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2023年1月5日11時(日本時間)、AMDは「CES 2023」のキーノートスピーチ上で様々な発表を行った。クライアントPCのみならずAIやヘルスケア、データセンターに至るまで広い範囲に言及したが、本稿ではPCユーザーが最も注目する新Ryzenについてのトピックを中心に解説する。
16コア+3D V-Cacheで“最速のゲーミングCPU”となる?
今回の発表における最大のトピックは3D V-CacheをRyzen 7000シリーズに搭載し、2月に発売するというものだ。「世界最速のゲーミングCPU」として登場し、様々なゲームで素晴らしいパフォーマンスを見せたSocket AM4用の「Ryzen 7 5800X3D」が昨年出たばかりだが、今回は最新のSocket AM5向けの製品となる。
最初に発表されたのは8コアの「Ryzen 7 7800X3D」だが、さらにもっとハイレベルな性能を求めるユーザーのために12コア「Ryzen 9 7900X3D」、16コア「Ryzen 9 7950X3D」も発表された。価格は明らかにされなかったが、発売は2月に予定されている。
Ryzen 7000シリーズ版の3D V-Cache搭載モデルのスペックは以下の通りだ。3D V-Cacheを含むL3キャッシュはRyzen 7 7800X3Dでは96MB(5800X3Dと同量)、7900X3Dと7950X3Dでは128MBとなる。コア数とL3キャッシュがなぜ比例しないかと言えば、ダイ(CCD)を2つ備える12コア以上のモデルでは、片方のCCDにのみ3D V-Cacheが搭載されるためだ。
例えば128MBのL3を持つRyzen 9 7950Xの場合、片方のダイに96MB、もう片方のダイに32MBと言う計算になる。恐らくクロックが上げやすく優秀なコア(所謂Preferred Core/ Elite Core)のある方に3D V-Cacheを組み合わせているものと考えられる。両方のダイに載せてもコストやパフォーマンス的に見合わないと判断されたのだろう。
ここで注目したいのは各モデルの動作クロックとTDPだ。3D V-Cache版Ryzenのうち、7800X3DはTDPが105W→120Wへ引き上げられた一方で、ブーストクロックが最大5.4GHz(Ryzen 7 7700X)→5GHzに若干下げられた。しかしながら、Ryzen 9 7900X3Dと7950X3Dについては、TDPが170W→120Wへ下がったが、ブーストクロックは3D V-Cache無しモデルから変わっていない。
気になる性能だが、PCゲームにおいてRyzen 7 7800X3Dは5800X3Dよりも30%、Ryzen 9 7950X3DはCore i9-13900Kよりも24%高いフレームレートが出せる「ゲームもある」と主張。3D V-Cacheが効かないゲームや、TDPが下がったことで逆に遅くなるゲームも出るかもしれないが、それについては発売日までのお楽しみとしておきたい。