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【AMDチップセットマザーボードレビュー第15回】

Mini-ITXながら本格ゲーミング志向の高品質パーツを採用したASUS「ROG STRIX B450-I GAMING(2/2)

文● 石川ひさよし 編集● AMD HEROES編集部

AMD B450チップセットのMini-ITXとしては
かなりゲーミング寄り

そのほかにも耐久性重視の点として、PCI Express x16拡張スロットも挙げられる。ほかのメーカーのように5面を覆うタイプではなく、樹脂スロットの側面部分に挿し込む形の補強になるが、PCB基板を貫通して裏側からハンダで固定しているのは他社同様だ。ハイエンドビデオカードを装着した際の重みに対し、ソケット破損リスクを抑えている。

PCI Express x16拡張スロットを補強

PCI Express x16スロットに関しては、AMD B450の制約として、第3世代Ryzenを搭載したとしてもPCI Express 3.0駆動になる。ただし、現行世代で見ればRadeon RX 5700/5600シリーズのみがPCI Express 4.0に対応しており、それが帯域をフル活用しているかと言えばまだまだという印象。つまり、PCI Express 3.0駆動でもそこまで顕著な性能低下はない。その点では、コスト重視ならムリにAMD X570 Mini-ITXを目指す必要がない。

AMD X570搭載ゲーミングマザーボードでは当然でも、B450、しかもmicroATXやMini-ITXでは省かれがちなLEDも実装されている。発光部分はマザーボードの左端、基板裏にあたる部分で一列に並んでいる。LEDはむき出し状態で点として発光する。これを嫌うなら、たとえば3Dプリンタなどで乳白色のフィラメントを用いてカバーを作ってみると、雰囲気を変えられるだろう。

マザーボード左端に一列になってLEDが並ぶ

また、バックパネルの3つのオーディオ端子も発光する。上から青、緑、赤で決まっているようだ。ここは電飾と言うよりは背面にあってジャックを識別しやすくするためのものだ。

オーディオ端子部分にもLEDが仕込まれている

さらにLEDを追加する用途のLEDピンヘッダーも2種類搭載している。1つはRGB LED用、もう1つはARGB LED用。LED制御用に「AURA」チップも搭載している。

LEDテープ用の端子が2つ、RGB LED用/ARGB LED用が実装されている

LED制御用のAURAチップも搭載

オンボードオーディオもこだわりが見られる。Mini-ITXマザーボードは実装面積が限られるため、ゲーミングをうたうものでもコンデンサの数を減らすといった手法がとられることが多い。しかしROG STRIX B450-I GAMINGは、先にチップセットの箇所で言及したとおりオーディオ回路をサブ基板化することで、面積の問題を解決している。

オーディオ用サブ基板は、ほぼM.2 SSDと同じくらいの面積と思えばよい。端子部分を含めればM.2 22110あたりの大きさだろうか。やや後ろ寄りに同社独自のSupremeFX S1220チップを搭載し、その先の背面端子の手前には、ニチコンのオーディオ用コンデンサが4つ実装されている。現在のMini-ITXマザーボード用としては贅沢な回路と言える。

オーディオ回路のサブ基板

オーディオチップはSupremeFX S1220

ニチコンのオーディオグレードコンデンサを4つ搭載

ほか、ゲーミングPCらしいと言えば、追加の温度センサー用ヘッダーがある。

メモリースロットとUSB 2.0ヘッダーの間に4つのピンが見えるが、これは左下がCMOSクリア用の2ピン、右上が温度センサー用の2ピン

ファン/水冷ポンプ用の4ピンPWM端子は3つ。Mini-ITXでの端子数としては標準的

USB Type-Cはナシ
インターフェースは使用可否を要検討

バックパネルは比較的端子数少なめ

バックパネルを見ていこう。映像出力はHDMIのみ。ゲーミング向けなので、ほとんどのユーザーがビデオカードを搭載するだろうという思想だろうか。HDMI 2.0b対応なので解像度としては問題ないだろう。

USBに関しては、バックパネル側はUSB 3.2 Gen2×2、USB 3.2 Gen1×4がある。フロント側はUSB 3.2 Gen1×1、USB 2.0×1。ATXモデルほど豊富ではないが十分だろう。ただしUSB Type-Cは1つもない。どうしても利用したいという人はType-A→Type-C変換ケーブルなどを利用したい。

オンボード側USBヘッダーはUSB 3.1 Gen1×1、USB 2.0×1

LANチップはIntel i211ATギガビット・イーサネット。このあたりはゲーマー向けに信頼性の高いチップを採用している。合わせてWi-Fi 5対応無線LAN(Bluetooth 4.2対応)も搭載している。

Intel i211ATは基板裏に実装

ストレージでは、M.2スロットが2基、Serial ATA 3.0ポートが4基。M.2スロットはオーディオ基板と一体で表側がM.2_1、M.2_2は基板裏にある。

ほかの多くのMini-ITXマザーボードと同じだが、M.2_2にはヒートシンクがないことに加えて、基板裏ということでエアフローが難しい。加えてROG STRIX B450-I GAMINGのM.2_2はPCI Express接続専用で、PCI Express 3.0 x16スロットと同じ帯域をとる。PCI Express接続のSSDではコントローラの消費電力が大きく、発熱の大きなものもあるので要注意。

さらにPCI Expressの帯域シェアでは、ビデオカード側がPCI Express 3.0 x8接続になるのでゲーミング用でこのM.2_2を使うかどうかは悩ましいものがある。このあたりに関しては、Mini-ITXでもAMD X570を搭載するROG Strix X570-I Gamingでは帯域シェアをせず双方フルレーンが利用できるので、価格(実際には世代)とのトレードオフと言える。

基板裏、CPUソケットとPCI Express x16スロットの間の部分にM.2_2がある

Serial ATA 3.0×4はすべて垂直方向の端子だが、メモリースロットを挟んで2+2という実装レイアウト。メモリースロットの左側2ポートを利用する場合はケーブルの取り回しが必要で、通常よりも余裕のある長さがのぞましい。

2+2ポートに分割されたSerial ATA 3.0ポート。レイアウトからもMini-ITXサイズに機能を詰め込む苦労がうかがえる

AMD B450としては高価だがこだわりのゲーミングPCを作れる1枚

Mini-ITXでゲーミング、それもLED付きで正統派ゲーミングモデル狙いのユーザー向けという印象だ。何より電源回路やオーディオ回路はかなりのこだわりが見られ。AMD B450でありながらX570に限りなく近いようにも感じる。ただし、インターフェース部分、とくにUSB Type-Cナシ、M.2_2がゲーミングを追求すると実質的に使用不可といった具合に、トレードオフがあるので、組み立てプランをよく練る必要があるだろう。

そして価格。高品質に振ったあたりが価格にも反映されており、実はATX、microATXを含めたAMD B450チップセット搭載マザーボードの中でもっとも高価(執筆時点)だ。とはいえ、「小さなRyzenゲーミングPCを作りたい」という意志を持ち、信頼性の高いモデルを探しているユーザーには、一考の価値ありといえる製品だろう。


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