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【AMDチップセットマザーボードレビュー第16回】

第3世代Ryzen対応でコスパ良好、個性も演出できるASUS「TUF B450-PRO GAMING」(2/2)

文● 石川ひさよし 編集● AMD HEROES編集部

安価でもここは重要というところに「TUF設計」

耐久性向けの設計としては、PCI Express x16スロットのASUS SafeSlot、LANポートやUSB、映像出力端子に採用されているESDガードなどがある。SafeSlotは重量級ビデオカードの重み、ビデオカード着脱時にラッチが引っかかるような場合のソケット破損を抑えてくれる。

金属カバー部分は、PCB基板を貫通して基板裏からはんだ付けで固定されている。B450マザーボードでコストを抑えつつ、ハイエンドビデオカードに予算を回すような自作プランではとくに重要になるポイントだ。

ビデオカード用のPCI Express x16スロットには、金属カバーASUS SafeSlotを装備

下のESDガードは、着脱機会の多いバックパネルの各端子で、その着脱時に静電気が起きたとしてもある程度コンポーネントの損傷を防いでくれる設計だ。分かりやすいのがTUF刻印の施されたLANポート用のESDガード。そのほかにも各端子の周辺に小さなチップがあり、ここが空中放電±10kV、接触放電±6kVまで耐えてくれる。

静電気による損傷を防ぐESDガード設計がバックパネル各端子に施されている

そのほか、オーディオチップにもカバーが装着されている。このグレードの製品でも採用例はあるので珍しいものではなく、どの程度シールド効果があるのかも難しいところだが、いわゆるハイエンド・オーディオでは当たり前のものがしっかり採用されているという点で重要だ。

オーディオ回路部分は定番のデジタル/アナログ分離基板に加え、コーデックチップにカバーをつけている

オーディオ用コンデンサはELNA製

旧チップセットならではの制限もあり。拡張性重視の場合は要チェック

B450マザーボードは安価ではあるが、最新チップセットではないため注意点もある。最も大きいのが、チップセット側のPCI Expressのバージョンが2.0に制限されるところだ。TUF B450-PRO GAMINGで見ると、PCI Express x16(x4側)やPCI Express x1スロット、2番目のM.2スロットだ。

拡張スロットやM.2スロットなど、チップセットから先の部分の帯域にはB450ならではの制限もある

現在の主流はPCI Express 3.0用拡張スロットやPCI Express 3.0 x4 NVMe SSDなど。これらを本製品のPCI Express 2.0接続のスロットに装着すると、動作はするものの動作モードがPCI Express 2.0になるので、製品本来の転送速度が利用できない。

たとえば、M.2 #2にデータ用のSSDを搭載する場合、まず本製品のM.2 #2はSerial ATA非対応なのでPCI Express NVMe SSD以外に選択肢がなく、それでいて将来的なマザーボードの入れ替えを検討しているのでもなければ、高速なNVMe SSDを選んでも宝の持ち腐れになる。

M.2スロットは2つ。PCI Express 3.0 x4/Serial ATA 3.0対応の#1スロット、PCI Express 2.0 x4対応の#2スロット。#1スロットは22110サイズにも対応している

高速SSDはシステムドライブのみでよいという徹底した低コスト志向ならば、AMD B450マザーボードでも問題ない。ただし、将来的なアップグレードをすでに検討しているような場合では悩ましい。ここがB450マザーボードと最新のB550マザーボードとを比べて考えなければならないところだ。

そこでもう一度本製品のストレージを確認しよう。まずM.2スロットが2つあるが、1つはCPU直結側でPCI Express 3.0 x4(搭載するCPUに依存する)またはSerial ATA 3.0対応スロット、もう1つがチップセット側に接続されたPCI Express 2.0 x4対応スロットだ。

Serial ATA 3.0ポートは6ポート。水平2+垂直4ポートに分かれている

従来ながらのSerial ATA 3.0ポートは6つ。2つは水平方向にケーブルを接続できる形状で、デザイン的に凹んだ部分にあるため、裏面配線可能なケースと組み合わせれば通常のものよりも少しケーブルを目立たなくできる。

もう4ポートは垂直方向にケーブルを接続する一般的な形状。マザーボードをケースに組み込んだ後でも着脱しやすく、安価なマザーボードではこちらのほうを採用するものが多い。この2種のコンビネーションによって使い勝手をよくしているのがTUF B450-PRO GAMINGのポイントだ。

USBに関してはUSB 3.2 Gen2 Type-Aは搭載している。さすがにより高速なGen2 x2やフロント用のUSB 3.2 Gen2ヘッダーはなく、1ポート搭載しているType-CはUSB 3.2 Gen1(5Gbps)までだ。このあたりは多少古めの設計になる。

このほか、実際の検証はできていないが、OCメモリのサポートや最大メモリ容量にも注意が必要だ。コスパマザーでOCを実践する方はそこまで多くないとしても、メモリの増設などは将来的に機会がありそうなところ。サポートされているのは16GBモジュール×4枚までで、32GBモジュール×4枚は非サポートになるので要注意だ。

ファン用端子が多いのもTUFの特徴で本製品は5つ。PCI Express x16スロットの上に2つ、CPUソケットとメモリの間に2つ、そして右下フロントファン用に1つ

やはりTUF B450-PRO GAMINGのタフなところがイチオシ!

TUF B450-PRO GAMINGの特徴を交えながら、最新のB550チップセット搭載マザーボードではなく、コスパ重視のB450チップセットを選ぶ際の注意点も合わせて紹介してきた。

デメリットとして挙げたチップセット側PCI Expressが2.0である点であるが、全方位のハイエンドを目指したいニーズには少し合わないかもしれない。ほかにも、次世代CPUがサポートされるのか(同じソケットAM4でも、あまりにも古い設計ではBIOSや回路的にサポート外になることもある)という予測できないところもあるので、将来的なアップグレードを考える面でのリスクもある。

とはいえ、AMDのソケットAM4は、形状として長期サポートされているために、旧チップセットと最新CPUという組み合わせが可能なところが魅力ではある。その上で、旧チップセット搭載モデルであるなら、同じチップセット、同じ価格帯でもTUF B450-PRO GAMINGのように回路設計/価格比で1つ抜きん出たモデルは、より安心感が高いと言っていいだろう。第3世代Ryzenを動かすうえで、コスパを重視したいという用途にはマッチした製品だ。


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