AMD HEROES

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8コア/16スレッドのRyzen 7 2700Xは第9世代i7より動画編集が高速!

文● ASCII編集部

メニーコアCPUの中ではコスパの高いRyzenシリーズに注目!

 CPUのメインストリーム向けは、長らく4コア8スレッドが主流だったが、AMD「Ryzen」シリーズはその壁を打ち破り8コア16スレッドを3万9000円前後という高コスパでで実現した。そうした、従来の2倍となる物理、論理コアによる処理能力の恩恵は大きい。

 処理速度にコア数が大きく関わるのはいろいろあるが、映像編集もそのひとつ。最近では、スマホで手軽に高解像度動画を撮影できたり、PCゲームもグラフィックスドライバー付属のソフトやWindows 10標準機能で簡単に録画できるようになっていたりする。そのため、CPUコア/スレッド数が大ければ、高解像度で重い動画処理がより速く行なうことが期待できる。

 そこで、今回は複数の映像編集ソフトを使い、実際にCPUコア/スレッドをどれぐらい使っているのかを確認してみた。

AMD Socket AM4プラットフォーム「Ryzen」シリーズ最上位の「Ryzen 7 2700X」は8コア16スレッド、3.7GHz〜4.3GHzで動作。コア/スレッド数が多く、動画編集での活躍に期待できる
メインストリーム向けCPUは約1年6ヵ月前まで8スレッドが主流だったが、今は倍の16スレッドになっている
「Ryzen 7 2700X」の最大動作クロックは4.3GHzになる

4K動画のエンコードを行なってCPU占有率をチェックしてみた

 さっそく主要な映像編集、エンコードソフトウェアのテストに進んでいこう。テストはCPUに8コア16スレッドの「Ryzen 7 2700X」、マザーボードにAMD X470チップセットを搭載するASUS「ROG CROSSHAIR VII HERO」などで構成したPCを用意。

 パナソニックの4Kビデオカメラ「HC-VX1M」やWindows 10の「ゲーム DVR」機能で録画、撮影した4K動画などのエンコードを行った際のCPU占有率をチェック、16スレッドをフル活用できているかを確認した。

 テストPCの詳細構成は以下の通り。

「テスト環境」
CPU AMD「Ryzen 7 2700X」(8コア16スレッド、3.70GHz〜4.30GHz、TDP105W)
マザーボード ASUS「ROG CROSSHAIR VII HERO」(AMD X470)
メモリー G.SKILL「Trident Z RGB F4-3200C16D-16GTZR」(DDR4-3200 8GB×2)
ビデオカード NVIDIA「GeForce GTX 1080 Ti Founders Edition」
ストレージ KingFast「F6 PRO 2710DCS23-360」(2.5インチ、360GB、SATA3)
電源ユニット Seasonic「SS-750KM」(750W、80PLUS GOLD)
OS Windows 10(64ビット)
エンコード中のCPU占有率をタスクマネージャーで確認
4K撮影に対応するパナソニック製ビデオカメラ「HC-VX1M」

Adobe Premiere Pro使用時のCPU負荷率は90〜100%とほぼフル活用

 まず最初に試したのは、クリエイティブワークにもおなじみのAdobe製映像編集ソフトウェア「Adobe Premiere Pro CC」だ。スマホで撮影した日常のワンシーンを映画風トーンに編集することや、8K解像度の映像を編集するなど、幅広く対応する鉄板ソフトウェアとして知られる。

Adobe Premiere Pro CC+Adobe Media Encoder CC

クリエイティブワークにもおなじみのAdobe Premiere Pro CC
Adobe Media Encoder CCで編集した動画を書き出し

 ここでは4K解像度の動画を4枚使って8K解像度の動画をつくり、エンコードソフトウェアの「Adobe Media Encoder CC」でmp4形式に書き出しを行なった。

Adobe Media Encoder CCで、作成した8K映像を書き出した際のCPU負荷率
書き出し作業中の動作クロックとCPU負荷率は「AIDA64」でモニタリング

 タスクマネージャー上のCPU負荷率はおおむね100%に達している。PCの詳細なパラメーターを収集、診断、パフォーマンスを測定できるベンチマークソフト「AIDA64」でのモニタリングも同じ結果。

 動作クロックは瞬間的に下がることもあるが、全コア負荷時の最大クロックとなる3.98GHz〜4GHzを維持。負荷率も90〜100%と8コア16スレッドを最大限に活用していると言えるだろう。なお、書き出し作業は、GPGPUの「CUDA」を使用して行なっている。

Davinci Resolve 15作業中もCPU負荷は90%以上とフル活用

 次に国内外の映画制作現場の多くで使用されているというBlackmagic Designの映像編集ソフトウェア「DaVinci Resolve 15 Studio」の無償版である「DaVinci Resolve 15」を使ってみた。

Davinci Resolve 15

無料で使える映像編集ソフトウェアのBlackmagic Design「Davinci Resolve 15」
編集した映像は「デリバー」から書き出すことができる

 無償版ながら、トリミングやボリューム調節、映像切り替え時の効果、タイトル、テロップ入力といった編集とエフェクト、さらに色調調節なども可能になっている。

再生時間8分の4K動画を20MbpsのMP4動画に再エンコードした際のCPU負荷率
「AIDA64」による作業中の動作クロックとCPU負荷率

 「Adobe Media Encoder CC」と同じく、「Davinci Resolve 15」も8コア16スレッドの「Ryzen 7 2700X」をフルに活用しており、作業中はつねに90%以上のCPU負荷と3.9GHz台の動作クロックになっている。

TMPGEnc Video Mastering Works 7

映像エンコーダーソフトウェアの定番ソフトウェアのひとつとなるPEGASYS「TMPGEnc Video Mastering Works 7」

 続いては、11月に発売された最新バージョンで、新たにH.265/HEVC 8K 10bit(4:2:2)での出力や、HDRのプレビューや編集、出力などに対応した「TMPGEnc Video Mastering Works 7」でテストを行なった。エンコードには再生時間8分の4K動画を使用し、20MbpsのMP4動画に再エンコードしている。

エンコード中のタスクマネージャー
作業中の「AIDA64」。動作クロックとCPU負荷率

 ここまでのソフトウェアと同様に、CPU負荷率は100%に達するが、エンコード中のCPU負荷は80%台を占める割合が、ほかより多くなっている。なお、作業中の動作クロックは全コア負荷時の最大クロックとなる3.9GHz〜4GHzだった。

無料ソフトはHandBrakeとの相性がよい

HandBrake

無料のエンコーダーソフトウェア。macOSやLinux用もある

 MPEG-4(MP4)とMatroska(MKV)フォーマットでの出力が可能な無料の映像エンコーダーソフトウェアの「HandBrake」。コーデックは主流のH.264や次世代のH.265(X.265)に対応している。

 テストにはこれまでと同じ、再生時間8分の4K動画を使用し、20MbpsのMP4動画に再エンコードしている。

タスクマネージャーのCPU負荷率
エンコード中の「AIDA64」。動作クロックとCPU負荷率

 「AIDA64」でのCPU負荷率にはブレがあるが、タスクマネージャーの各スレッドCPU負荷率は100%に張り付いている。また、クロックもブレが少なく動作しているのがわかる。無料の映像エンコーダーソフトウェアだが、メニーコアをしっかり活用しているため、Ryzenでの作業に向いている。

 Linux版もあるので、Linux OSと相性のいい、32コア64スレッドの「Ryzen Threadripper 2990WX」と組み合わせるのもいいだろう。

AviUtl

無料の映像編集、エンコーダーソフトウェアの定番のひとつとなる「AviUtl」
ブラグインを追加することで、H.264やX.265形式での出力が可能になる

「AviUtl」は不要な場面のカットや映像リサイズ、音声入れ替えなどが行える無料の映像編集、エンコーダーソフトウェアだ。ゲームの配信ソフトとの組み合わせて使っているひとも多い定番ソフトウェアのひとつ。ハウツーも充実しているので、これから動画編集などをはじめるひとにおすすめできる。

再生時間約8分の4K動画を、MP4の20Mbpsに再エンコードした際のタスクマネージャー
エンコード中の動作クロックとCPU負荷率を「AIDA64」でモニタリング

 H.264形式の出力では、ほかと同じく16スレッドを活用しており、動作クロックは3.9GHz〜4GHzで動作し、CPU負荷も90%の高い負荷率でエンコードが行われていた。ただ、X.265プラグインを使った出力では、動作クロック、CPU負荷ともにブレが大きく、動作クロックは2GHz台の低負荷状態と3.9GHz台の高負荷状態を繰り返している。使用コア数も2〜4コアになったり、全コアになったりと変動し、CPU負荷率もおおむね50〜80%台で上下していた。

 X.265(H.265)/HEVC形式へのエンコードは、Ryzen全般が苦手としているところだが、「AviUtl」では、その点が顕著に出ている感じだ。

X.265(H.265)形式でエンコードした際の動作クロックとCPU負荷率の変動

FFmpeg

映像と音声の変換や再生するためのフリーウェアで、あらゆるフォーマットとOSに対応する。単体ではGUIを持たず、エンコードなどはコマンドラインから実行する

 最後に、あらゆるフォーマットとOSに対応し、動画再生プレイヤーのコーデックとしても愛用されている「FFmpeg」での動作を確認してみた。標準ではGUIを持たないため、エンコードはコマンドラインから行う必要があるため、敷居は高くなるが、構文例をまとめたサイトなどもあるので安心だ。

再生時間約8分の4K動画を、MP4の20Mbpsに再エンコードした際のタスクマネージャー
H.264形式でエンコードした際の動作クロックとCPU負荷率を「AIDA64」でモニタリング
X.265(H.265)形式でのエンコード時の動作クロックとCPU負荷率

 H.264形式でエンコードした際は、動作クロックこそ、各スレッド3.9GHz台だったが、CPU負荷率はおおむね70〜80%台後半で変動。各スレッドいずれも100%負荷になることはなかった。また、X.265(H.265)形式時は、「AviUtl」と同じく、動作クロックとCPU負荷が大きくブレている。

Core i-9000シリーズと比較

Ryzen 7に遅れること約1年半。インテルLGA1151プラットフォームもCore i-9000シリーズで、8コア16スレッドを実現

 Ryzen 7 2700Xを搭載したPCは、ここまでの検証でX.265(H.265)形式のエンコード時だと全コアを最大限に活用しているとはいいがたいが、未だ主流となるH.264では8コア16スレッドをフルに活用していたといえる。

 では実際にRyzen 7 2700Xがインテルの最新第9世代Coreプロセッサーと比べて、どれほどコスパで優秀なのかが気になるところ。

 そこでテストに用いた「Ryzen 7 2700X」と同じ、8コア16スレッドだが秋葉原での価格は1.65倍の6万6000円前後である「Core i9-9900K」。さらに5万円前後の8コア/8スレッドの「Core i7-9700K」、6コア/6スレッドで3万5000円前後となっている「Core i5-9600K」を用意して、「Adobe Media Encoder CC」の動画エンコード時間を計測してみた。

 テストに使用したインテルLGA1151プラットフォームの環境は以下の通りで、CPUとマザーボード以外はAMD環境と同じになっている。

「テスト環境」
CPU インテル「Core i9-9900K」(8コア16スレッド、3.6GHz〜5.0GHz、TDP95W)、インテル「Core i7-9700K」(8コア8スレッド、3.6GHz〜4.9GHz、TDP95W)、インテル「Core i5-9600K」(6コア6スレッド、3.7GHz〜4.6GHz、TDP95W)
マザーボード ASUS「ROG STRIX Z390-F GAMING」(Intel Z390)
メモリー G.SKILL「Trident Z RGB F4-3200C16D-16GTZR」(DDR4-3200 8GB×2)
ビデオカード NVIDIA「GeForce GTX 1080 Ti Founders Edition」
ストレージ KingFast「F6 PRO 2710DCS23-360」(2.5インチ、360GB、SATA3)
電源ユニット Seasonic「SS-750KM」(750W、80PLUS GOLD)
OS Windows 10(64ビット)

編集作業でも優秀なRyzen 7のコストパフォーマンス

 動画エンコードは再生時間8分の4K60p動画を使用し、20MbpsのMP4形式(H.264 2pass)への再エンコードに要した時間としている。

「Adobe Media Encoder CC」を使用したエンコード時間

 Ryzen 7 2700Xは、同じ8コア/16スレッドながら2万円以上高いCore i9-9900Kには4分ほど負けたものの、1万円以上高いCore i7-9700Kにもわずかに処理速度で勝った。

 最も安価なCore i5-9600Kとの差は約6分。価格差4000円ほどと考えれば、相対的に見てもRyzen 7 2700Xのコスパはかなり高い。今回はRyzen 7 2700Xを使用したが、同じ8コアだとTDPが40Wも低いXなしのRyzen 7 2700もねらい目。

 従来のRyzen1000シリーズの方が価格的には安価だが、Ryzen2000シリーズはメモリー相性も改善し、安定して8コア/16スレッドというメニーコアを使って動画編集やCG制作といったクリエィティブな作業を快適に行なえる。ゲームプレイ動画などをよく編集する、仕事で動画編集をすることが多いというような人は、Ryzen2000シリーズでPC自作をしてみてはどうだろう。

●関連サイト

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