■ゲームタイトル:VALORANT(ヴァロラント)
■メーカー名:ライアットゲームズ
■価格情報:基本無料
■公式サイト:https://playvalorant.com/ja-jp/
王道の5vs5爆破系FPSにヒーローシューター要素をプラスした超注目作
プレイヤーが2つのチームに分かれて射撃戦を展開し、勝利を競う“対戦型FPSゲーム”は、eスポーツの花形ジャンルとして世界的に多くのファンを獲得している。近年はマップ上で爆弾を設置するチーム、設置を阻止または解除するチームに分かれ、相手の全滅か爆弾の爆破(または解除)を勝利条件とする「爆破系FPS」が主流だが、このジャンルに新たなムーブメントを生み出しているのがライアットゲームズの新作タイトル「VALORANT」だ。
ライアットゲームズといえば、MOBA系の超有名タイトル「リーグ・オブ・レジェンド」のデベロッパーでもあり、すでに世界的eスポーツタイトルを開発・運営してきた経験があるのは周知の通り。
「VALORANT」はオーソドックスなラウンド制の5vs5爆破系FPSを踏襲しつつ、固有の特殊能力を備えたキャラクター「エージェント」を扱うヒーローシューターの要素を加えることで、より戦略性の高いゲームに仕上がっている。キャラクターのピック、ラウンドごとの武器の選択、攻撃・守備それぞれの連携など、複雑な要素が絡み合うなかでチームの勝利を目指すため、単純な個人能力の高さではなく、知識や経験も求められるのが大きな特徴だ。
現在実装されているモードは、メインのモードとなる「アンレート」、よりランダム性を強くした「スパイクラッシュ」の2種類。アンレートは13ラウンドを先取したチームの勝利となるが、12ラウンドごとに攻守が入れ替わるため、攻撃と守備、それぞれの場面でどう動くかが重要になってくる。
スパイクラッシュは武器がランダムに選ばれており、マップ上に特殊なオーブが出現するなど、よりカジュアルに短時間で遊びたいプレイヤー向けのモードだ。好みはあると思うが、深く遊ぶのであれば基本的には「アンレート」をプレイしていくことになるだろう。
本ゲームの醍醐味とも言えるのが、固有の能力を備えたキャラクター「エージェント」の選択だ。計11人のエージェントは、直接の戦闘に向く「デュエリスト」、スモークなどで戦況をコントロールする「コントローラー」、回復など特殊アビリティを持つ「センチネル」など、それぞれに役割があり、この組み合わせが勝敗を分けることも珍しくない。
チームメイトと同じエージェントは選択できないため、どのエージェントを受け持つかも悩ましいところだろう。それぞれのエージェントのアビリティは、「偵察用のドローンを出す」「バリアの壁を展開する」といった補助的なものから、「延焼するグレネードを撃つ」「敵を一撃で倒すロケットランチャーを1発だけ発射する」といった攻撃的なものまで様々だ。
各ラウンドは制限時間1分40秒。相手を全滅させれば勝利になるほか、攻撃側である「アタッカー」はマップの特定地点にスパイクを設置して一定時間守り切れば勝利、守備側は時間切れを待つか、設置されたスパイクを解除すれば勝利と、互いに勝利条件が異なる。
スパイクの設置地点はマップごとに2つ、あるいは3つであり、ディフェンダー側はこの設置地点を中心に陣形を固めることになる。5人でどの地点にどの程度の人数を割くかも重要となるが、試合中には地道な索敵で相手の情報を集め、相手の裏をかくこともまた重要だ。
そして「マネーシステム」による武器購入の駆け引きが、それぞれのラウンドの戦いを一層奥深いものにしている。各プレイヤーが最初に装備しているのはハンドガン1丁とナイフのみだが、ラウンドごとに貯まっていくマネーを使うことで、各ラウンド開始前に武器やアビリティ、体力を増やすアーマーを購入できる。
基本的には高性能なものほど高価であり、所持しているマネーの残額によっては強い武器を購入できない場面もあるため、無計画に強い武器ばかりを購入しているとあっという間に資金が尽きてしまうのは注意が必要だろう。
ラウンドごとに獲得できるマネーは、勝利したりキルを取ったりすることで増加していき、生き残ったラウンドでは次のラウンドに武器を持ち越せる。つまり、ラウンドを取りつつキルを取られない立ち回りを心がけることで、継続的に強い武器を使い続けられるわけだ。
反対に、負け続けているとなかなかマネーは貯まらないが、キルされたエージェントはその場に持っていた武器を落とすため、敵をキルして強い武器を奪ってしまえば形勢逆転も狙いやすくなる。
アンレートは13ラウンド先取ということもあり、試合時間はおおむね30~50分程度とかなり長めだ。アタッカー側とディフェンダー側で展開がガラッと変わるため、序盤で大差を付けられていても攻守交替により逆転する、といったドラマもしばしば生まれることから、最後まで気は抜けない。
逆にスパイクラッシュはたったの4ラウンドで終了し、非常にカジュアル寄りの調整がされている。サービス開始直後とはいえやや極端なので、筆者としてはこの中間ぐらいのゲームモードが欲しいと感じた。
一見するとシステムは難解ではあるのだが、他の爆破系FPSをプレイしていたゲーマーであれば馴染みやすく、すでに既存のFPSタイトルで活躍していたプロチームや選手が競技シーンに多く参入している点も興味深い。競技系FPSとしてはいま最も熱いタイトルであり、今後のeスポーツシーンでの躍進が期待されるゲームと言えそうだ。