ASUSがゲーミング向けブランドとして展開するROGのSTRIXシリーズは、コストと性能のバランスが秀でていることから市場での人気が高い。今回取り上げるのは、そんなSTRIXシリーズに属する「ROG-STRIX-RX5600XT-O6G-GAMING」(以下、STRIX-RX5600XT-GAMING)。AMDのNavi世代GPUでミドルレンジ向けとなる「Radeon RX 5600 XT」(以下、RX 5600 XT)を採用したモデルだ。
果たしてミドルレンジ向けのSTRIXシリーズはどのような出来に仕上がっているのだろうか。STRIX-RX5600XT-GAMINGが持つポテンシャルを、いくつかのテストにより明らかにしてみたい。
デュアルBIOS仕様で3つの動作モードを搭載
OCモード時のブーストクロックは1770MHz
まずは、STRIX-RX5600XT-GAMINGの動作クロック設定から見ていこう。STRIX-RX5600XT-GAMINGは、ベースクロックは公開していないものの、後述する「Gamingモード」のゲームクロックは1670MHz、ブーストクロックは1750MHzと、リファレンス比で前者が295MHz、後者が190MHz引き上げられたクロックアップモデルとなっている。なお、メモリクロックはWebサイトでは12Gbpsとなっているが、実機を確認する限り14Gbpsと、こちらも引き上げられていた。
さらに、STRIX-RX5600XT-GAMINGは「OCモード」「Gamingモード」「Silentモード」という3つの動作モードを有しており、付属アプリケーションの「GPU TweakⅡ」(Version 2.1.7.1)からモードの切り替えが可能だ。工場出荷時設定はGamingモードで、その動作クロック設定は前述のとおり。
OCモードでは、ゲームクロックはGamingモードの1670MHzから変わりはないが、ブーストクロックは1770MHzに上昇し、TDPの上限を示すPower Limitが110%に引き上げられている。一方のSilentモードは、詳細は明らかにされていないものの、実機で確認してみるとブーストクロックがGamingモードから20MHz下がり、Power Limitも90%に抑えられていた。
カード長は実測で約304mm(※突起部除く)で比較的長め。GPUクーラーも2.7スロット占有タイプと厚みがあるため、見た目はかなり大きい印象を受ける。GPUクーラーには、90mm角相当のファンを3基搭載し、羽根と外枠が一体成型された「Axial-techファン」を採用。
ASUSによると、このAxial-techファンにより、一般的なファンに比べてエアフローが向上しているという。また、GPUコアの温度が45℃以下になるとファンの回転が停止する「0dBテクノロジー」を搭載。なお、この0dBテクノロジーは、先のGPU TweakⅡから無効にすることで、常時ファンを回転させることも可能だ。
そのほか、STRIX-RX5600XT-GAMINGは、P MODEとQ MODEの2つのVBISOを備えたデュアルBIOS仕様を採用している。これらのVBIOSではファンの制御方法が異なっており、P MODEではファンの回転数が上昇し冷却性能を高めるのに対して、Q MODEではファンの動作音を抑えるためにファンの回転数がより緩やかに変化するようになっている。なお、工場出荷時設定はパフォーマンス重視のP MODEだ。
さらに、電源部には「Super Alloy PowerⅡ」と呼ばれる同社独自の品質規格に沿った高品質なものを採用。ヒートシンクには6mm径のヒートパイプを6本利用し、電源部やメモリチップもしっかりと冷却される構造となっている。またGPUクーラーは、前面の線状の意匠と側面の「REPUBLIC OF GAMERS」の文字、さらに裏面のROGのロゴのそれぞれにLEDが埋め込まれ、点灯するようになっている。これらのLEDは、付属アプリケーションの「AURA RGB Lighting Control」(Version 0.0.6.7)により、色や光り方を変更可能だ。