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【AMDチップセットマザーボードレビュー第3回】

2万円台前半と高コスパでも特徴光るゲーミングマザーボード「X570 AORUS ELITE」レビュー (1/2)

文● 石川ひさよし 編集● AMD HEROES編集部

回路設計と部品選択は性能/コスト比の最適解!?

製品名:X570 AORUS ELITE (rev. 1.0)
メーカー:GIGABYTE
実売価格:2万2000円前後

 AMD X570とハイエンド第3世代RyzenでゲーミングPCというのがトレンドだ。高性能を求めつつ、しかしそこには予算という制限がある。ゲーミングなのだからビデオカードには手を抜けない。CPUもそれなりに性能が求められる。ところがマザーボードは同じチップセットでも安価なものから高級なものまでさまざまだ。

 GIGABYTEのX570 AORUS ELITE (rev. 1.0)(以下X570 AORUS ELITE)は、そうしたニーズにマッチする製品だろう。同社ゲーミングブランドの「AORUS」シリーズでありながら実売2万円台前半と、AMD X570マザーボードでは比較的手頃な価格だ。そんなこと言って、安価なマザーボードにAORUSを付けただけではないのかと疑う方もいるだろう。そうした疑念は無用だ。マザーボードの各部を見ていけば、安価に抑えつつもAORUSとしてのゲーミングスペックで譲らない部分が理解できる。

「X570 AORUS ELITE (rev. 1.0)」の主なスペック
対応ソケット Socket AM4
チップセット AMD X570
フォームファクター ATX
メモリースロット DDR4×4(最大128GB)
対応メモリークロック DDR4-4000(OC)~3300(OC)、DDR4-3200~2133
拡張スロット PCI Express 4.0 x16×2(x16/x4)、PCI Express 4.0 x1×2
ストレージインターフェース SATA3(6Gbps)×6、M.2(PCIe4.0x4/SATA3)×2
ネットワーク ギガビットLAN(Intel I211-AT)
サウンド 7.1ch HDオーディオ(Realtek ALC1200)
リアインターフェース USB3.2 Gen2 Type-A×2、USB3.2 Gen1 Type-A×4、USB 2.0×4、オーディオ端子×5、SPDIF端子×1、HDMI 2.0×1
M/B上インターフェース RGB LED 4ピンヘッダー×2、RGB LED 4ピンヘッダー×2、USB3.2Gen2 Type-Cヘッダー×1、USB3.2Gen1ヘッダー×2、USB2.0ヘッダー×2、Q-Flash Plusボタン×1など
シンプルに価格を抑えつつ、ゲーミング仕様をバランスよく盛り込んでいるX570 AORUS ELITE (rev. 1.0)

 X570 AORUS ELITEは、ゲーミングマザーボードとして見ればシンプルであることは確かだ。上位のゲーミングマザーボードのように、PCB基板全体を覆うような大面積のヒートシンクを搭載しているわけでもなし、LEDのハデな演出も少ない(LED用ピンヘッダーは豊富で、光らせたい方は自らカスタマイズすべしというスタンス)。

LEDは、I/Oカバー部分、オーディオ用のデジ/アナ分離回路部分2つの3箇所のみ。オーディオ回路部分は裏面も光が漏れるので多少の演出効果はあるが、全体的に大人しい
3ピン、4ピンのLED用ヘッダーがATX24ピン横とマザーボード下辺にあり、LED電飾を楽しみたい方はここを利用する
VRMヒートシンクと1番目のM.2スロットの間にCPUクーラーのLED用のヘッダーを搭載
LEDの制御はRGB Fusionから。マザーボード以外のLEDパーツも問題なく認識され、同期がとれる

 まずVRMのヒートシンク。上位モデルではヒートパイプで連結したものなどが見られるが、本製品はソケットの左と上が分離したソリッドタイプを採用している。同社のスタンダードモデルに見られるシンプルなものだ。一体化したものと比べると放熱の性能は少し劣ることは事実だろう。ただし、ヒートシンク自体の造形を複雑なものとすることで、空気と接する表面積を大きくする工夫が見られる。

VRMヒートシンクは複雑な造形で放熱面積を拡大したソリッドタイプ。左側と上側で完全に分かれている。なお、スタンダードモデルのX570 UDとデザイン的に近い

 また、VRMヒートシンクを外してみれば、安価なわりに12+2フェーズという豪華な回路設計であることが分かる。この価格帯でも本製品はデジタルPWMコントローラを採用。使用されているのはIntersil(ルネサス)「ISL69147」。AMDのSVI2仕様にて適合した製品とされる7フェーズPWMコントローラだ。

12+2フェーズ構成の回路を採用。なお、固体コンデンサは台湾メーカーのAPAQ製耐熱105℃長寿命品
デジタルPWMコントローラは、Intersil「ISL69147」を採用

 PWMコントローラの下流にはフェーズダブラーが用いられている。フェーズダブラーはIntersil「ISL6617」で、マザーボードのVRM部分の裏面に実装されている。ここで12+2フェーズ化される。さらに下流はDr.MOSを組み合わせている。Dr.MOSはVishay Intertechnology「SiC634」で、1チップあたり50Aの出力が可能だ。

Intersil「ISL6617」フェーズダブラーはマザーボードの裏面に実装
Vishay「SiC634」Dr.MOS
12+2フェーズの2フェーズ側はON SemiconductorのMOSFET「4C06N」と「4C10N」を組み合わせていた

 こうして見ると、ハイエンドモデルでよく見られるメーカーのチップとは異なるが、回路自体は手抜きをしていないことが分かる。チップコストを抑えつつ、信頼できる回路を組み上げたということだろう。実際、X570 AORUS ELITEのフェーズダブラーによる回路は、一般的なダブラーによる回路と比べて3%効率を上げ、87.9%を達成していると言う。この部分での発熱も抑えられるわけだ。

 GIGABYTEのPCB基板と言えば2オンス銅箔層の使用が特徴だ。その昔は「Ultra Durable」としてウリにしていたところでもある。PCBは複数の層を積層しているが、うちグラウンド(GND)の一面の層に銅を用い、熱をPCB全体に拡散させるというもの。これを2層用いることで放熱効果が高まると言う。

 もう一つ特徴的なのがPCI Express 4.0 x16スロットだろう。昨今のハイエンドビデオカードはヒートシンクの重量も増え、スロットにかかる負担が増えた。輸送時の衝撃などでここに負荷がかかり、スロットの信号線にダメージを受けるようなことも考えられる。そこで数年前から各社ともゲーミングモデルやハイエンドを中心にビデオカード用のx16スロットに金属カバーを装着している。ただ、金属カバーを被せただけでは強度という点で意味がない。GIGABYTEの場合は、カバーの左右、前中後、6箇所にアンカーを設け、PCBを貫通して裏からはんだ付けして強度を高めている。なお、ハイエンドモデルではマルチGPUも考慮し、複数のx16スロットにカバーを付けたものもあるが、X570 AORUS ELITEはビデオカード用の最上段のみだ。

ビデオカード用のPCI Express 4.0 x16スロットには金属カバーを被せ、アンカーを打つことで強度を上げている

 X570 AORUS ELITEの2番目のx16スロット(4.0 x4レーン固定)は一般的なスロットなのかというとそうでもない。よく見ると、x16スロットの前と後ろの2箇所にアンカーが打ち込まれている。こちらはカバーのようにスロット全体的なものではなく。樹脂製スロットを貫通する形だ。そしてPCBの裏側ではんだ付けされている。つまり、こちらも一般的なスロットと比べて重量のあるカードを装着しても問題ない。

2番目のPCI Express x16スロットはカバーなしだが、前後に太いアンカーを貫通させて強度を上げている

 拡張スロットに着目したところで、一つコスト抑制のポイントを挙げておこう。X570 AORUS ELITEはATXマザーボードだが、拡張スロットはx16スロットが2本、x1スロットが2本で、microATXと変わらない。拡張性を重視してATXを選ぶという方にとってはもしかしたら物足りないかもしれない。

総本数で数えれば、X570 AORUS ELITEの拡張スロットはmicroATX並み。ただし、一般的なゲーミングPCの構成ならほかのATXマザーボードと変わらない利用可能本数になるよう考慮されている

 ただし、AMD X570に第3世代Ryzenを組み合わせるならビデオカードは必須で、一般的な2スロット厚のカードを挿せば1番目のPCI Express x16スロット直下は利用できないし、その下も通常はエアフローを考慮して空けておくものだ。こう考えれば、利用可能なスロット数ならほかのマザーボードと変わらない。もちろんmicroATXよりも高い拡張性を実現することができる。

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