世界的な半導体不足と、仮想通貨のマイニング需要により、PCパーツショップではグラフィックスカードの品不足が続いている。そんな中、AMDのRDNA 2アーキテクチャに基づくRadeon RX 6000シリーズが、比較的入手しやすいGPUとして、じわじわとシェアを伸ばしつつある。
そこで、今回はMSIのRadeon RX 6800 XT搭載モデルである「Radeon RX 6800 XT GAMING X TRIO 16G」(以下、RX 6800 XT GAMING X TRIO)を紹介したい。果たして、このRX 6800 XT GAMING X TRIOは、ゲーマーが満足いくだけのポテンシャルを備えているのだろうか。
ブーストクロックを35MHz引き上げたOCモデル
長さが約324mm重さが1551gと重量級
まずは、RX 6800 XT GAMING X TRIOの動作クロック設定から紹介していこう。RX 6800 XT GAMING X TRIOは、ベースクロックが1850MHz、ゲームクロックが2045MHz、ブーストクロックが2285MHzと、リファレンスではベースクロックが非公開になっているため比較できないが、ゲームクロックは30MHz、ブーストクロックは35MHz引き上げられたクロックアップモデルである。なお、メモリークロックは16Gbpsで、こちらはリファレンスから変わりはない。
さらに、もはやお馴染みと言ってもいいMSIのオーバークロックツール「Afterburner」(Version 4.6.2)を用いると、メモリークロックを8Mbps刻みで8~22.4Gbpsに変更できるほか、消費電力の上限を設定するPower Limitを1%刻みで94~109%に設定可能だ。なお、このバージョンではブーストクロックやGPUコア電圧の変更は利用できなかったので、バージョンアップでの対応を期待したい。
それでは、カードの外観を見ていこう。カード長は実測で約324mmで、RX 6800 XTリファレンスカードが約266mmだったのに比べると、60mm弱長い計算になる。なお、基板自体の長さは296mmほどなので、GPUクーラーがカード後方に30mm弱はみ出た格好だ。
また、マザーボードに装着した際、垂直方向にブラケットから34mmほどはみ出ている点も留意しておきたい。さらに、重量は1551gと比較的重めで、そのためカードを支えるステイが同梱されているのは非常にありがたい配慮だ。
GPUクーラーは、2.8スロット占有タイプの「TRI FROZR 2」と呼ばれるオリジナルモデル。このTRI FROZR 2は、「TORX FAN 4.0」という100mm角相当のファンを3基搭載。これらのファンの羽は、2枚を1組として外枠を一体成型したユニークなもので、MSIによると、このTORX FAN 4.0によりエアフローの集中度が向上しているとのこと。
なお、先ほどのAfterburnerを用いると、回転数設定の変更も可能だ。工場出荷時設定である自動制御のAuto以外に、1%刻みで25~100%に固定したり、GPUの温度と回転数の関係を示したグラフから任意に回転数を変更したりすることが可能。
カード側面には、MSIのロゴのほかに半透明のパーツが装着され、それらがLEDにより点灯するようになっている。これらのLEDは、付属アプリケーションの「Dragon Center」(Version 2.0.101.0)で光り方や色を制御することができる。さらに、このDragon Centerでは、ゲームごとに最適化設定を変更したり、ゲームやムービーといった用途に合わせた色温度や色彩を自動設定したりする機能も用意されている。
補助電源コネクタは8ピン×2仕様で、このあたりはリファレンスカードと同じ。映像出力インターフェースは、DisplayPort 1.4×3とHDMI 2.1×1の4系統で、RX 6800 XTリファレンスカードにあったUSB type-CがDisplayPortに置き換わっている。