■ゲームタイトル:聖剣伝説3 TRIALS of MANA
■メーカー名:スクウェア・エニックス
■価格情報:6578円(Steam価格)
■公式サイト:https://www.jp.square-enix.com/seiken3_tom/
「トライアングルストーリー」で紡がれる物語の妙が、
フル3Dリメイクで復活
1995年にスーパーファミコン用ソフトとして販売され、当時のRPGとしては珍しいアクション要素の強い戦闘システム、キャラクター育成に幅を持たせる「クラスチェンジ」、ゲーム開始時に6人のプレイアブルキャラクターのうち3人を選ぶことで、その組み合わせにより物語が変化する「トライアングルストーリー」など、独自の要素で人気を博した「聖剣伝説3」。
シリーズ中でも人気が高く、フルリメイクを待望する声も大きかった本作が、いよいよ25年の時を経て3Dリメイクを果たした。
ゲーム自体は3Dグラフィックスにリメイクされているものの、根幹となる主なシステムはオリジナル版を踏襲。さらに新要素「アビリティ」やエンディングを迎えた後に体験できる追加エピソード、新たなクラスチェンジ先「クラス4」が実装されるなど、オリジナル版をプレイしたユーザーにとっても挑戦しがいのある作品になっていると言えるだろう。
音楽についてはオリジナル版の全60曲をアレンジして収録しつつ、オリジナル音源への切り替え機能を用意。全体として1990年代のゲームらしさを残しつつ、より現代的に遊びやすいタイトルとしてブラッシュアップされている印象だ。
実際、テンポのよい進行やキャラクター造形には90年代らしい懐かしさが感じられるが、ゲームとしての根幹の面白さはまったく古びていないように思える。
本作の最大の特長であり、独特な面白さの大きな要因となっているのは、やはりオリジナル版から引き継がれた「トライアングルストーリー」だろう。前提として、一般的なRPGでは、ゲームの進行に従って仲間が追加されることでパーティーメンバーを入れ替えられたり、あるいはメンバーが入れ替わることで戦闘に幅を持たせるようなシステムが採用されがちだ。
本作はそうしたタイトルとまったく異なり、ゲーム開始時に全6人のプレイアブルキャラクターのうち1人を主人公、2人を仲間として選択する。その後メンバーの入れ替えはできないが、代わりにこの選択によりゲーム全体の進行がダイナミックに変化するのである。
キャラクターたちは、いずれもゲーム開始時に「マナ」の力を利用せんとする勢力の争いに巻き込まれており、必要に迫られて世界を旅することになる。別の国に自国を侵略された者、親しい人を謎の人物にさらわれた者、生まれ故郷で追われる身となった者など、その事情はさまざまだ。
「ナバール盗賊団」を追われた盗賊・ホークアイと、ナバール盗賊団に侵略を受けた風の王国ローラントの王女・リースのように、相互に因縁の深い出自のキャラクターを、同時にパーティーに加えることもできる。
プレイヤーは基本的には選択した主人公の立場から物語を追うわけだが、いずれのキャラクターを選択肢してもゲームのプロローグが異なるほか、仲間にした2人のキャラクターによっても、ゲーム中に訪れた場所での展開、出会った人との会話が変わってくる。
プレイしているだけで、自然と「この街に行くと、このキャラクターはどう反応するのだろう?」「このキャラクターを仲間にしていたら、この場面はどうなるのだろう?」といった想像が膨らんでくる上に、プレイヤーの想像力に訴えかけてくるゲーム展開も実に巧みだ。
ゲームの特性上、周回プレイで楽しみが増えるのも魅力のひとつと言えるだろう。初回プレイでは好きにキャラクターを選んで物語を楽しみ、2周目のプレイでは初回で仲間にしなかったキャラを加えたり、あえて因縁の深いメンバーを仲間に組み入れてみたりするのも楽しい。
余談だが、本作のリメイクに際してはクリア時のレベルを引き継いで最初から遊べる「強くてニューゲーム」機能があらたに実装されている。さまざまなメンバーの組み合わせを試しやすくなっているため、オリジナル版では周回をしなかったプレイヤーにとってもおすすめだ。