となるが、ROG Zenith II Extreme Alphaはその中でも最先端と言えるかもしれない。そもそもROG Zenith II Extremeというベースモデルがあり、ROG Zenith II Extreme Alphaはその電源回路強化版という位置づけだからだ。

CPU電源回路などソケット周辺のレイアウト

電源フェーズ数は16。これはほかのTRX40マザーボードと同じだ。TRX40マザーボードではソケットと左右メモリの上のスペースにCPU電源回路を配置するため、この幅以上の余裕がなく16フェーズが実質的に上限となっており、これはROG Zenith II Extreme Alphaも同じということになる。

PWMコントローラはASUSTeKの「Digi+」。基板上をいくら探しても見つからないと思ったら裏面に実装されていた。型番は「ASP1405I」。これ一つしか見当たらないため、16ch対応のPWMコントローラと思われる。

PWMコントローラチップは基板の裏に実装。Digi+の「ASP1405I」

MOSFETはInfineon「TDA21490」。TDA21490はInfineonのサイトにもまだ掲載されておらずASUSTeKの製品サイトの情報に頼るしかない。それによるとTDA21490は90Aに対応したInfineon PowerStageシリーズとのこと。これまでTRX40マザーボードで見てきたInfineon TDA21472 OptiMOS Powerstageは70Aまでの対応。TDA21490はさらに大電流をサポートできるMOSFETということになる。

nfineonの「TDA21490」

MOSFETの下流にあるチョークも独特だ。立方体の一つの角だけを落としたいびつだがインパクトあるデザインのチョークはMicroFine合金製とされる。45A対応品で放熱効果にも優れるというのが特長だ。そしてASUSTeKのTRX40マザーボードの特徴だが、MOSFETやチョーク、フェーズ数に対してそれに対となるコンデンサの数が少ない。この固体コンデンサも、耐久性1万時間の日本メーカー製とされている。

これらCPU電源回路に電力を供給するコネクタは、TRX40マザーボードで一般的なEPS12V×2に加え、6ピンPCI Express補助電源端子と互換の端子を搭載している。PCI Express 6ピン自体75Wの供給が可能なので、EPS12V×2の製品と比べてOC時の電力供給にこれだけの余裕があることを意味している。

基板右上にEPS12V×2とCPU用の補助として6ピンPCI Express補助電源コネクタ。ATX24ピンと並んで端子の密度がすさまじい

つぎはCPU電源回路、およびチップセット等を冷却するヒートシンクを見ていこう。CPU電源回路用のヒートシンク自体はVRMの上、バックパネルの手前という2箇所。サウンド回路部分もカバーされているが、これは別体となっていた。上記の2辺に関してはヒートパイプで結ばれた格好。基本的にはソリッドタイプのものだが重量はかなりある。また、VRM部分のヒートシンク上には小径ファン×2が搭載されアクティブクーリングする。小径ファンに関しては寿命が6万時間の高耐久ベアリングを採用しているとのこと。

VRM部分のヒートシンク上には小径ファンが2基搭載されている。カバーが取り付けられているのでブレードに触れるような危険はない

バックパネル手前のヒートシンクカバー上には「LivwDash Color OLED」を備えている。これは情報表示パネルのようなもの。ロゴを表示させることも可能だが、起動時ならPOST、起動後はCPUの温度や周波数、各部の温度、ファンの回転数のほか、BIOSアップデート時にその進行状況を表示することもできる。

バックパネルの手前のヒートシンクカバーに「LivwDash Color OLED」があり、ここでちょっとした便利な情報を表示できる

チップセットヒートシンクは、大口径ファン1基を備える。鏡面のパネルの内側にELパネルと思われる発光素子を仕込んでおり、通電時にはここが発光する。排気口はPCI Express側を向いており、ビデオカードの下という対流の少ない部分のエアフローを向上させたり、その付近のM.2スロットに対しても冷却を助ける効果が見込めそうだ。

第3世代Threadripperで究極のシステム実現を助けるさまざまな機能たち

豊富な機能はほかにも見られる。とくにバンドルという点では「Fan Extension Card II」も挙げられる。これはマザーボードと接続することで6つのPWMファン用4ピン端子と3つの温度センサー用端子、3つのAURA対応のRGB LEDヘッダを追加できるものだ。もちろんマザーボード用ユーティリティと連携できるので、柔軟な冷却、センサーによる制御やステータス監視などが可能だ。

「Fan Extension Card II」が付属。ファンに関してはマザーボード上の4ピン×4とこのカードの4ピン×6を足せばシステムに十分な数を確保できる

ハイエンドのROG Zenith II Extreme Alphaは当然、本格水冷も視野に入る。本格水冷では場合によってVRMヒートシンクを外し、CPU周辺部分を広くカバーできる大型水枕を付けることもある。おそらくそうした超本格的水冷ヘッドで利用されるだろう端子が「ウォーターブロックヘッダー」だ。そもそもVRMヒートシンクの下にあるので、おそらくヒートシンクを取り外さないことには装着が難しい。ウォーターブロックの流量や温度、漏れデータを取得することができるという。

VRMヒートシンク下にある「ウォーターブロックヘッダー」

また、マザーボード右下には電源スイッチ等さまざまな機能が実装されており、ここには本格水冷用の温度センサー×2基や流量計用ヘッダーがある。ほか、水冷ポンプ用に設けられた4ピンPWM端子は、3A以上の給電も可能な専用ヘッダー仕様とされている。水冷向けの設計はこのようにかなり徹底されているので、そうしたシステムを構築したい方はポイントになるだろう。

右下に水冷用温度センサー×2、中央上寄りに流量計用センサー端子、そして3A以上の出力にも対応したポンプ用PWMヘッダーなど

電源ボタンに触れたところで、その横にあるリセットボタンにも着目したい。電源ボタン横の黒いボタンには「FLEX KEY」と刻印されている。このFLEX KEYはリセットボタンにそのほかの機能を割り当てることができるものだ。その例として、Auraのライティング機能のON/OFF、セーフブートの有効化、BIOS侵入機能などが可能とされる。

確かにリセットボタンの使用頻度は低くなってきており、ケース側も電源ボタンのみとなっているものも増えてきた。ケースにリセットボタンがあり、その使用頻度が低いというならば、こうした機能に割り当てるのも便利かもしれない。

Flex Key機能でフロントパネルのリセットボタンにリセットとは別の機能を割り当てることができる

最後にサウンド。ROGマザーボードでは充実したサウンド機能「Supreme FX」も魅力の一つだ。まずコーデックはASUSTeKのカスタムチップ「S1220」を使用。これにESSのDAC「SABRE9018Q2C」、ニチコンのオーディオグレードのコンデンサを組み合わせている。加えてソフトウェアによるサウンド機能も豊富だ。おなじみの「Sonic Studio III」はもちろん、3Dサラウンド機能の「DTS:Sound Unbound」も利用可能。また、製品情報によれば、オーディオ回路用にスイッチングMOSFETを搭載しているとのこと。

ASUSTeKの「S1220」コーデックチップ

Realtek ALC4050Hも2つ搭載

ESS製DACの「SABRE9018Q2C」

ニチコンのオーディオコンデンサ

「豪華」それは見た目だけでなく唯一無二のシステムを作るための機能

ROG Zenith II Extreme AlphaのAlphaな部分は確かに電源回路にある。おそらくROG Zenith II Extremeの段階で製品として十分なものに仕上がっていたはずだ。MOSFETも70Aあれば十分な余裕がある。ただ、他社もハイエンドで同様の構成を採用した。Zenithと名乗る以上、他社を出し抜く必要があったのかもしれない。90AのMOSFETを搭載しマイナーチェンジしたといったあたりだろうか。

そのほかの機能面もとにかく豪華だ。DIMM.2をはじめ、LivwDash Color OLEDのように実用性を兼ね備えた演出もある。外見的に目立つものではないが、Fan Extension Card II、各種の水冷向け端子なども、ただのハイエンドを超える、個性的で唯一無二のシステムを組もうと望むユーザーには必見の機能だろう。


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