ntelと歴史的な訴訟合戦に突入
裁判に勝訴するがIntel互換と決別
このようにx86以外のラインナップは順調だったが、問題はIntelが突如としてセカンドソース契約を破棄するとともに、IntelのマイクロコードをAMDが不正に利用した、と提訴したことである。ここからAMDとIntelは、歴史的な訴訟合戦に突入することになる。
この話をし始めるとそれだけで膨大な記事になるので要点だけかいつまんで説明すれば、この結果としてAMDはx86プロセッサー(既存のセカンドソース契約に基づくAm8086/8087/80186/80187)がまず販売できなくなった。
もちろん法的には販売は可能であるが、もし最終的にAMDが訴訟に敗けた場合、AMDだけでなくAMDから互換プロセッサーを購入した顧客までIntelに訴えられる可能性があると判断された結果として、売るに売れない状況になった。
Intelは翌年、Am286についても80286の特許を侵害していると提訴して、Am286も販売が難しくなった。そうした中でもへこたれないのがAMDで、Intel 386をリバースエンジニアリングし、この情報を基に1990年には386互換のAm386を発表する。
画像の出典は、AMD
1991年には今度はAm386が著作権侵害で提訴されると同時に、IntelはAm386にぶつけるべくIntel 486SXをリリース、これに対抗してAMDはすぐさまAm486SXをリリースするという壮大なチキンレースがスタートした。
1992年にまず1987年の訴訟が結審、1982年のセカンドソース契約は有効で、AMDがAm8086などを発売するのは合法であるとされるとともに、Am286についても特許侵害はないとされた。またAm386の販売も合法とされた。
ただしAm486については、内部に利用されているマイクロコードの権利が無いと判断され出荷ができなくなった。もっともこの際にIntelが、決定的証拠を裁判所に対して故意に未提出だった、という話が後で発覚。2年後に逆転勝訴となり、晴れてAm486を1994年から出荷開始できることになった。
訴訟そのものはAMDが勝ったが、勝ちが決まるまでの間にIntelがビジネスを奪って行ったことで、大きく企業体力に水をあけられたのがこの時期ではある。
この後IntelのPentiumに対抗すべくAMDもK5を用意するものの、性能的には今一つおよばなかった。それもあり、AMDは当時Pentium Proにも負けないアーキテクチャーを実装していたNX586(とその後継のNX686)というプロセッサーを開発していたNexGenを1996年に6億2500万ドルで買収した。
画像の出典は、AMD
このNX686のデザインを基に、1997年にAMD K6をリリースする。K6に続き、翌年は動作周波数を引き上げ3D Now!を搭載したAMD K6-2、1999年にはK6-2に256KBのL2キャッシュを搭載したK6-IIIを発表する。
画像の出典は、AMD
ここまでのAMDのx86 CPUは、全てIntelの競合製品とピン互換を保ってきたが、それが保たれたのはこのK6-IIIが最後であった。これはIntelがバスライセンスを提供しない、つまり互換品を利用できなくするという方針を取ったことへの対抗策でもある。