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物理64コアCPU「Threadripper 3990X」は自作PC市場に降臨した“巨人”だった(4/4)

加藤勝明(KTU) 編集●ジサトラ ハッチ/ASCII

※この記事はASCII.jpからの転載です(文中リンクはASCII.jpの記事に飛ぶことがあります)

エンコード系では条件次第

では動画エンコード系の結果もチェックしよう。まずは「Premiere Pro CC」を利用して作成した4K動画のシーケンス(約3分半)を「Media Encoder 2020」で1本の4K H.264動画にエンコードする。

しかし、このテストは、1本だけエンコードさせてもCPUはほとんど使ってくれない。そこで同じシーケンスに対し微妙にビットレートを変えて並列エンコードさせてみた。エンコード設定はグラフにある通り、75/80/85/90Mbpsである。

Media Encoder 2020」で1クリップずつH.264でエンコードさせた時のCPUの使われかた。負荷の強くかかっているコアが上半分(プロセッサーグループ0)に集中している

2本並列エンコードさせてもスカスカ感は変わらない

4本並列で動かすことで、ようやく片方のプロセッサーグループがほぼフルで使われるようになった

4本並列にエンコードさせるテストの様子。本来は1本の動画からYouTube用やBD用の動画を同時に出したい時に使う機能だが、今回はビットレートを少しだけ変えただけにとどめた。H.264しか試さなかったのは、H.265で同じことをやっても並列でエンコードしてくれなかったためである

「Media Encoder 2020」のエンコード時間。並列度とは同時にエンコードさせる動画の数を意味する。並列度4なら75~90Mbpsの動画4本が同時にエンコードされる

まず注目したいのは並列度1、つまり動画を1回だけエンコードする時だ。Threadripper 3990Xがコア数半分のThreadripper 3970Xに負けているが、これは前掲のスクリーンショットにある通りCPUを使っていないから。コア数が少なくてもクロックが高いThreadripper 3970Xの方が高速になるのは当然の話だ。

しかし、並列度2になるとその差は縮まり、並列度4になるとついに逆転する。  ただ並列度4でもCPUの半分程度は遊んでいる状態なので、プロセッサーグループの壁を越えるようなエンコーダーを使う、もしくはプロセッサーグループの壁のないOSを使わない限り、動画エンコード時間は劇的には改善しないのだ。

まとめ:Windowsが最大の壁

今回の検証はここまでだ。CGレンダリング系ベンチではすさまじいパワーを発揮できたThreadripper 3990Xだが、プロセッサーグループの壁を越えられないエンコード系では3970Xに負けるという弱点が存在する。Threadripper 2990WXの時はCPUの設計も今ひとつ熟れてなかったためエンコードが遅かったが、3990Xでは純粋にOSが壁になっているのだ。Threadripper 3990Xはかなり使い手を選ぶCPUであることは間違いない。

今回の検証で触れられなかったその他のアプリ(RAW現像など)の結果や、プロセッサーグループの壁のないLinux環境によるパフォーマンス比較は、追って稿を改めて解説するとしよう。乞うご期待だ。


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