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【AMDチップセットマザーボードレビュー第7回】

安さは可能性! X570GTに見るコストを抑え安心を担保するBIOSTARのバランス感覚(2/2)

文● 石川ひさよし 編集● AMD HEROES編集部

安いだけではない!守るところは守る安心のための設計

コストを抑えた部分ばかり見てきたが、同社マイニング用マザーボードのように、安定動作、耐久性にも十分配慮されている。そうした妥協しないところも見ていきたい。

まずはPCI Express x16スロットカバー。「IRON SLOT PROTECTION」と、飾り気のない名前だが、他社と同様にスロットを覆い、PCB基板をアンカーで貫通させ裏面からハンダで固定する構造だ。アンカーは確認したところ4本。コスト重視のマザーボードにハイエンドGPUのビデオカードの組み合わせはレアかもしれないが、十分に対応できる。

スロットを覆い、アンカーで固定し補強する「IRON SLOT PROTECTION」

MicroATXであることもあり、拡張スロット自体少なめ。ただし、ビデオカードを搭載した後に残るPCI Express x1スロットは2基、どちらも利用できるレイアウトだ

M.2スロットはPCI Express x16とPCI Express x1スロットの間にある。2280サイズまでの対応。そしてほかでは見かけない高さのある固定ネジを採用している。浅いネジと違い、M.2カード装着時の取り付けやすさが各段によい

Serial ATAポートは4基と少なめ

メモリースロットは一般的な4本。32GB×4枚で128GBまで拡張できるがOCメモリーのサポートするクロックはやや低めだ

また、先に紹介した有線LAN部分だが、LANチップのRTL8111Hの横にシールドカバーされた「SUPER LAN」回路がある。これはサージ対策で、落雷などからLAN端子を介してマザーボード上部品へのダメージを抑える回路だ。内部については説明されていないが、安心材料の一つと言える。

そしてオーディオ回路。先のとおり出力が限られているのは残念だが、そのコンデンサは日本ケミコン製のオーディオグレード品が用いられている。耐熱85℃となっているので冷却は必要だが、それはVRM回路の構造などでもうお分かりだろう。

LANチップの横にある「SUPER LAN」回路がサージ対策として安心を高める

そしてオーディオ回路。先のとおり出力が限られているのは残念だが、そのコンデンサは日本ケミコン製のオーディオグレード品が用いられている。耐熱85℃となっているので冷却は必要だが、それはVRM回路の構造などでもうお分かりだろう。

オーディオ用コンデンサは日本ケミコン製のオーディオグレード品

最後にLEDについて言及しておこう。本製品は最近のマザーボードとしてはめずらしく、一切LEDイルミネーションを搭載していない。ここはうれしい選択と言えるだろう。ただし、まったく遊べないというわけではない。5V用12V用のRGB LED対応ヘッダーが用意されている。

ここにLEDストリップ接続すれば、LED電飾を楽しむことが可能だ。LEDの制御は、同社ユーティリティの「RACING GT EVO Utility」から行なう。RACING GT EVO UtilityはハードウェアモニタやOC、ファン回転数制御などを統合しており、他社同様にマザーボードをより詳細に活用するためのひととおりのことが可能だ。

12V LED用(4ピン)、5V LED用(3ピン)のヘッダーが用意されている

LED制御用と思われる2つのELAN「eKF5832」チップ

統合ユーティリティ「RACING GT EVO Utility」も利用可能

低価格だからこそ手軽に組めるし予算配分に自由度が増す

ここまで見てきたとおり、VRM回路は低コストのチップを用いて定格運用での安定動作を保証する最小限のものに、台湾製コンデンサやMOSFET、少し古めのオンボード機能向けチップや、端子数を絞るLED電飾非搭載など涙ぐましい努力でコストを引き下げているのがX570GTマザーボードの特徴だ。

一部のコスト抑制分は、代わりに耐久性や安心を高める設計に回しているところはよい。ここでバランスをとり、安さがとりえだけのマザーボードではないことを主張している。平均3万円前後のAMD X570マザーボードにおいて、2万円を切る本製品の価格は、浮いた予算をCPUやGPUに割り当てられる点で魅力的だ。

耐久性は実際に長期運用してみなければ分からないとはいえ、裏打ちはあるのでそこは安心してよいのではないだろう。この製品ではケース内エアフローに注意すべしという1点を守って自作PCの可能性を広げてみよう。


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