■ゲームタイトル:DOOM Eternal
■メーカー名:ベセスダ・ソフトワークス
■価格情報:8618円
■公式サイト:https://bethesda.net/ja/game/doom
とにかくデーモン倒すべし、慈悲はない
id Software開発、ベセスダ・ソフトワークスがパブリッシャーを務める「DOOM Eternal」は、初期のファーストパーソンシューティング(FPS)ゲームにおける代表作として知られ、世界的な知名度を誇る「DOOM」シリーズのリブート第2作だ。2016年にリブート第1作「DOOM」が発売されて以来、実に4年ぶりの直接的な続編になる。一般的なリアル志向のFPSと異なり、多少のダメージを覚悟しつつ大量のデーモンを強力な武装でなぎ倒していく、スピード感と爽快感が強いゲームデザインが大きな特長だ。
主人公は従来通り、地獄のデーモンを滅ぼすことを目的とする「ドゥームスレイヤー」。前作「DOOM」で火星への侵攻を企てた大量のデーモンを滅ぼし、地獄のポータルを一旦は閉鎖することに成功したドゥームスレイヤーだが、本作では再びデーモンが人類に牙を剥き、地球への侵攻を開始したことで、今一度デーモン討伐に赴くことになる。スレイヤーの目的は、デーモンの中でも強力な魔術師である3人の「ヘルプリースト」を殺害して侵略を阻止することだが、ヘルプリーストを従える強力な存在「カーン・メイカー」の妨害により、事態は複雑化していく。
前作とは直接的な繋がりがある本作だが、物語としてはそれぞれほとんど独立しており、前作をプレイしていても、本作からプレイし始めても、導入にはあまり影響がない印象だ。もともと、バックグランドや世界設定の説明は極めてさりげなく提示されるため、シンプルに「デーモン達は全員敵、全員倒す」という目的意識さえ持っておけば、プレイ体験自体が損なわれることはないと思われる。ドゥームスレイヤーの大暴れの裏側で世界がどうなっているのか、物語をじっくり楽しんだり考察したりするのが好きなプレイヤーは、前作「DOOM」もプレイしてみるといいだろう。
本作の最大の特長は、なんといっても爽快な戦闘を実現するユニークな戦闘システムにあると言えるだろう。近年のFPSシューターと言えば、遮蔽物を活用して敵の銃弾や攻撃を回避し、可能な限り攻撃を食らわないような立ち回りを心がけるのが基本だ。体力についても、一定時間攻撃を食らわなければ徐々に回復していくような作品が多い。時には敵を避けるなど、クリアには慎重な行動が求められることも多いが、「DOOM Eternal」で求められるのは、まったく別のアプローチなのである。
前提として、ドゥームスレイヤーはデーモンを倒すことで、デーモンがドロップする回復アイテムや弾薬、アーマーを入手できる。戦闘では豊富な銃火器や近接武器、フレイムベルチ(火炎放射器)を使い分けることになるが、重要なのは殺害方法の違いにより、デーモンが異なるアイテムをドロップする点だ。
まず、一定の攻撃を与えた後に限り、敵を一撃で斬殺する処刑ムーブ「グローリーキル」を実行できる。グローリーキルを行なうことで多くの回復アイテムがドロップするため、多少のダメージを食らってでもグローリーキルを狙っていくことで、常に体力をキープしつつ戦えるわけだ。本作の戦闘はスピード感があり、テンポよくキルムーブを挟めるため、これだけでもかなりの爽快感がある。
さらに、弾薬もデーモンを倒すことで入手可能だ。近接武器である「チェーンソー」は燃料を消費してデーモンを一撃で殺害できるが、同時に大量の弾薬をドロップさせられる。燃料は3つまでしかストックできず、時間経過で回復する燃料ストックも1つまで。この仕様を理解し、グローリーキルとチェーンソーを織り交ぜて戦うことで、体力と弾薬、どちらも維持しつつ大量のデーモンを倒し続けられる。
そして、体力を補助するアーマーは、フレイムベルチで敵に火をつけている最中にドロップするほか、火をつけた状態で倒すことで大量に入手可能。これらの基本となる3種のアイテムをいかに維持し、高速戦闘の中でいかに要領よく立ち回るかが攻略のキモとなる。リアル志向の近代的なFPSタイトルとはプレイフィールがまったく異なるのである。
攻撃方法の違いによるアイテムドロップの変化に加え、それぞれの銃火器の弾数ストックが抑えられていることも、本作の絶妙な戦闘バランスを支えている。また、しばしば現れる中型以上のデーモンは、特定の武器が効果的であったり、特定の部位を破壊することで弱体化したりするため、大量の小型デーモンで体力と弾薬をキープしつつ、適切な攻略をするための時間を稼ぐ、といった場面も出てくるだろう。
必然的に複数の銃火器やチェーンソー、グレネード、フレイムベルチといった豊富な武装を立ち回りに組み込む必要があることから、状況に応じた選択が忙しくはあるものの、襲い来る大量のデーモンをうまく捌ききったときの爽快感は、ほかのシューター系タイトルでは味わえないほどに格別だ。