個人事業主はもちろん、会社勤めの人でも副業の副収入が20万円以上を超えると確定申告が必要だ。
確定申告では、収入から経費を引いた金額が所得税の課税対象になるので、金額の大きなモノから処理するのがコツ。仕事で使う大きな買い物といえば、パソコンやストレージ、カメラなどのデジタル機器。
文房具や通信費などわずかな金額のレシートを記帳するのは面倒でも、十万単位の高額商品なら1つで大きな節税効果になる。ここは抜かりなく処理したい。
しかし、これらの機材は何年か継続して使えるものなので、一般の経費ではなく、その固定資産(機材)が使用できる期間にわたって費用配分する手続き「減価償却」の対象になる。
その計算方法は、金額によって変わってくる。ここでは、取得金額が1)10万円未満、2)10万円以上~20万円未満、3)20万円以上――のケースで処理方法を説明しよう。
ケース1●10万円未満の場合
10万円未満であれば、品目を問わず、消耗品費として経費計上できる。注意したいのは、自作PCの場合、各パーツが10万円未満であっても、全体の合計が10万円を超えていたら減価償却の対象になるという点。内蔵/外付けを問わず、PC本体にキーボードや外付けのディスプレーを追加した場合も、一式の合計金額で考えるのがポイントだ。
ケース2●10万円以上~20万円未満
ハイスペックスマホやスタンダードPCなどはこの価格帯だ。この金額の範囲であれば、品目に関わらず「一括償却資産」として、3年間で減価償却することができる。パソコン一式の費用が18万円だとすると、毎年6万円ずつ単純に分割して計上すればOKだ。
ケース3●20万円以上
減価償却では、国税庁の定めた法定耐用年数で分割して経費に計上していく。パソコンの法定耐用年数は4年だ。というと、減価償却費は「取得金額÷4」で簡単に計算できそうだが、年の途中で購入・使い始めた場合は月割になり、「取得金額÷4×その年に使った月数÷12」という計算になる。つまりタイミングよく1月に購入したのでなければ、償却し終えるまで5年間がかかることになる。
例えば、AMD Ryzen 7 2700XとRadeon RX Vega 64を搭載したミドルタワーゲームPC「LEVEL-R0X4-R72X-VSVI-PGB [Windows 10 Home]」(税込み21万8138円)を2018年9月に購入した場合の減価償却費は、
2018年 21万8138円÷4×4÷12=1万8178円
2019年 21万8138円÷4=5万4535円
2020年 21万8138円÷4=5万4535円
2021年 21万8138円÷4=5万4535円
2022年 21万8138円÷4×8÷12=3万6355円
となる(最終年は端数調整のため1円減算)。
なんと購入した年は、たった1万8千円しか経費にならないのだ。来年はどうなるかわからないし、できることなら支払った年の経費として処理したい。そこで、青色申告者向けの措置として「少額減価償却資産の特例」が用意されている。
●2020年の青色申告なら30万円未満を一括で経費計上できる!!
青色申告者には、30万円未満であれば、品目を問わず、一括でその年度に経費計上できる。先ほどの「LEVEL-R0X4-R72X-VSVI-PGB [Windows 10 Home]」を2018年9月に購入した例では、21万8138円全額を2018年分の減価償却費として処理できるのだ。
この特例は期間限定で、2020年3月31日までに取得したものが対象。しかし、2019年10月には消費税率のアップも予定されているので、PCの買い替えを考えているなら、早めに購入するのが得策だ。 なお、白色申告者の場合は、「少額減価償却資産の特例」は利用できない。
青色申告にすると、こうした特例のほか、最高65万円の控除などの節税メリットがある。2019年3月15日までに青色申告申請書を提出すれば、2020年提出分から青色申告に切り替えられるので、検討してみては。