「Athlon 200GE」はZenベースのCPUコアと、VegaベースのGPUコアというAMDの最新アーキテクチャーを組み合わせたローエンド帯のSocket AM4プラットフォーム向けとして投入されたAPUだ。
Athlonと言えば、1999年〜2000年台前半にインテルのPentiumと真っ向勝負していたAMD x86アーキテクチャーCPUだ。今回の「Athlon 200GE」は、2014年にKabiniコア採用APUに次いで、4年ぶりにその名が冠されたCPUとなる。
スペックは、ローエンドモデルらしく2コア4スレッド、動作クロック3.2GHzと高いとは言えないが、ブラウジングや動画、音楽を楽しんだり、ライトゲームをプレイしたりといったライトユースには十分なパフォーマンスを備えている。それでいて実売価格は、インテルのPentiumシリーズを下回る、7000円アンダーと魅力ある価格を実現している。
基本となるCPUパフォーマンスに不満なし
7000円前後という魅力的な価格を実現する「Athlon 200GE」だが、気になるのは、そのパフォーマンス。特にPC使用時間の大半を占めることになる日常作業系のCPUパフォーマンスは、ライトユースでは重要ポイントだ。
インテルのローエンドCPUで、9000円前後の「Pentium Gold G5500」(2コア4スレッド、3.8GHz)と比較した加藤勝明氏のレビュー記事【「Athlon 200GE」はPentiumにGPU性能で勝るライトユースの決定版だ】から幾つか抜粋してみると、そのパフォーマンスは同等といった感じになっている。
まずは、すべての動作のベースとなるCPUパフォーマンスを「CINEBENCH R15」と「PCMark10」のExtended Testの結果から見ていこう。
コアとスレッド数は同じだが、Athlon 200GEより600MHz高いクロックで動作するPentium Gold G5500が、概ね優位なスコアーになっており、定番の「CINEBENCH R15」ではZenアーキテクチャで、クロックが低いこともあり、マルチスレッドで約11%遅くなっている。
システム全体のパフォーマンスを計測する「PCMark10」でも、Pentiumの高い動作クロックが効いているが、Extended Testの総合スコアーは互角になっており、Essentialsテストなど、各テストではAthlon 200GEが圧勝または僅差となっているテストも見受けられる。
また、日常作業のEssentials、表計算や文書作成といったオフィス系作業のProductivity、映像、写真の編集系作業のDigital Contents Creadtionの1,000円あたりのスコアーを求めてみると、Athlon 200GEが約1.2倍高スコアーと、コストパフォーマンス面はAthlon 200GEが優秀になっている。
Athlon 200GEとPentium Gold G5500のスコアー比較 | ||
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Athlon 200GE | Pentium Gold G5500 | |
PCMark10 Extended Test | 7000円前後 | 9200円前後 |
Essentials | 7027 | 7655 |
1000円あたりのスコアー | 1003.86 | 832.07 |
Productivity | 5912 | 6344 |
1000円あたりのスコアー | 844.57 | 689.57 |
Digital Contets Creation | 2398 | 2437 |
1000円あたりのスコアー | 342.57 | 264.89 |
3DパフォーマンスもG5500より高い!
続いては、定番の3Dベンチマーク「3DMark」のスコアーを見ていこう。
GPUパフォーマンスが重視されるSky Diver、Fire Strikeといったテストでは、CPUの動作クロック差をものともせずに、Athlon 200GEが勝利している。
圧勝というわけではないが、Athlon 200GEはCPUパフォーマンス、GPUパフォーマンス、コストのバランスが抜群であることが分かる。メールやインターネット検索、ウェブ動画視聴、軽いゲームのプレイまで、マルチかつライトに使えるPCにベストと言えるだろう。
SSD&16GBメモリー搭載で5万円台前半!
ライトユースに十分なパフォーマンスと抜群のコストパフォーマンスを備える「Athlon 200GE」。使用できるPCI-Express 3.0のレーン数が10レーンで、グラフィックスボードが“x4”、NVMe M.2は“x2”接続になるといったローエンドモデルならではの制限はあるが、アキバのパーツショップを巡れば、日常作業やライトゲームをサクサクと動かせる480GB SSDやDDR4-2666動作の16GBメインメモリーを搭載するPC構成を5万円台前半で組むことができる。
Windows 10 Homeや24インチクラスのフルHD液晶ディスプレーを含めても、9万円あれば余裕でお釣りが来るので、初めてのPC自作やお子様向けのPCにも最適となっている。
コスト重視のオススメ構成 | ||
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CPU | AMD「Athlon 200GE」(2コア/4スレッド、定格3.2GHz) | 7000円前後 |
メモリー | Essencore「IM48GU88N26-GIIHA2」(DDR4-2666 8GB×2) | 1万6000円前後 |
マザーボード | ASRock「B450M Pro4」(B450、Micro ATX) | 9500円前後 |
SSD | Essencore(KLeVV)「D480GAA-N500」(480GB、2.5インチ SATA3) | 8500円前後 |
PCケース | Thermaltake「Versa H26」 | 4500円前後 |
電源ユニット | サイズ「剛短3 プラグイン SPGT3-500P」 | 5500円前後 |
総額 | 5万1000円前後 |
+6000円でコンパクトなライトゲーミングPCも組める!
コストとパフォーマンスを重視したおすすめ構成のマザーボードとPCケースを変更するだけで、小型PCを作ることもできる。組み立て難易度は大きくアップするが、コストアップは、わずか6000円なので狙い目だ。
小型PCオススメ構成 | ||
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CPU | AMD「Athlon 200GE」(2コア/4スレッド、定格3.2GHz) | 7000円前後 |
メモリー | Essencore「IM48GU88N26-GIIHA2」(DDR4-2666 8GB×2) | 1万6000円前後 |
マザーボード | MSI「B450I GAMING PLUS AC」(B450、Mini-ITX) | 1万4500円前後 |
SSD | Essencore(KLeVV)「D480GAA-N500」(480GB、2.5インチ SATA3) | 8500円前後 |
PCケース | RAIJINTEK「METIS PLUS」(Mini-ITXケース) | 5500円前後 |
電源ユニット | サイズ「剛短3 プラグイン SPGT3-500P」 | 5500円前後 |
総額 | 5万7000円前後 |
+αの機能もあるAthlon 200GE構成に注目だ
Athlon 200GEは日常作業を含め、数値的にはPentium Gold G5500と劇的な差は見られないが、AMD CPUならではのOSのキビキビとした動作は健在だ。3D Markのスコアーもよく、ライトなゲームを楽しむにもオススメできる。
そのうえAthlon 200GEは、Ryzen Gシリーズと同じく、秒間24フレームや30フレームの映像を60フレームに補完、再生するAMD独自映像補完技術「Fluid Motion Video」(以下:Fluid Motion)を使用できた。BDドライブ&「Power DVD」を組み合わせて、効果絶大なアニメ作品を美麗&滑らかな動きの映像で満喫することも可能だ。
この秋冬にコストを抑えつつ、日常作業やライトゲームを快適に楽しみたいPCを組むなら、Athlon 200GEでキマリだろう。
「Bluesky Frame Rate Converter」を使うことで、Fluid Motionを有効にできる