MSIの「GAMING TRIO」シリーズというと、高い冷却性能を誇るGPUクーラーの3連ファンが特徴的なビデオカードだ。今回は、そんな同シリーズに属する「Radeon RX 6950 XT GAMING X TRIO 16G」(以下、RX 6950 XT GAMING X TRIO)を取り上げたい。
Radeonシリーズの最上位モデルとなる「Radeon RX 6950 XT」(以下、RX 6950 XT)を採用した“GAMING TRIO”は果たしてどの程度のパフォーマンスを発揮するのだろうか。RX 6950 XT GAMING X TRIOの特徴を紹介しつつ、実際にゲームをプレイして、そのポテンシャルに迫ってみたい。
144Hz引き上げたクロックアップモデル
3つのユーザーシナリオが利用可能
まずは、RX 6950 XT GAMING X TRIOの動作クロック設定から説明していこう。RX 6950 XT GAMING X TRIOのゲームクロックは2244MHz、ブーストクロックは2454MHzと、これはリファレンス比でどちらとも144MHz引き上げられたクロックアップモデルとなっている。なお、メモリークロックは18Gbpsで、こちらはリファンレスから変わりはない。
さらに、付属アプリケーションの「MSI Center」(Version 1.0.55.0)を使用することで、「Extreme Performance」と「Balanced」、それに「Silent」の3つのユーザーシナリオが利用可能だ。工場出荷時設定はBalancedで、動作クロック設定は前述のとおり。一方、Extreme Performanceに変更するとブーストクロックが2707MHzに上昇し、Silentでは2308MHzに低下する。なお、どのシナリオでもメモリークロックは18Gbpsで変化はない。
また、おなじみのオーバークロックツール「Afterburner」(Version 4.6.4)を使えば、動作クロックなど各ステータスを変更できる。具体的にはブーストクロックを1MHz刻みで1310~3420MHzに、メモリークロックを8Mbps刻みで18~23.4Gbpsに、それぞれ設定できる。
カード長は実測で約312mm
オリジナルクーラーのTRI FROZR2を採用
RX 6950 XT GAMING X TRIOのカードそのものについて見ていこう。カード長は実測で約312mm(※突起部除く)で、マザーボードに装着した際、垂直方向に35mmほどブラケットからはみ出ており、サイズはかなり大きめだ。カードの重量は公称1605gもあるため、パッケージにはブラケットに固定するカードステイが同梱されている。
GPUクーラーは、2.8スロット占有タイプの「TRI FROZR 2」と呼ばれるオリジナルモデルを装備。このTRI FROZR2には100mm角相当のファンが3基搭載され、これらのファンブレードは、2枚ずつのものが外側のバリアリングと一体化した「TORX FAN 4.0」という特殊な形状をしている。MSIによると、このTORX FAN 4.0により、従来のファンブレードに比べて、エアフローを1か所に集中できるのだという。
また、GPUの温度が低い際に、ファンの回転を停止する機能「Zero Frozr」も用意されている。なお、MSI CenterからZero Frozrを無効に設定してファンが回転し続けるようにしたり、30秒間だけ100%で回転させる”クーラーブースト”という機能を利用したりすることが可能だ。
また、GPUクーラーの側面にあるMSIのロゴと線状の意匠、それに表側の3本のラインにはLEDが搭載されている。これらのLEDは、MSI Centerの「Mystic Light」から色やイルミネーションを設定でき、インストールしているゲームに合わせてイルミネーションを変化させる「Game Sync」という機能も用意されている。
カードを横から覗き込むと、放熱フィンがカード前方と中央、それに後方の3ブロック構成で、その間を6mm径のヒートパイプ6本で結ばれているのが確認できる。MSIによると、これらのヒートパイプは、GPUベース上で角ばった形状をしており、接触面積が最大よなるような工夫がなされているという。また、電源部やメモリーチップにもヒートシンクが接しており、冷却面も申し分ない。
補助電源コネクターは8ピンを3基搭載する。公称消費電力は340Wで、MSIによれば850W以上の電源ユニットを推奨しているとのこと。また、映像出力は、DisplayPort 1.4a×3とHDMI 2.1×1という構成で、最近のビデオカードではよく見かけるタイプだ。