RX 5700でもRTX 2070を超えてきた!
では今回用意したGPUを様々なベンチマークで対決させ、現在の力関係がどうなっているのかをチェックしよう。
まずは「3DMark」の定番テスト4つのスコアー比べだ。RX 5700シリーズはDXRには対応しない(SPを使った処理でも対応して欲しいところだが)ため“Port Royal”は除外している。
RX 5700シリーズの立ち位置は、このベンチの結果に集約されているといってよい。即ち、RX 5700はVega 64と同程度のパフォーマンスを持ち、かつ比較的低負荷(Fire StikeやTime Spy)の領域ではRTX 2060 FEどころかRTX 2070を超えることすらある。その上位であるRX 5700XTはお披露目時にライバル扱いしていたRTX 2070を大きく上回り、Radeon VIIのすぐ後ろに付けている。
最上位のRadeon VIIはメモリーバス幅が肝となる4Kでのテスト(Fire Strike ExtremeおよびTime Spy Extreme)では強いが、それ以外ではRX 5700XTと大差ない。つまりメモリーの帯域がボトルネックにならない状況ではRDNAアーキテクチャーによる改善点が優位に立つということだ。プロセスルールでは同世代のハイエンドを巻き込むことを顧みずライバルを殴り倒すAMDのスタイルは、AMDのRDNAに対する並々ならぬ自信と、ゲーミング向けGPUでの覇権を取り返すという意志を読み取ることができる、といえるだろう。
ではここで消費電力をチェックする。消費電力計はラトックシステム「REX-BTWATTCH1」を使用した。Time Spyデモ実行中のピーク値を“高負荷時”としている。アイドル時はシステム起動10分後の値だが、今回のシステムの場合電源プラン(Ryzen Balanced)でクロックが常時4〜4.2GHzあたりで高止まりし、安定値が全く読めないため、アイドル時の消費電力のみ電源プランを“バランス”にした状態で測定している。やや強引な解決策だがビデオカードのみの消費電力を見るための工夫だ。
Vega64の高負荷時消費電力をベースにすると、7nm化とアーキテクチャー変更による省電力化は大きな成功を収めているといえるだろう。Radeon VIIとRX 5700XTはTime Spyでほぼ同レベルの描画性能を示していたのに、消費電力は9%程度下がっているというのは非常に興味深い。
ちなみにRyzen Balancedでアイドル時の消費電力を計測すると、どのGPUも80W~90Wの範囲で変動する感じだ。
続いては「VRMark」のスコアーを比較する。このクラスのGPUだとOrange Roomのスコアー比較は軽すぎてほぼ無意味であるため、DirectX12ベースのCyan Room、あるいはDirectX11ベースでも非常に重いシーン設計になっているBlue Roomのスコアーをチェックするとよいだろう。
Cyan Roomのスコアーを見ると、ここでもRX 5700XTがRTX 2070を3%程度上回ったものの、Raden VIIに対しては11%下のスコアーに甘んじている。Time Spyと同じDirectX12ベースのテストでも、かなり傾向の違う結果となった。メモリーバス幅が太いのが良いかというと、Vega 64のすぐ後ろにRX 5700が付けている。7nm化による高クロック動作の恩恵がかなりの部分を占めているようだ。