最新AMD環境でパフォーマンスチェック
人気バトルロイヤル系FPS「Apex Legends」も遂にシーズン2を迎え、ランクモードや新キャラ“ワトソン”等の新要素が追加された。
そこで現行AMD製プラットフォームでApex Legendsがどの程度快適に遊べるのか、さらにどの程度のスペックでなら今主流の144fpsプレイが可能なのか等を調べてみたい。
今ちょうどPC業界は第3世代Ryzenが凄まじい人気を集めており、数年ぶりにPCをRyzen環境に更新したという人も多い。本稿が第3世代RyzenでゲーミングPCを更新しようと考えている人の一助になれば幸いだ。
Apex Legendsを快適にプレイするスペック
Apex Legendsは最近のヒット作にしてはPCスペックに対する要求ラインが低い。公式による必要環境および推奨環境(下表、EA公式サイトから抜粋)をチェックしてみよう。
推奨環境では物理4コアのCPUと、2013年〜2014年の準ハイエンド〜ハイエンドGPUが挙げられている。後者のハードルが一見高そうだが、現行ミドルクラスのRadeon RX 590よりも低いのだ。
EA公式によるApex LegendsをプレイするためのPCスペック | ||
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推奨環境 | 必要環境 | |
CPU | Intel「Core i5-3560T」(4コア/4スレッド、3.4~3.8GHz)同等品 | AMD「FX-4350」(4コア/4スレッド、4.2~4.3GHz) / Intel「Core i3-6300」(2コア/4スレッド、3.8GHz) |
メモリー | 8GB | 6GB |
GPU | AMD「Raden R9 290」 / NVIDIA「GeForce GTX 970」 | AMD「Radeon HD 7730」 / NVIDIA「GeForce GT 640」 |
VRAM | 8GB | 1GB |
ストレージ | 22GB以上 | 22GB |
OS | Windows 7 64bit | Windows 7 64bit |
実際Apex LegendsのCPU占有率は非常に低く、物理6コアのRyzen 5であれば、裏で配信ツールを動かしていてもCPUパワーには十分余裕がある。
GPUも推奨環境を攻めるだけならそれほど強力なものは必要としないが、Apex LegendsやPUBG、Fortniteといったバトルロイヤル系ゲームでは、高リフレッシュレートのゲーミング液晶と組み合わせ、速い動きを見やすくするのが勝ちをたぐり寄せるためのノウハウとなっている。それを考えるとGPUに予算を割り振っておきたい。
だが高fpsでプレイする時はCPU側が効率的にゲームそのものの処理(描画用データの準備やネットワーク等の処理)をする必要があるので、第2世代以降のRyzenのようにシングルスレッドも速いCPUを準備する必要がある。
その他揃えておきたい要素としては、画面表示のモタつきやティアリングを防ぐためのFreeSync対応液晶も揃えておきたい。
最新AMD環境で
Apex Legendsの快適さをチェックする
では今回の検証環境を紹介しよう。CPUは第2・第3世代Ryzenの中から、物理6コアと8コアのモデルを準備した。今大人気の第3世代Ryzenと安くなった第2世代Ryzenで悩んでいる人はもちろんだが、Ryzen 5でGPUを格上にした方がよいのか、Ryzen 7まで頑張る方がよいのか等の判断もできるように配慮している。
また、ハイエンド好きには物理12コアのRyzen 9も気になるところだが、価格面から除外した(Apex Legendsで検証した記事はここを参照)。
またGPUは安めのゲーミングGPUとして人気のRadeon RX 570とRX 590に加え、最新のRX 5700XTおよび5700、そして5700よりやや下に位置するVega 56の5種類を準備した。
GPUドライバーはRX 5700シリーズ発売後にリリースされたRadeon Software Adrenalin 2019 Edition 19.7.1で統一している。
【検証環境】 | ||||
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CPU | AMD「Ryzen 7 3700X」(8コア/16スレッド、3.6~4.4GHz) | AMD「Ryzen 7 2700X」(8コア/16スレッド、3.7~4.3GHz) | AMD「Ryzen 5 3600X」(6コア/12スレッド、3.8~4.4GHz) | AMD「Ryzen 5 2600X」(6コア/12スレッド、3.6~4.2GHz) |
マザーボード | GIGABYTE「X570 AORUS MASTER」(AMD X570) | |||
メモリー | G.Skill「F4-3200C16D-16GTZRX」×2(CPU定格で運用、8GB×4) | |||
ビデオカード | AMD「Radeon RX 5700XTリファレンスカード」 AMD「Radeon RX 5700リファレンスカード」 AMD「Radeon RX Vega 56リファレンスカード」 ASRock「Phantom Gaming X Radeon RX590 8G OC」(Radeon RX 590) ASUS「ROG-STRIX-RX570-O4G-GAMING」(Radeon RX 570) |
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ストレージ | GIGABYTE「GP-ASM2NE6200TTTD」(NVMe M.2、2TB SSD、PCIe Gen.4対応) | |||
電源ユニット | Silverstone「ST85F-PT」(850W、80Plus Platinum) | |||
CPUクーラー | Corsair「H110i」 | |||
OS | Microsoft「Windows10 Pro 64bit版」(May 2019 Update) |
CPUの差はほとんどない
ではApex Legendsのトレーニング用ステージを利用したApex Legendsのパフォーマンス検証を始めよう。
画質はラグドール以外全項目を一番重くなるように設定し、解像度はフルHD・WQHD・4Kの3通りとし、一定のコースを移動した時のフレームレートを「OCAT」で測定した。
Apex Legendsのフレームレートが144fpsで上限がかけられているが、これを特に解除するような改変はしていない。
まずGPUの性能で眺めてみると、フルHD解像度ではRX 5700以上のGPUではフレームレートが頭打ちとなる。最高画質で144fpsプレイをしたいなら、RX 5700が最適といえる。
Vega 56に落とすと127fps前後まで下がるが、高リフレッシュレート液晶と組み合わせるならこれでも十分快適。
普通の(=リフレッシュレートが60Hz)液晶でプレイするなら、RX 570でも十分遊べるといったところだ。
次にCPUの違いを見てみると……驚くべきことにCPUの差は出ない。物理コア数が6でも8でも問題ないし、第2世代Ryzenでも十分なパフォーマンスを発揮する。強いて言えばキャッシュ搭載量も少なくクロックも微妙に低いRyzen 5 2600Xが微妙に低い値を出しやすい印象だが、誤差といって差し支えないレベルといえる。
解像度を1段あげたWQHD環境だと、上位CPUでも平均120fps前後に落ち込む。高リフレッシュレート液晶と組み合わせる場合はRX 5700以上でないとあまり意味がないだろう。
RX 570だと60fpsキープも難しくなるが、RX 590だとなんとかキープできている。WQHDプレイにこだわるのであれば、ボーダーラインはRX 590のすぐ下(RX 580あたり?)にあると考えてよいだろう。
そして解像度を挙げてもCPUの差は出てこない。Ryzen 5にした分GPUをRX 5700より上にするチョイスも有効だ。
4KになるとRX 5700XTでも60fpsをわずかに割り込みはじめる。4K&最高画質プレイの場合は、RX 5700XTでないと厳しい。この条件でもCPUのチョイスはフレームレートにほとんど影響を与えてないと分かる。
CPUはRyzen 5以上でOK
GPUは液晶に合わせてチョイスしよう
今回の検証で改めてわかったのは、Apex Legendsの処理にCPUのコア数はほとんど関係しない。第2世代Ryzenのパワーがあれば、6コアでも8コアでも変わらないのだ。
ただApex Legendsのプレイ動画を編集する等の使いみちも考えているなら、パワーのあるRyzen 7、特に第3世代のRyzen 7 3700X以上がおすすめなのは言うまでもない。特に動画を高画質でエンコードしたいなら、第3世代Ryzenのパワーは必携だ。
Apex Legendsの快適さを決めるのはGPUのチョイスだが、フルHD~WQHDで高リフレッシュレート液晶を使うならRX 5700または5700XTがベストチョイス。フルHD&60Hz液晶ならRX 570やRX 590にして予算を圧縮するという手もある。