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ゲームの快適度を大きく左右するフレームレートを上げるには、さまざまなアプローチがある。ビデオカード(GPU)をより高性能なものにすることやゲームの画質設定や解像度を下げて負荷を下げるなどは定番のアプローチといえる。だが、前者は出費を、後者はゲーム画面のクオリティー低下の負担ををどこまで我慢できるかにかかっている。
この傾向に大きな転機をもたらしたのはNVIDIAがTuring世代で投入した「DLSS(Deep Learning Super Sampling)」だ。一度低解像度でレンダリングし、その結果をAIの利用によりアップスケールして画面へ出力することで、画質の犠牲を抑えつつフレームレートも引き上げられる。
しかし、DLSSを利用するにはGeForce RTX 20/30シリーズにのみ搭載されるTensorコアが必須。Tensorコアを備えたGeForceはそれなりに高価であることに加え、Radeonを搭載したPCでは利用できないため、ゲーミングPCのビルドの幅を大幅に狭めてしまう。
一方、AMDが開発した“FSR”こと「AMD FidelityFX Super Resolution」は、Tensorコアのような専用のハードを必要とせず、エントリークラスのGPU(内蔵GPUも含まれる)でも利用できる技術である。6月23日に提供が開始され、同時に一部のゲームではFSR対応のアップデートも解禁。
そして先日、GitHubでソースコードが公開された。FSRは他のFidelityFX系技術と同様にオープンソースなプロジェクトであり、クローズドなDLSSに比べて将来性があるとAMDは謳っている。2021年7月下旬時点でのFSRは“FSR 1.0”となっており、今後バージョンが上がることで、さらに性能が向上する可能性もある。
FSRに関する基本的な技術情報に関しては既に大原氏が分かりやすく解説しているため割愛する。本稿はFidelityFX解説で触れることができなかった、FSRを実際のゲームで利用した場合のパフォーマンス向上や画質への影響を検証する。