Intelを凌駕する内蔵GPU性能でAPUが人気を博す
世界初、広帯域メモリーHBMを採用したGPUをリリース
2014年、Rory Read氏が辞任、後任にはCOOを務めていたLisa Su氏が就任する。
画像の出典は、AMD
まずこの世代、APUではKaveriコアが投入される。CPUコアはPiledriverの後継であるSteamrollerコアを実装、GPUコアはGCNとなり、とくにGPU性能が大幅に向上した。
内蔵GPUの性能比較で言えば、IntelのCore iシリーズを軽くぶっちぎる性能を実現したことで、ディスクリートGPU向けはともかくとして統合GPU向けでは人気を博すことになった。
GPUはこの年Radeon R9/R7 3xxシリーズを投入するが、こちらも基本的にはRadeon R9/R7 2xxシリーズのマイナーアップデートに過ぎない。これは状況的にはNVIDIAも同じで、28nmプロセスの次になる16/14nm FinFETプロセスの立ち上がりに時間がかかっていたためである。
Kaveriの製造もGlobalfoundriesを利用していたが、従来の32nm PD-SOIから28nmのバルクCMOSに変更している。ただIntelがいち早く22nmでFinFETを利用したプロセスを導入したのに対し、AMDはかなりのビハインドを負っていた。
2015年も引き続き状況は厳しいままであったが、逆転に転じる道筋が見え始めた年である。
まずCPUについては、KaveriのマイナーバージョンアップであるGodavaliベースの製品が投入された程度であるが、GPUについては28nmプロセス+GCNベースながらCU(Compute Unit)の数を大幅に増やすとともに、メモリーとしてHBM(High Bandwidth Memory)を業界で最初に採用したRadeon R9 FuryやRadeon R9 Fury Xをリリース。NVIDIAに一矢報いることに成功する。
画像の出典は、AMD
そして明るい話として、この年にZenとVegaというCPUとGPUのアーキテクチャーの発表があったことだ。CPUのアーキテクチャーは、普通完全に0から構築しても5年やそこらはかかる。
この時期に発表があったというのは、2010年のBulldozerベースのAMD FXの発表から間を置かずに、すぐアーキテクチャーをスクラッチから作り直し始めたということであり、それが正しい方向を向いていると判断されたことで2015年の発表につながったと考えられる。
これはGPUも同じで、2016年にFinFETプロセスを採用した新製品を投入することをやはり発表している。
その2016年、GPU向けに投入されたのがPolarisコアのRadeon RX 4xxシリーズである。こちらはGlobalfoundriesの14nm FinFETプロセスを利用したメインストリーム向け製品で、大幅に性能/消費電力比を改善した。
残念ながらZenコアを使ったCPUは2017年までお預けとなってしまったが、2015年にモバイル向けに発表されたCarrizoベースのAPUの後継としてこの年6月に発表されたBristol RidgeベースのAPUは、OEM向けなどに好評であった。