AMD HEROES

twitter
facebook
line

【AMDチップセットマザーボードレビュー第31回】

コスパ重視でもゲーミング向け機能はしっかり押さえたASRock「B550M Phantom Gaming 4」(2/2)

文● 石川ひさよし 編集● AMD HEROES編集部

Steel Legendをシュリンクした電源回路設計

電源回路はシンプルなデザインだが8フェーズ構成。コンポーネントはこの価格帯の製品でよく見る組み合わせだ。まず電源コネクタはEPS12V×1基のみ。定格運用では問題ないが、出力的にOCはあまり考慮されていない。とはいえ、このグレードの製品で大幅なOCを試みる人も少ないだろう。

電源回路は8フェーズ

コネクタはEPS12V×1

PWMコントローラはuPI Semiconductorの「uP9505S」。これにフェーズダブラーの「uP1961S」を介しSinopower「SM4336」と「SM4337」というハイサイド/ローサイドのMOSFETを組み合わせている。フェーズダブラーが異なるが、おおむね同社Steel Legendなどのシリーズとほぼ同じ構成で、8フェーズにシュリンクしている印象だ。

PWMコントローラはuPI Semiconductorの「uP9505S」

マザーボード裏面にはフェーズダブラーのuPI「uP1961S」

MOSFETはSinopower「SM4336」と「SM4337」のセット

チョークコイルは50A対応とされているが、上位モデルのようにメタル外装ではなくよくある見た目のもの。コンデンサも、メーカー不明で一般的なグレードのもののように見える。

VRMヒートシンクはCPU側と見られるソケット左側6フェーズのみで、非常にシンプルだ。また、発熱の小さいAMD B550だからということもあるが、チップセットヒートシンクもASRockロゴが付いたかなりシンプルなものを搭載している。

チップセットヒートシンクも非常にシンプル

このように、電源回路の供給量は定格運用を前提としており、ヒートシンクのサイズ的に積極的に冷却することが前提であるように思える。この製品で自作をする場合にお手本になるのがエントリーグレードのBTOゲーミングPCだ。ファン回転数がそこそこ高めのエアフロー重視で設計されることが多い。

もちろん、B550M Phantom Gaming 4は製品として問題のない熱設計だが、より長く使いたいならば、窒息系PCケースや静音重視のファン回転数設定は避けたほうがよいだろう。

インターフェースは「将来よりもイマ!」

バックパネルを見れば分かるとおり、インターフェースも最小限という印象だ。USB 3.2 Gen2は非搭載で、USB 3.2 Gen1×4、USB 2.0×2のみ。PS/2はゲーミング用途も想定されるが、どちらかと言えばレガシーな環境への対応という意味合いのほうが強いように思える。

そしてオーディオに関してはコーデックチップがRealtek「ALC887」ということもあり、端子が3つのみ、S/PDIFは非搭載となっている。それでも映像出力にはHDMIとDisplayPortを備えている。HDMIがあれば変換ケーブルも豊富なので大半はカバーできるが、一部DisplayPortのみというディスプレーもあるので、DisplayPort端子があるところは便利だ。

バックパネルは簡素。映像出力はHDMI、DisplayPortを両方搭載している

オーディオコーデックチップはRealtek「ALC887」

ネットワークは1GbE有線LANのみ。チップはPCI Express接続のRealtek「RTL8111H」が採用されている。マザーボードではアッパーミドルクラス程度の製品まで2.5GbE対応が進んでいるが、肝心の2.5GbEハブなどがそこまで普及していない。まだまだ1GbEで大丈夫というのであれば、この製品で問題なくあと数年間利用できるだろう。

1GbEチップのRealtek「RTL8111H」

このように追加の機能はかなり絞り込まれているが、ゲーミングマザーボードとしてこれは外せなかったのだろうというのがLEDヘッダー。RGB LED用、アドレサブルLED用がそれぞれ2つずつ実装されている。Polychrome Syncに対応しており、PCケースやファンなどのLED演出を同期させることも可能だ。

LEDヘッダーはあり。それもほかのゲーミングマザーボード同様、RGB LED用、アドレサブルLED用が各2基だ

コストパフォーマンス重視だが
ゲームに求められる拡張性は押さえた作り

B550M Phantom Gaming 4は、ゲーミングを主眼に置きつつ大胆にコストを抑えたマザーボードだ。マザーボードでコストを抑えると言えば先進機能の非搭載だが、本製品の場合はMicroATXである点も考慮しつつ、本来サポートされているUSB 3.2 Gen2も非搭載としているため、将来を考えて選びたい。今はまだUSB 3.2 Gen2が普及しているとまではいっていないが、将来普及した時はPCの買い換えか拡張カードによる追加搭載が必要になるだろう。

とは言え、コストパフォーマンスはすばらしい。妥協のないメモリスロットが4本、M.2スロットが2基といったスペックは、現環境でプレイするための低コストゲーミングPC自作の選択肢として検討の価値ありだ。AMD B550チップセットでもAMD Smart Access Memory(SMA)がサポートされたので、旧世代環境からのアップグレードとしても見逃せない。


関連サイト

この記事もおすすめ

PAGE TOP