■ゲームタイトル:Wolfenstein: Youngblood
■メーカー名:Bethesda Softworks
■価格情報:3800円(通常版)、4800円(Deluxe Edition)
■Wolfenstein: Youngblood公式サイト:https://bethesda.net/ja/game/wolfenstein-youngblood
1981年にリリースされた「Castle Wolfenstein」以来、実に40年近く続いている「Wolfenstein」シリーズ。謎の文明技術により第二次世界大戦に勝利したナチス・ドイツと、ナチスに立ち向かうレジスタンスの活躍を描く同作は、銃撃戦の爽快感や魅力的なシナリオ、敵キャラクターまで含めた印象的な登場人物といった要素で、広く人気を集めている。
これまでのシリーズはシングルプレイをメインとしてきたが、最新作の「Wolfenstein: Youngblood」は、シリーズとして初めてシナリオにCo-op要素を盛り込んだ外伝的な作品だ。全編にわたって協力プレイに対応しているほか、RPG的な要素の導入、侵攻ルートをプレイヤーにゆだねる自由度の高さなど、実験的な要素を多数投入しているのが特徴と言えるだろう。
主な舞台は1980年のパリで、主人公はシリーズを通してのヒーローと言えるB.J.ブラスコヴィッチではなく、その双子の娘である「ジェス」と「ソフ」の2人。彼女たちは前作「Wolfenstein II: The New Colossus」の時点ではまだ母親のお腹の中にいたが、作中時間で19年の時を経て、立派に成長している。アメリカで両親からレジスタンスの戦士としての訓練を受けていた2人は、突如失踪した父親の手がかりがパリにあることを知り、占領下のフランスでナチスとの戦いに身を投じる……というのが本作のおおまかなストーリーだ。
SF要素が強いFPSタイトルらしく、強力な武器を使ったド派手な銃撃戦が行えるのは従来通り。加えて先に述べた通り、本編はすべての場面でCo-opによる協力プレイに対応しているのが大きなトピックで、ジェスとソフはパートナーとして常に行動を共にすることになる。
プレイヤーは最初にジェスとソフのどちらを操作するかを選択し、協力プレイを行う場合はフレンドやクイックマッチした他プレイヤーに姉妹の片方をゆだね、シングルプレイの場合はAIが姉妹のうち1人を操作するわけだ。2人に能力差はないが、最初にいくつかのスキルを取捨選択することになるため、選び方しだいでは操作感がやや異なるだろう。
Co-opの導入に伴い、もっとも意識しなければいけないのはヘルス(体力)と共有ライフ(残機)まわりの仕様変更だ。今作では、お互いのプレイヤーはヘルス(体力)が0になっても、一定時間であればパートナーの助けを経てペナルティーなしで蘇生できる。さらに2人ともヘルスが0になった場合、共有ライフ(残機)を消費することで復活可能と、言わば2段階の救済措置があるわけだ。共有ライフが0の時点で、どちらかのヘルスが0になればゲームオーバーとなる。
上手く立ち回れば何度も蘇生できるが、敵のど真ん中に出てしまえばパートナーの蘇生が困難になってしまうため、位置取りには特に気を使いたいところ。そのほか、ハンドサイン(エモート)によって一定時間能力を向上させる、2人で操作しなければ開かないボックスやドアがあるなど、Co-opを盛り上げる要素もいくつか導入されており、このあたりは旧作のプレイヤーも新鮮さを感じられるだろう。
これまでの同シリーズがおおむねシングルプレイによるB.J.ブラスコヴィッチの英雄譚であったことを考えれば、Co-opをゲームの根幹に組み込んだことは大きな挑戦と言っていいと思うが、これを補助するユニークな試みとして、本作のDeluxe Editionに付属する「Buddy Pass」にも注目したいところ。これは、“ゲームを所持していないフレンドを招待し、一緒にCo-opプレイを行える”権利で、ゲームを持っていないプレイヤーも無料のデモ版をダウンロードしておくだけで一緒にプレイできる。
通常版とデラックス版の価格差は1000円程度なので、仲のいい友人に権利をプレゼントして一緒に遊ぶのもいいし、お金を出し合ってデラックス版を購入するのもいいだろう。特に若いユーザーにとって、非常に魅力的な試みであることは評価したい。
なお、シングルプレイ時のもう1人の姉妹を操作するAIに関しては及第点で、プレイフィールを極力損なわないように設計されている。もちろん人間のようにはいかない場面もあるが、特に戦力が整っていない序盤は心強い相棒となるはずだ。