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今VTuberデビューするにはRyzen 5搭載PCがコスパが良く快適!

文● ジャイアン鈴木 編集●ジサトラ ハッチ

バーチャルキャラクターとなってVR空間でビデオ生配信を行なう「VTuber」は流行語になるほど親しみ深い存在となっています。仮想のキャラクターになりきり、別人のように自分の好きなことを発信できるということで、そんなVTuberを見るだけでなく、なる人も増え、ユーザーローカル調べで6000人を超えたとのこと。

そんなVTuberになるためのアプリは、スマホで手軽に行なえるモノも増えてきているが、スマホ用アプリではシンプルな動きしか再現できないなどの制限もある。そんな中、もっと自分の動きを細かく反映し、よりリアルにVTuberとして配信したいという人には、VIVEとVIVEトラッカーを使う方法がオススメだ。

しかし、そうしたVIVEを使ったVTuberデビューには、20万円以上の、とても高価なゲーミングパソコンが必要では? と思っている人も多いはず。VR用のPCというと、ビデオカードはGeForce GTX 1060以上が必要ですが、最近ではGeForceはRTX 20シリーズの登場により、GTX 10シリーズが市場から消え始めています。

また、RTX 20シリーズは、高い性能を誇りますが、まだまだ高価。そこで今回は今年11月に発売されたばかりで、ゲームによってはGTX 1060よりも高いコスパを誇る「Radeon RX 590」をベースに、VTuberを始めるにあたって十分な性能を備えるデスクトップPCを、比較的手ごろな予算で提案したいと思います。目指せ、VTuber!

今回の記事のために借用したパーツ。ディスプレーとVRデバイスは別予算としています

VTuber向け自作PCの予算は11万円台!

VTuber向けPCを自作するために、今回各メーカーから借用したのが下記のパーツです。ディスプレーとVRデバイスは別予算としましたが、ディスプレーは1万円前後、VRデバイスはHTCの「VIVE」なら直販価格6万9390円で購入できます。今回選んだパーツを秋葉原でそろえた場合の合計金額は、約11万2700円前後なので、すべて合わせても18万円台でVTuber用の機材がそろうわけです。

VTuber向け自作PCパーツ一覧
CPU AMD「Ryzen 5 2600」 2万3000円前後
CPUクーラー AMD「Wraith Stealth」 0円(CPUに同梱)
マザーボード MSI「B450 GAMING PLUS」 1万100円前後
メモリー CORSAIR「CMK8GX4M2A2400C14」 9200円前後
SSD Cruicial「CT500MX500SSD1/JP」 8000円前後
GPU ASRock「Phantom Gaming X Radeon RX590 8G OC」 3万5000円前後
電源 ANTEC「NeoECO Gold NE550G」 7000円前後
PCケース Thermaltake「Versa H26」 4000円前後
OS Microsoft「Windows 10 Home 64bit 日本語 DSP版」 1万6400円(パーツと同時購入)
合計 11万2700円前後

※12月30日調べ

こだわり抜いて選んだ珠玉のパーツを個別に紹介!

VIVEの推奨CPUは「AMD FX 8350」(8コア/8スレッド、4~4.2GHz)、Intel「Core i5-4590」(4コア/4スレッド、3.3~3.7GHz)以上とされています。

そこで今回は、第2世代Ryzeで最も手ごろ価格のAMD「Ryzen 5 2600」を選択。推奨CPUに近い性能で、最新のCPUはというとAPUの「Ryzen 3 2200G」でもよいのですが、VRは外部グラフィックがどうしても必要です。そう考えると、内蔵GPUはいらないですし、長く使うとなると6コア12スレッドと、スレッド数が多く、マルチ作業にも向く「Ryzen 5 2600」のコスパが光ります。

AMD「Ryzen 5 2600」

第9世代のインテルCore iシリーズは、クーラーを付属していないのですが、Ryzenシリーズは同梱しているという点もコスパを考えれば重要な要素です。「Ryzen 5 2600」は、X付と違いTDPも65Wと低めなので、標準の「Wraith Stealth」でも十分冷えます。ただし、今回の検証ではCPUグリスはシリコングリスではなく、手持ちのシルバーグリスを使いました。

標準で付属する「Wraith Stealth」

マザーボードは、「B450 GAMING PLUS」をセレクト。価格はほぼ1万円と手ごろながら、USB 3.1 Type-A Gen2×2、USB 3.1 Type-A Gen1×2、USB 2.0×2と、VRヘッドセットを使うのにも十分なインターフェースを備えています。

同社のユーティリティー「Gaming APP」では、ワンクリックでシステム環境をVR向けに最適化する「One click VR」ボタンが用意されている点が、選んだ決め手。VRが初めてという人には、特にオススメです。

MSI「B450 GAMING PLUS」

メモリーは安価な製品がほかにもありますが、無用なトラブルを避けるためRyzen用として実績のあるCORSAIR製の「CMK8GX4M2A2400C14」(DDR4-2400)を選びました。

Ryzen 5 2600の性能をフルに引き出すには、2666MHzの製品を選ぶべきですが、今回はコスパと入手性を重視しました。実は個人的にもずっとこのブランドのメモリーを選んでいます。質実剛健なデザインがたまりません。

CORSAIR「CMK8GX4M2A2400C14」

ストレージは、SSD+HDDという構成も考えましたが、今回はあえて値ごろ感の高いSerial ATA接続の2.5インチSSDのみを選択。VTuberとして生配信がメインなら容量500GBで当面は事足りるでしょう。空き容量が足らなくなったら、データ用ストレージとしてHDDなどを買い足すことをオススメします。

Cruicial「CT500MX500SSD1/JP」

ビデオカードは発売されたばかりのASRock製「Phantom Gaming X Radeon RX590 8G OC」。今回のパーツの中で最も高価ですが、VRではCPUよりもGPUの性能が重要になってきます。VRレディーということなら、Radeon RX 570以上ということになりますが、RX 570だとやや性能に余裕がありません。そのため、長く快適に使うことを想定し、GTX 1060よりも高い性能を持ち、コスパも悪くない最新のRX 590としました。

ASRock「Phantom Gaming X Radeon RX590 8G OC」

電源はシステム全体の電力消費量を踏まえて、値ごろ感の高い550Wタイプを選択。実売7000円前後の低価格モデルですが、すべてのコンデンサーに日本メーカー製が使われており、長期7年保証が付帯されている点も安心感が高いです。

ANTEC「NeoECO Gold NE550G」

PCケースは価格とメンテナンス性を重視してThermaltake製のエントリーモデルをセレクト。フルサイズのアクリルサイドパネルにより、4000円前後とは思えないほど洒落たデザインです。

Thermaltake「Versa H26」

パーツ組み上げ時にはココに注意!

今回は自作解説記事ではないので、組み立ての手順詳細は省きますが、マザーボードの「B450 GAMING PLUS」には日本語マニュアルが付属しているので、それを見ながら作業を進めれば特に詰まるところはないはずです。PC自作の全体の流れについては過去記事を参照してください。

「AMD Ryzen 5 2600」は上位プロセッサーのThreadripperに比べると、ピンの数が少なく、1本1本も太いので気が楽です。とは言えピンを曲げないように取り扱いには注意しましょう。またプロセッサーに触れる前には、金属に触れて静電気を逃がすことも忘れずに

CPUグリスはこのぐらい。目安としては米粒2~3粒程度で十分です。中央にまんべんなく塗っておけば、CPUクーラーを取り付けた際の圧力で、ある程度外側にも広がります

マザーボードの取り付けは慎重に。ドライバーを滑らして、細かなパーツを破損させないように注意しましょう

というわけで、これで組み上げは完了

エアフローを考慮して、ケーブルはマザーボードの裏に回すのが基本ですが、長さが余っているケーブルはある程度まとめておきましょう

バーチャルキャストがほぼ90fps張り付きで快適に使える!

さてVTuber向け自作PCがついに完成したので、早速パフォーマンスをチェックしてみましょう。今回はCPU/OpenGLベンチマーク「CINEBENCH R15」、VRベンチマーク「VRMark」に加えて、実際にVRライブ・コミュニケーションサービス「バーチャルキャスト」でどのくらいのフレーム数が出るのか計測してみました。

今回はVRデバイスとしては「VIVE」を使用しています

CINEBENCH R15.0
OepnGL 101.93 fps
CPU 1517 cb
CPU(Single Core) 167 cb
VRMark
Orange Room 7847
Cyan Room 5351
Blue Room 1347
バーチャルキャスト
最高フレーム数 91
最低フレーム数 79
平均フレーム数 89.236

CINEBENCH R15.0のCPUスコアは1517cb、OpenGLスコアは101.93fps。3Dゲームだけでなく、RAW画像の現像、4K動画の書き出しなどのクリエイティブ系アプリケーションも快適に利用できるパフォーマンスを備えているといえます。

VRMarkでは、VR Ready PCの目安としているスコアに対して、基本テスト「Orange Room」は約1.57倍の「7847」、中負荷テスト「Cyan Room」は約1.73倍の「5351」、高負荷テスト「Blue Room」は約1.24倍の「1347」のスコアを記録しています。

さて肝心のバーチャルキャストですが、最高フレーム数は91fps、最低フレーム数は79fps、平均フレーム数は89.236fpsとブレ幅の少ない安定したフレームレートを確認できました。実際にVRゴーグルをかぶってバーチャルキャストを利用していても、特に遅延は感じません。これなら長時間の生放送もVR酔いせずに、快適に配信できそうです。

32コア・64スレッドの「第2世代 Ryzen Threadripper」

VR空間内で激しく踊ったり、自分の頭をピコピコハンマーやハリセンで叩いてエフェクトを表示させると多少フレームレートが落ちますが、描画の遅延などは特に感じなかったです

コスパ抜群の「Ryzen 5 2600」で長く使えるVRマシンをつくろう!

VTuberとして生配信するためには処理性能の高いPCが必要ですが、バランスよくパーツを組み合わせることで、比較的安価にマシンを組み立てられます。また今回のマシンはある程度長く使うことを見据えて、余裕のあるスペックでパーツを構成しました。

VTuber用途だけでなく、VRコンテンツを思う存分楽しんだり、クリエイティブ系アプリも快適に利用できます。今回のマシン構成を参考に、ご自身の目的に合わせてカスタマイズして、最高の一台をぜひ手に入れてください。

「Ryzen 5 2600」のコスパは優秀。筆者が実際に購入するなら今回の構成を軸に、ストレージを強化したいと思います。ああ、返却したくないなあ

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