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“Eco”モードでTDP65W動作も可能
Ryzen 9 3950Xの設計は既存のRyzen 9 3900Xの延長線上にある。Zen2アーキテクチャーではCPUのコア8基(最大)が1組になったCPUダイ(CCD)とメモリーやPCI Expressコントローラーなどを備えるIOダイの組み合わせである。Ryzen 7 3700Xや3800XはCCDが1基で物理8コア、Ryzen 9 3900XはCCD2基で物理12コアだが、1CCDあたり6コアしか使えない。
Ryzen 9 3950Xは、8基フルで使えるCCDが2基なので物理16コアという勘定になる。アーキテクチャー的な部分は既存の第3世代Ryzenと変わらず、スケールアップさせたものになる。
ちなみに、Ryzen 9 3950Xを組み込んでブートさせるには、BIOSが最新である必要はない。今回検証で使用したマザーボード(ASRock「X570 Taichi」)のBIOSは7月11日付けの“1.60”だったが、問題なくPOSTを通過した。ただ安定性向上や性能をフルに引き出すという観点から、最新BIOSに更新して本格的に使い続けることをオススメしたい。
技術的な新要素は全くないが、Ryzen 9 3900Xの12コア24スレッドでも、今回のRyzen 9 3950Xの16コア32スレッドでもTDPは同じ105Wと言うのは一見すると奇妙に思える。それほどZen2のワットパフォーマンスが凄いのか……ということになるが、正確にいえば、Ryzenは“CPUが使える電力量”が厳しく制限されていて、その制限に合うように強制的にクロックを調整する仕組みになっている。
とはいえ発熱量は大きくなることが予想されるため、Ryzen 9 3950Xには3900Xに同梱されていたWraith Prism w/ RGBクーラーは同梱されない。そのためCPUクーラーは別途購入する必要があるが、AMDはRyzen 9 3950Xの使用にあたっては、ラジエーターが280mm以上の簡易水冷を推奨している。
ただ16コア32スレッドのCPUを小型PCにも組み込みたい、あるいはクーラーの選択肢が限られている状況でも使いたい、という人のために“Ecoモード”なる機能を最新の「Ryzen Master」に実装している。これを有効にするとTDPは65Wにまで下がるため、冷却性能や電力供給量に制限のある環境にも組み込みやすくなるのだ。ちなみにEcoモードは本稿公開時点で配布されているものを導入すれば、既存の第3世代Ryzenで動くことを確認している。