2022年5月10日、AMDは従来の「Radeon RX 6700 XT」(以下、RX 6700 XT)の上位モデルとなる新型GPU「Radeon RX 6750 XT」(以下、RX 6750 XT)を市場に投入した。それを受けて各メーカーから採用ビデオカードが発売され、今回紹介するASUSの「DUAL-RX6750XT-O12G」もそのうちの1枚となる。
では、DUAL-RX6750XT-O12Gはいったいどのようなカードなのだろうか。とくにゲームでどの程度のパフォーマンスを発揮するのかは気になる人も多いのではないだろうか。さっそくテストを行ない、DUAL-RX6750XT-O12Gのポテンシャルに迫りたい。
ブーストクロックは2618MHz
3つの動作モードに切り替え可能
RX 6750 XTがどのようなGPUかを簡単に説明すると、RX 6700 XTから基本スペックをそのままに、GPUの動作クロックとメモリークロックを引き上げた、いわば公式クロックアップモデルという存在だ。RX 6700 XTのゲームクロックとブーストクロック、それにメモリークロックが、順に2424MHz、2581MHz、16Gbpsであるのに対して、RX 6750 XTは順に2495MHz、2600MHz、18Gbpsにそれぞれ引き上げられている。
DUAL-RX6750XT-O12Gでは、ゲームクロックがさらに2512MHz、ブーストクロックが2618MHzに上昇。RX 6750 XTのリファレンスから、前者は17MHz、後者は18MHz引き上げられたクロックアップモデルとなっている。ちなみに、RX 6700 XTの動作クロック比で見ると、ゲームクロックは92MHz、ブーストクロックは37Hz上昇した計算になる。なお、DUAL-RX6750XT-O12Gのメモリークロックは18Gbpsで、こちらはRX 6750 XTのリファレンスから変わりはない。
付属アプリケーションの「GPU TweakII」(Version 2.3.9.0)を使用すると、「OC mode」「Gaming mode」「Silent mode」の3つの動作モードに切り替えられる。工場出荷時設定はGaming modeで、その動作クロック設定は前述のとおりとなる。
OC modeでは、Gaming modeからブーストクロックが20MHz上昇するほか、Power Targetも110%に引き上げられる。つまり、OC modeは、その名称とおり、オーバークロック動作となり、性能向上が期待できるモードというわけだ。一方のSilent modeでは、ブーストクロックがGaming modeから20MHz低下し、Power Targetも90%に抑えられるようになる。こちらは、性能が低下するものの、消費電力が抑えられる動作モードということになる。なお、どのモードでもメモリークロックは18Gbpsで変わらない。
さらに、DUAL-RX6750XT-O12Gは、PモードとQモードの2つのVBIOSを搭載。工場出荷時設定はPモードで、これをQモードに変更すると、ファンの回転数が抑えられ、Power Targetもより低下し、性能は落ちるものの、静音性が上昇する。なお、切り替えはカード側面に用意されたディップスイッチで行ない、切り替えのたびに再起動が必要となる。
カード長は実測で約293mm(※突起部除く)で、同268mmだったRX 6700 XTリファレンスカードと並べると25mmほど長い計算になる。また、マザーボードに装着した際、GPUクーラーが垂直方向にブラケットから32mmほどはみ出ており、GPUクーラーの表面積はかなり大きめだ。
そのGPUクーラーは、2.7スロット占有タイプで厚さも結構あり、冷却にかなり力を入れた製品であることが伺える。GPUクーラーには、100mm角相当のファンが2基搭載されているのだが、これらのファンはいずれも“Axial-tech”仕様となっているのが最大の特徴だ。
ASUSによると、このAxial-techファンは、ブレードとバリアリングが一体化し、これにより下向きの空気圧を高めているという。つまり、ピンポイントでエアフロ―を当て、より効果的な冷却ができるというわけだ。なお、「0dB テクノロジー」により、GPUの温度が55度を下回ったときにファンの回転を停止する機能も有しており、GPU TweakIIから同機能を無効にすることも可能だ。
GPUクーラーの放熱フィンは、カード前方と後方の2ブロック構成。その間とGPUベースを5本の6mm径のヒートパイプが結ぶ構造を採用している。また、電源部は8フェーズ構成のようで、メモリーチップともどもヒートシンクが密接しており、冷却にも抜かりはない。
補助電源コネクターは8ピン×2構成。RX 6700 XTリファンレスカードが8ピン+6ピン構成だったのと比べると、電力供給も強化されている。また、外部出力インターフェースは,DisplayPort 1.4a×3,HDMI 2.1 Type A×1と、最近の製品ではよく見かける構成だ。