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【注目Radeonピックアップ!第7回】

RX 5700 XT搭載の本格水冷グラフィックスカード「Liquid Devil RX5700XT」はどんな製品?

文●宮崎真一 編集● AMD HEROES編集部

AMDの新世代GPU「Radeon RX 5700 XT」(以下、RX 5700 XT)は、発売開始から4か月が経過し、市場にはさまざまなオリジナルデザインの製品が賑わいを見せている。そんな中、PowerColorから本格水冷に対応した水枕を搭載したモデル「Liquid Devil RX5700XT 8GB GDDR6」(以下、Liquid Devil RX5700XT)が登場した。

このLiquid Devil RX5700XTは、水冷メーカーとして知られるEK Water Blocksとのコラボレーションにより実現したモデルで、同社の水枕が装着されている点が大きな特徴だ。では、Liquid Devil RX5700XTがどのような製品なのか、詳しく見ていきたい。

RX 5700 XT 50th AEの高クロック版GPUを搭載

まずは、Liquid Devil RX5700XTの動作クロック設定から紹介しておこう。Liquid Devil RX5700XTが採用するGPUは、AMDが50周年を記念して用意した「Radeon RX 5700 XT 50th Anniversary Edition」(以下、RX 5700 XT 50th AE)である。このRX 5700 XT 50th AEは、ブースト最大クロックが1980MHzと、通常のRX 5700 XTから75MHz引き上げられた高クロック版にあたるGPUである。

このLiquid Devil RX5700XTでは、ブースト最大クロックをさらに2070MHzまで向上させ、工場出荷時状態で2GHzオーバーの動作を謳う点はなかなかインパクトが大きい。なお、Liquid Devil RX5700XTのベースクロックやゲームクロックは公表されていないが、メモリクロックは14Gbpsと、こちらはRX 5700 XTのリファレンスから変わりはない。

Radeon SettingsからGPU情報を確認してみると、GPUがRadeon RX 5700 XT 50th Anniversary Editionであることがわかる

GPU-Z(Version 2.27.0)の実行結果。ブースト最大クロックは2074MHzと表示されている

また、Liquid Devil RX5700XTでは“OC”と“UNLEASH”と呼ばれる2つのVBIOSを搭載。これらのVBIOSはディップスイッチで切り替えるのだが、工場出荷時設定はOCのほうだ。なお、PowerColorの説明によると、UNLEASHは水冷クーラーの冷却性能の高さを利用することで、最高性能を目指すために用意されたVBIOSであるという。

VBIOS切り替え用ディップスイッチはカード側面のブラケット寄りに配置。ブラケット側がUNLEASH、反対側がOCで、工場出荷時設定はOCとなっていた

さて、カードそのものを見ていくと、カード長は実測で約240mm(※突起部除く)で、RX 5700 XTリファレンスカードが同273mmほどだったので、それより30mm以上も短い計算になる。ただ、チューブ接続をする都合上、マザーボードに装着した際、GPUクーラーはブラケットから垂直方向に54mmほどはみ出た格好となっており、PCケースとの干渉を防ぐため、カード上部の空間をしっかりと確保する必要がありそうだ。

水冷ヘッドとチューブとの接合部がはみ出た格好となっているため、カード上部にはある程度の空間を確保する必要がある

カード裏面にはカードの補強を担うバックプレートが装着されている

GPUクーラーは1スロットほどを占有する厚みがあり、EK Water Blocks製の水枕を始めとして、カード全体を厚さ12mmほどのアクリル板が覆う構造を採っており、その外観は板のような形状だ。また、アクリル板の下部にはLEDが搭載されており、通電時はその点灯がアクリル板内部に反射して、いい雰囲気を醸し出している点も見逃せない。

水枕には、腐食を防止するためにニッケルメッキが施された銅製のものを採用。さらに、水枕はメモリチップやVRMにも接しており、これらの熱も水冷でしっかりと冷却される点は好評価だ。

今回はGPUクーラーを取り外せていないため、PowerColorの資料を参照すると、基板には12層構造を採用し、電源部は10フェーズ構成とのこと。電源部にはドライバICとMOSFETを1パッケージに収めたDrMOSを使用し、さらに300W以上の電力にも対応できる高分子コンデンサを配しているという。高クロック動作の安定性を考慮し、電源部には品質の高い部材を使用しているというわけだ。

補助電源コネクタは8ピン×2構成。RX 5700 XTリファレンスカードが8ピン+6ピン構成だったので、クロックアップに合わせて、電力供給面での強化も施されている。一方、映像出力インタフェースは、DisplayPort 1.4×3、HDMI 2.0b×1で、こちらはリファレンスカードから変わりはない。

補助電源コネクタは8ピン×2構成。リファレンスカードから電力供給面も強化が施されている

映像出力インタフェースは、リファレンスカードと同じDisplayPort 1.4×3、HDMI 2.0b×1。ブラケットは2スロット分確保されている

パッケージには専用のクーラントも付属する

そのほかPowerColorのメンバーズサイト、DevilClubの招待状も同梱されている

12月発売予定で想定売価は
少し高めの7万3980円(税抜き)

Liquid Devil RX5700XTは、12月発売予定で、その想定売価は7万3980円(税抜き)とされている。そのため、RX 5700 XT搭載カードの多くが5万円~5万5000円で販売されているのに比べると確かに高価だ。とはいえ、本格水冷クーラーを採用したことで、このLiquid Devil RX5700XTは、性能および静音性の向上が享受できることは間違いなく、その両立を目指すユーザーにとっては気になる存在になるだろう。

とくに、水冷クーラーを導入する際、ほとんどの製品が、従来のGPUクーラーを外してしまうと動作保証が得られなくなってしまうのに対して、本製品では最初から水冷クーラーが搭載されているため、そのまま動作保証が得られる点もユーザーにとっては大きなメリットだ。

本格水冷というとハードルが高いと感じてしまう人も多いかもしれないが、すでに水冷を導入している人や、これからの導入を考えている人にとって、このLiquid Devil RX5700XTはオススメできる1枚であることは間違いない。


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