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【AMDチップセットマザーボードレビュー第8回】

豊富な機能に、超ド級CPUを余裕をもって動かすVRMと冷却、ASRock「TRX40 Taichi」レビュー (1/2)

文● 石川ひさよし 編集● AMD HEROES編集部

16フェーズは多い?少ない?
実はフェーズあたりで使える電流量が大幅強化

製品名:TRX40 Taichi
メーカー:ASRock
実売価格:7万円前後

「TRX40 Taichi」の主なスペック
対応ソケット Socket sTRX4
チップセット AMD TRX40
フォームファクター ATX
メモリースロット DDR4×8(最大256GB)
対応メモリークロック DDR4-4666(OC)~3466(OC)、DDR4-3200~2133
拡張スロット PCI Express 4.0 x16×3(x16)、PCI Express 4.0 x1×1
ストレージインターフェース SATA3(6Gbps)×8、M.2(PCIe4.0x4)×1、M.2(PCIe4.0x4/SATA3)×1、M.2(PCIe4.0x4、Wi-Fi 6用)×1、Hyper Quad M.2 Card[M.2(PCIe 4.0x4×4)]
ネットワーク 2.5ギガビットLAN(Realtek Dragon RTL8125AG)、ギガビットLAN(Intel I211-AT)、Wi-Fi 6
サウンド 7.1ch HDオーディオ(Realtek ALC4050H、ALC1200)
リアインターフェース PS/2×1、USB3.2 Gen2 Type-A×2、USB3.2 Gen2x2 Type-C×1(20Gbps)、USB3.2 Gen1 Type-A×4、オーディオ端子×5、SPDIF端子×1
M/B上インターフェース RGB LEDヘッダー×2、アドレサブルLEDヘッダー×2、USB2.0ヘッダー×1、SB3.2 Gen1ヘッダー×2、USB3.2 Gen2 Type-Cヘッダー×1など
ASRock TRX40 Taichi

 第3世代Ryzen Threadripperは、Ryzen Threadripper 3970Xのコア/スレッド数が32コア/64スレッドと、1世代前のRyzen Threadripper 2990WXと変わらないが、12nmから7nmへとプロセスをシュリンクし、内部ではキャッシュの増量や、PCI Express 3.0の66レーンからPCI Express 4.0の72レーンへと増量。チップセットとの接続もPCI Express 3.0 x4からPCI Express 4.0 x8に拡大と、大幅な変更が行なわれている。これによりCPUのTDPはThreadripper 3970Xで280Wとなり、7nmプロセスへシュリンクしているにも関わらず2990WXの250Wから増加した。

 また、第3世代Ryzen Threadripperでは、チップセットがTRX40、ソケットがsTRX4へと変わった。これはCPU内部で大幅な変更があったためで、同じ第3世代でもメインストリーム向けRyzenでは同じソケットのまま移行できていたのに対し、よりコア数の多いThreadripperではその許容範囲を超えているということを意味する。

第3世代Ryzen Threadripperから利用されるソケットsTRX4

 さて、sTRX4をサポートするAMD TRX40チップセット搭載マザーボードで、初回同時リリースとなる予定の製品が今回紹介する「TRX40 Taichi」だ。

 まずはソケットを変えなければならなかった理由になるだろうCPU周りの回路から見ていきたい。

 TRX40 Taichiは、Threadripper向けマザーボードとしては、X399世代製品まで振り返っても比較的コンパクトに設計された製品と言える。フォームファクターはやや奥行きの長めのATXで、ただしこれはメインストリーム向けのAMD X570マザーボードでも似たようなサイズのものが多いため、上位プラットフォームでありながらメインストリーム級サイズと表現してよいだろう。コンパクトである分、幅広いケースに搭載でき、より小型のATXミドルタワーケースに搭載できる。

 ATXサイズなので、CPUソケットの左右すぐ横にメモリスロットが並ぶレイアウトだ。左右4本ずつはThreadripperの標準だ。また、4チャネル動作となるとメモリの動作もよりシビアなものとなるので、コンタクト部分には15μの金メッキが施されている。

ATX幅に収めるために高密度になったソケット周辺部。メモリスロットもユニークで、上部にスペースがないため、方ラッチのラッチのある側が拡張スロット側を向く配置

 それ以上に異様なのがVRMの冷却だろう。ソケットの左と上、2面に超大型のヒートシンクがあり、2つはヒートパイプで結ばれている。さらに、上部のヒートシンクの裏には小径ファンが2基搭載されており、第3世代Threadripper運用におけるVRMの発熱量がうかがい知れる。

VRMヒートシンクはかなり高さがあり、複雑に削りこまれている。とくに上部ヒートシンクは裏面に小径ファンを2つ搭載しているのがユニーク

 その下のVRM回路は16フェーズ(おそらくCPU用のみでカウント)。多いような少ないような、ただAMD X570マザーボードでも10フェーズを超えるものがあるから、Threadripper用としては少なく感じられるだろう。少ないが、1フェーズあたりの出力を高めた設計だ。MOSFET、このクラスではDr.MOSを使用するが、TRX40 Taichiでは90A出力が可能なものを採用しており、その下流のチョークも90A対応としている。90A×16フェーズで最大1,440A。実際にここまでの出力が必要となるようには思えないが、こうした余裕のある回路を構成している。

PWMコントローラは「ISL69247」
アンコア向けと思われる回路部分のPWMコントローラは「ISL69144」
マザーボード裏面に実装されたフェーズダブラーは「ISL6617」。写真中央下寄りの17AF刻印のチップ
ソケット上部に1列に並ぶDr.MOS「ISL99390」
アンコア部向けと思われる部分のDr.MOSはVishay Intertechnologyの「SiC632A」

 EPS12Vのレイアウトも独特だ。TRX40 Taichiでは8ピンのEPS12Vを2つ利用するが、上部ヒートシンクの左右に1つずつ配置している。同社はこのレイアウトを同社TRX40マザーボードの特徴にも掲げており、2つを離したことで、電力の変換効率、発熱の抑制、システムの安定性、オーバークロック性能が向上したと言う。

マザーボード上部を見ると、EPS12VがVRM回路を挟んで左右に配置されている

 TRX40チップセットは、Taichiのトレードマークでもあるギアを模したヒートシンク下に収められている。AMD X570でもそうであったように、TRX40でもファンが搭載されている。ヒートシンクカバーの下には高密度のアルミ製ヒートシンクが搭載されており、チップセット用としては比較的大口径の5cm径ファンがここに風を送り、チップセットを冷却する。

歯車デザインのチップセットヒートシンク
高密度のアルミニウムフィンでチップセットの熱を放熱する
もう一方にはソリッドタイプのアルミヒートシンクが伸び、ヒートパイプを通じてチップセットの熱を伝えている

 ここまで紹介してこなかったが、エンスージアスト向けプラットフォームでは、メインストリーム向けのものよりもより複雑な回路設計となることから、層を増やした多層基板が用いられる。TRX40 Taichiは8層基板。うち4層に基板全体で放熱するための2オンス銅箔層を設け、PCB自体のグレードも低損失のサーバーグレード品を採用していると言う。

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