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「Radeon Software Adrenalin Edition」は、PCゲーマーのための新機能満載だった

文● 加藤勝明 編集●ジサトラ ハッチ

 2017年12月12日、AMDは同社製GPU向けのドライバー「Radeon Software」を大幅刷新した「Adrenalin Edition」を発表、同時に新ドライバーの提供が開始された。約2年前、同社はそれまで使っていた「Catalyst」ドライバを根本から作り直した「Crimson Edition」を発表済みだが、今回はこれの後継バージョンといえる。

 AMDはこれまでもドライバーのチューニングや最適化という側面に非常に心を砕いており、ベータ版ドライバーを積極的に提供する(NVIDIAの場合は特に指定しない限りWQHLドライバーが提示される)姿勢を見せていたが、Crimson Edition以降年1回のメジャーアップデートでさらに完成度を高める体制にシフトしたのだ。今回のAdrenalin EditionはCrimson以降の初メジャーアップデートにあたる。

 そこで今回はAdrenalin Editionにはどんな機能があり、どういうメリットがあるのかをチェックしてみたい。

Radeonを象徴する赤色をイメージさせる名称が付けられる模様。「Adrenalin」はホルモンではなくバラの品種を指している
すでにAMD公式サイトではAdrenalin Editionの提供が始まっている。対応GPUはGCN以降(R5/R7/R9 200シリーズ以降、HD 7000シリーズは7700より上のモデルに限定)、もしくは同アーキテクチャのGPUを内蔵したAPUとなっている
これまで通りデスクトップ上で右クリックし「Radeon設定」を選択することで設定ウインドウが開く。若干ボタンが増えた以外、従来のものと見分けはつかないだろう

 Adrenalin Editionの一番の見どころは、ゲーム中にホットキー[Alt+R」を押すことで展開される「Radeon Overlay」だ。従来のReLiveのホットキー[Alt+Z]を置き換える形になったものだが、単なるReLiveの制御だけでなく、スクリーンショットやパフォーマンス監視機能の呼び出し、さらにはFrame Target ControlやRadeon Chillといった省電力系の機能にアクセスすることができる。これまで設定を変えようと思ったらデスクトップに戻ってRadeon設定を……という無駄な操作が、ゲーム画面上で完結するようになったのだ。

 このRadeon Overlayを展開している最中はマウスの操作は完全に奪われてしまうが、キー操作はゲームに残っている。FPS系ゲームならRadeon Overlayを開いたら棒立ちになって撃たれ放題という訳ではなく、物陰に移動して隠れる程度のことができるのは評価すべきところだろう。

Radeon Overlayは標準で有効になっている。ホットキーを変更したい場合は「Radeon設定」内の「環境設定」で変更する
ゲーム中に[Alt+R」を押すと、画面右側からRadeon Overlayのコンソールが出現する。ゲームがウインドウまたはボーダーレスウインドウモード(左)とフルスクリーンモード(右)と、モードによってメニューが違うことに注意。この辺りは少々ツメが甘いと感じた。使用したゲームは「Assassin's Creed: Origins」

 この中で一番使うであろうと思われるのが録画機能「ReLive」関連のメニューだ。録画やストリーミングの開始・停止からインスタントリプレイの保存、スクリーンショットの保存といった機能にアクセスできる。画質を変更する機能がないのが残念だが、これまでのReLiveのコンソールよりもずっとわかりやすい。

ReLiveのページを開けば「インスタントリプレイの保存」を筆頭に、録画やスクリーンショットの保存などといったメニューが出てくる。録画やストリーミングはこのボタンを押しただけで起動する。停止するのも同じ手順で行なう
「設定」ページではマイクの音量やオーバーレイするWebカメラ画像(後述)の調整が可能。画質の調整ができないのは残念

 今回ReLiveにはライブ配信するゲーマーにとって便利な機能がいくつか搭載された。まずひとつめはWebカメラの画像をオーバーレイ表示する機能にクロマキー合成が加わったこと。これまでもWebカメラの映像をオーバーレイ表示はできたが、映像が四角く表示されるだけだった。

 今回はバックの色を指定することで、大抵のクロマキー用スクリーンに対応できる。この機能はCPU負荷も低めなので結構使い勝手もよい。ただ綺麗に切り抜かせるためには、若干の試行錯誤が必要となるだろう。

「Radeon設定」内の「ReLive」→「オーバーレイ」を開くと、Webカメラのクロマキー合成に関する項目にアクセスできる。「クロマキーの色」欄に示されている16進のカラーコードを変更すれば、抜き色の微妙な調整も可能だ
ちなみに「Radeon設定」→「ReLive」→「録画」で「別個のマイクトラック」を有効にしておくと、PCのマイクで拾った音が別のファイルとなって保存される。変なことを口走った時、あるいは編集で自分の声は後から付け加えたい時に役立つだろう
「ETS2」でReLiveのクロマキー機能を試したところ。クロマキーの強度を少し下げないと、こんな感じで顔の影の部分も切り抜かれてしまうようだ(筆者の背景に青バックを置いて検証)

 もうひとつはプレイ動画をストリーミングする際、チャット欄の内容を画面上に直接表示する機能だ。こうした機能は「OBS」などの配信ツールの機能として実装されていることが多かったが、Radeonユーザーなら標準ドライバーで利用できるというのがありがたい。ただし日本語のフォントが荒いなど、高品質とは言いがたい部分も残されている。

ReLiveで直接ストリーミング配信をするには、「Radeon設定」→「ReLive」→「ストリーミング」を開き、アカウント情報や画質などを予め設定しておく
「Assassin's Creed: Origins」でTwitch配信を試したところ。画面左上にチャット欄が表示されているのが分かるだろうか? テスト時の画質がフルHDだったせいか、フォントの輪郭にジャギーが出ており、あまり美しくないのが残念

 また、新規に追加された「パフォーマンスメトリクスの表示」機能を有効にすると、GPU温度やクロックといったRadeonの状態をゲーム画面に表示させておくことができる。これまでは、このようにPCの情報を表示するには「Afterburner」や「CAM」といった専用ツールが必要だったが、Adrenalin Editionではこれも不要になる。

 さらにこの機能を利用してフレームレートやGPU温度のログを保存する機能も備わっている。Radeonをパワーアップしたがフレームレートはどう変化したか、GPUの温度推移はどうなっているのか……といったデータを残せるのは非常にありがたい。

パフォーマンスメトリクス上に表示させたい項目やログの保存先、機能を有効化するホットキーの設定は「Radeon設定」→「ゲーム」→「パフォーマンス監視」で細かく指定できる
Radeon Overlayで「メトリックを表示」をオンにしよう。デフォルトでは画面右上にデータの一覧が表示される。記録を残す場合は「パフォーマンスロギングを開始」をオンにする
Radeon Overlayからでもパフォーマンスメトリクス内に表示する項目の取捨選択は可能だが、ログの保存先やホットキー変更といった細かい設定はできない
ログはCSV形式なのでExcel等の表計算アプリを利用すれば閲覧や分析が可能だ

 その他、Radeon Overlayからは画面の色味の変更やフレームレートターゲットコントロール、あるいはRadeon Chillの設定変更が実行できる。

軽いゲームなどでフレームレートが出すぎて電力を無駄に食うことがないようリミッターをかけるのが「FRTC」ことフレームレートターゲットコントロール。30〜300fpsの間で好きな値を指定しよう。ちなみにRadeon Chillとは排他利用となる
ゲーム画面の色温度などを変更できる機能も搭載。映像を出力する寸前で変更しているので、スクリーンショットを撮影しても色味が変わることはない
ゲームを操作していない時にCPUやGPUを休ませる「Radeon Chill」もRadeon Overlayから直接オン・オフしたりターゲットとなるフレームレートを変更することができる

 Adrenalin Editionのもうひとつの目玉機能はスマホとRadeon Softwareを連携させる「AMD Link」という機能だ。まずスマホ(iOS・Android)用の無償アプリを端末にインストールしておこう。

 その後Radeon設定を開き、AMD Linkに追加したい端末を登録する。両者をリンクするにはPCと端末の両方が同一のネットワーク(家庭内LAN)にあればよいという緩い縛りだが、アプリがクラッシュするなどのトラブルでAMD Linkから外れてしまうと、同一端末でも再び登録し直しとなる。QRコードをスマホのカメラで見れば即連携できるのでそれほど難しくないが、まだ安定性の面では改善の余地があるようだ。

AndroidならGoogle Play、iOSならApp StoreでAMD Linkを入手しておこう
スマホでAMD Linkを起動したら、画面の指示に従ってPCを操作する
PC側にQRコードが表示されたら、スマホのカメラをそれに向ければ登録完了となる
AMD Linkのメイン画面。下部のアイコンを左右にスワイプすることで、さまざまな機能にアクセスできる。ちなみに検証時のiOS版アプリは「ニュースフィード」を選択すると落ちるなど、まだ安定性がいまひとつの印象

 AMD Linkの目的は、Radeon Overlayの機能をスマホ側で肩代わりすること。具体的にはパフォーマンスメトリクスの表示やReLiveを利用した録画や配信の開始&停止、スクリーンショットの撮影、そして撮影したものをFacebookなどの外部サービスで共有する機能が搭載されている。特にReLive関係の機能は、スマホの画面をタップするだけで開始&停止できるので操作が煩わしくない。友人が横にいて録画の開始&停止を操作してもらう時でも、AMD Linkを使えばかなり楽になりそうだ。

 ただしスマホの画面をタップして0.5秒程度経過してからPCが反応するため、ベストなスクリーンショットを狙うような場合は、PC上でホットキーを叩いた方が早いだろう。

 ただ、この録画やスクリーンショット機能はRadeon OverlayやRadeon設定で「デスクトップを録画」機能をオンにしていないと使えなかった。本稿が掲載される時には修正されている可能性もあるが、もしReLiveまわりの機能がAMD Linkで使えない場合は「デスクトップを録画」の機能を有効にしておくことをオススメする。

最下部のアイコンをメーターのアイコンに合わせるとリンクしたPCのパフォーマンスメトリクスが表示される
最下部のアイコンを家の右隣のアイコンに合わせると、ReLiveを使った録画&配信機能となる。下から2段目にあらたなアイコンが表示されるが、アイコンの図柄をよく見ると「REC(録画)」「STR(ストリーミング)」と、機能ごとに分かれている。画面に配信中の映像が出れば最高だったが、贅沢は言うまい
スクリーンショット(SCR)は撮影すると画面にこのように表示される
写真のアイコンに合わせると撮影した動画やスクリーンショットのギャラリーが表示される。タップして選択したファイルをWeb上のサービスに直接投稿できるのは便利だ

 AMD Linkの投稿機能はスクリーンショットを気楽に投稿できる点はとても手軽だが、動画に関してはAMD LinkよりもRadeon設定を操作した方がいい印象だ。Radeon設定でもAMD Linkと似たようなギャラリーが表示されるが、動画に関しては簡単なトリミング編集が可能だからだ。丸上げしてもよいものはAMD Linkで、ちょっとトリミングしたい時はRadeon設定と使い分けるのがよいだろう。

「Radeon設定」の「接続」ボタンを押すと撮影済みのコンテンツ一覧が表示される。AMD Linkと同様に好きな項目を選んでYouTube等に投稿することが可能だ
Radeon設定で撮影済みの動画を開けば、簡単なトリミング編集もできる

 Radeon OverlayとAMD LinkがAdrenalin Editionにおける目玉機能といえるが、その他にも細かい部分で改善が入っている。例えばWattManプロファイルのインポート&エクスポート機能やVulkanにおけるReLiveの利用やフレームレートターゲットコントロール、Enhanced Syncに対応している。さらにこれまでゲーム側の対応が必須だったRadeon Chillが全タイトルに対応するなど、全体に完成度が上がっているようだ。

WattManプロファイルをカスタマイズした場合、その設定を外部ファイルに書き出したり、それを読み込んだりすることができる。ゲームで省電力化したい場合はもちろんだが、仮想通貨マイニングにおける電力効率チューニング時に役立つ機能だ

Radeon Overlayがとにかく使える

 以上でRadeon Software Adrenalin Editionの解説は終了だ。AMD Linkはまだ安定感や再リンクの手間の点でブラッシュアップは必要なものの、Radeon Overlayからパッと録画やスクリーンショットが撮れる機能は非常に便利。このあたりの洗練度はGeForceにないRadeonのメリットと言ってよいだろう。

 GeForce系の「Shadowplay Highlight」に相当する機能がないのが何とも歯がゆいが、ドライバーだけでここまで楽しませてくれるバージョンアップはそうあるものではない。RadeonユーザーならぜひAdrenalin Editionを導入することをオススメしたい。

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