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Radeon VS GeForce、仁義なきアッパーミドルGPU対決

RX Vega 56&RX 580対GTX 1070&GTX 1060!人気PCゲームで性能比較【Far Cry 5】【PUBG】【Fortnite】

文●宮崎真一 編集●ASCII編集部

AMDのアッパーミドルGPU「Radeon RX Vega 56」を搭載するリファレンスボードと「Radeon RX 580 XTR」を搭載するグラフィックスボード「AORUS Radeon RX 580 XTR 8G」

ミドルレンジからハイエンドにかけてのセグメント、いわゆる「アッパーミドル」と呼ばれる価格帯に位置するGPUは、自作PC市場における注目度が高い。AMDの「Radeon RX Vega 56」(以下、RX Vega 56)と「Radeon RX 580」(以下、RX 580)も、そうしたアッパーミドルに位置付けられたGPUだ。いまどきのPCゲームをフルHDで遊ぶには十分なスペックのグレードである。そこで、今回は人気のPCゲームタイトルを主軸に、RX Vega 56とRX 580が具体的にどの程度快適なのかを検証する。

HBM2を搭載した最新世代のRX Vega 56と第2世代PolarisのRX 580

RX Vega 56は「Graphics Core Next」(以下、GCN)アーキテクチャーに基づくGPUで、後述するRX 580の上位となる、「Radeon RX Vega 64」に次ぐモデルとなっている。最大の特徴は、広帯域幅メモリー「High Bandwidth Memory」(HBM)の第2世代にあたる「HBM2」を採用している点だ。HBM2は「Radeon R9 Fury X」などのFijiコアで採用されていた「HBM1」と比べて、ピンあたりの帯域幅が2倍になり、スタックあたりの容量は8倍にも達している。

さらに、RX Vega 56ではこのHBM2をグラフィックスメモリーとしてではなく、必要なデータだけをキャッシュする「High Bandwidth Cache」として扱うことで、メモリーパフォーマンスの向上を図っている。RX Vega 56ではHBM2のキャッシュクロックは1600MHz相当、メモリーインターフェースは2048bitなので、その帯域幅は410GB/sとなり、これはRX Vega 56の競合製品となる「GeForce GTX 1070」(以下、GTX 1070)の帯域幅(256GB/s)と比べて約1.6倍になる。

また、RX Vega 56が採用するGPUコアは「Vega 10 XT」はVega 10コアのフルスペックから「Next-Generation Compute Unit」(以下、NCU)が8基少ない56基となっている。NCUは64基のストリームプロセッサーで構成されるため、RX Vega 56の総ストリームプロセッサー数は、56×64で3584基となる。なお、RX Vega 56は、GCNアーキテクチャーに基づく。4基のNCUが集まり「Shader Engine」を成し、そのShader Engineを4基備える点は、Fijiコアから変化はない。

Radeon RX Vega 56とRadeon RX 580の主なスペック。競合製品となる「GeForce GTX 1070」(以下、GTX 1070)と「GeForce GTX 1060 6GB」(以下、GTX 1060 6GB)とともにまとめてみた

それではスペックを細かく見ていこう。RX Vega 56の動作クロックはベースが1156MHz、ブーストが1471MHzと、高めに設定されている点も特徴的だ。そのほか、頂点シェーダーとドメインシェーダーをひとつにまとめたプリミティブシェーダーを新たに備え、グラフィックスAPIにDirectX 12のFeature Level 12_1をサポートした点や、Shader Model 6.0+に対応した点なども見逃せないポイントだ。

一方のRX 580は、GCNアーキテクチャーに基づき、第2世代のPolarisとなる「Polaris 20」コアを採用したGPUである。モデルナンバーどおり、「Radeon RX 570」の上位に置かれるモデルで、RX 580でも64基のストリームプロセッサーで「Compute Unit」(以下、CU)を構成する点は第1世代Polarisから変わっておらず、RX 580では36基のCUを備えている。ゆえに、ストリームプロセッサーの総数は36×64で2304基となる。Polaris 20でも第1世代と同じく9基のCUが集まりShader Engineを成し、4基のShader Engineを搭載する。

また、RX 580は第2世代となりGPUコアの最適化が進んだことで、ベースが1257MHz、ブーストが1340MHzと第1世代から動作クロックの引き上げを実現している。さらに、RX 580には通常版のほかに、より高いクロックで動作が可能な選別品となる「Radeon RX 580 XTR」(以下、RX 580 XTR)が用意されている。このRX 580 XTRは、オーバークロックモデルで主に採用されている。多くのグラフィックスボードでパッケージや製品紹介にRX 580 XTRを搭載している旨が記載され、通常版との差別化が図られている。

なお、グラフィックスメモリーはGDDR5に対応し、メモリー容量は8GB。メモリーインターフェースが256bitで、メモリークロックが8000MHz相当なので、メモリーバス帯域幅は256GB/sとなる計算だ。

人気PCゲーム3タイトルでベンチマーク比較

それでは、RX Vega 56とRX 580のゲームにおけるパフォーマンスを見てみよう。今回、比較対象にはそれぞれの競合製品であるGTX 1070とGTX 1060 6GBのFouders Editionを用意。また、RX 580のテストには選別品であるRX 580 XTRを搭載したオーバークロックモデルを利用した。そのため、RX 580 XTRの高クロック動作を確認するという意図で、RX 580はオーバークロックでのテストになっていることをここで断っておく。

【検証環境】
CPU Intel「Core i7-8700K」(6C/12T、定格3.7GHz、最大4.7GHz)
マザーボード ASUS「ROG STRIX Z370-F GAMING」(Intel Z370)
メモリー DDR4-2400 8GB×2
グラフィックスボード AMD「Radeon RX Vega 56リファレンスボード」、GIGABYTE「AORUS Radeon RX 580 XTR 8G」(Radeon RX 580 XTR)、NVIDIA「GeForce GTX 1070 Founders Edition」、NVIDIA「GeForce GTX 1060 6GB Founders Edition」
SSD SAMSUNG「SSD 850 EVO」(Serial ATA 3.0、500GB)
電源ユニット SilverStone「SST-ST1200-G Evolution」(1200W、80PLUS GOLD)
グラフィックスドライバー Radeon:Adrenalin Edition 18.6.1、GeForce:398.36
OS Microsoft「Windows 10 Pro 64bit版」

Far Cry 5&PUBGで絶好調のRadeon勢、Fortniteでも十分快適

まずは、「Far Cry 5」だが、テストにはオプション設定から描画負荷が最も高い最高プリセットを選択。解像度は1920×1080ドット(フルHD)と2560×1440ドット(WQHD)の2つをチョイスし、ゲームに用意されているベンチマークモードを実行した。

Far Cry 5でベンチマーク。解像度はフルHD

Far Cry 5でベンチマーク。解像度はWQHD

結果はグラフを見れば一目瞭然。RX Vega 56が頭ひとつ抜きん出る形となった。しかも、RX Vega 56はWQHDテストでも最小フレームレートが唯一60fpsを超えているのでかなり快適にプレイできるはずだ。

一方のRX 580はWQHDテストではさすがに平均フレームレートで60fpsを切るものの、フルHDテストでは最小フレームレートが余裕をもって60fps超え。GTX 1060 6GBに対しても有意な差を見せつけている。Radeonの最適化が進んでいるFar Cry 5だけあって、GeForce勢に対してRX Vega 56とRX 580の優位は揺らぎないと言えるだろう。

続いて「PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS」(以下、PUBG)では、オプションからウルトラプリセットに設定した上で、実際にプレイし、1分間の平均フレームレートと最小フレームレートを「Fraps」で計測した。なお、解像度はこちらもフルHDとWQHDの2パターンでテストしている。

PUBGでベンチマーク。解像度はフルHD

PUBGでベンチマーク。解像度はWQHD

PUBGでもRX Vega 56が突出しており、WQHDテストでは今回のテスト中で唯一、最小フレームレートが60fpsを上回った。描画負荷が高い状態では、RX Vega 56がHBM2のメモリーバス帯域幅の広さを活かし、良好なパフォーマンスを発揮しているようだ。一方で、RX 580は若干ではあるものの平均フレームレートと最小フレームレートの両方でGTX 1060 6GBを上回るスコアーを発揮。Far Cry 5テストと同様、フルHDテストでは最小フレームレートが60fpsをゆうに超え、なめらかなプレイができることは間違いない。

さて、これまでの様相と若干異なる結果となったのが「Fortnite」である。オプションから描画負荷が最も大きいエピックプリセットを選択して実際にプレイ。そして、プレイ中1分間の平均フレームレートと最小フレームレートをFrapsで取得した。なお、解像度はこちらもフルHDとWQHDの2種類試している。

Fortniteでベンチマーク。解像度はフルHD

Fortniteでベンチマーク。解像度はWQHD

RX Vega 56はフルHDテストにおいて、平均フレームレートではGTX 1070を上回るものの、最小フレームレートでは逆転を許してしまっている。しかし、WQHDテストでは再びRX Vega 56が最小フレームレートでもGTX 1070を引き離す。これは、描画負荷が高まるとRX Vega 56はHBM2の広帯域幅を生かし、真価を発揮するということなのだろう。

また、描画負荷が増大した際にパフォーマンスが良好なのはRX 580も同じだ。RX 580はフルHDテストではGTX 1060 6GBにやや負けてしまっているが、WQHDドットでは肩を並べるまでフレームレートを持ち直している。

まとめ:RX Vega 56なら7万円切り、RX 580なら3万5000円切りで即買い

各GPUを搭載したグラフィックスボードの売れ筋モデルを見てみると、RX Vega 56が7〜8万円前後。GTX 1070は5〜6万円前後。RX 580は3万5000〜5万円前後。GTX 1060 6GBは3〜3万5000円前後。と、アッパーミドルでもさらに細かく住み分けしているのがわかる。

つまり、今回試した3タイトルの差はおおむね順当な結果だったというわけだ。もちろん、各GPUとも様々なメーカーからオリジナルクーラーを搭載したオーバークロックモデルも存在する。ゆえに、性能が近しいRX 580とGTX 1060では描画負荷が軽めのフルHD設定だと、仕様次第では勝敗がひっくり返る可能性もある。

しかしながら、これでRX Vega 56とRX 580がお買い得な価格のラインがわかったはずである。RX Vega 56なら7万円切り、RX 580なら3万5000円切りなら即買いしてオーケーだろう。


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