高いCPU性能とストレージ性能で、ストレスのない快適動作に
気になる性能をベンチマークソフトを使ってチェックしてみよう。まずはCPU性能だが、CGレンダリング速度からCPU性能を計測する「CINEBENCH R20」を使用。すべてのコアをフルに使い切る「CPU」(マルチスレッド)と、1つのコアだけを使う「CPU(Single Core)」(シングルスレッド)の2つのスコアーでチェックした。
マルチスレッド時のスコアーは、1521ptsと非常に高い。環境は異なるものの参考までに手元の過去データと比べてみると、インテルのCore i7-8565Uでは1479ptsとなっていたことから分かる通り、Surface Laptop3はRyzen 5搭載機ながらも、Core i7を超える性能となっているのが興味深い。
ただし、コアが第2世代Ryzenとなるため、シングルスレッドのスコアーは368ptsと若干低めで、Core i7-8565Uの463ptsに一歩及ばなかった。とはいえ、最近のPC利用方法は複数のソフトを同時に使うことが多いだけに、多くのシーンでマルチスレッド性能の高さが強みとなりそうだ。
もうひとつ、速度計測ベンチマークソフトとして定番の「CrystalDiskMark」を利用し、体感速度に直結する部分としてストレージ性能もチェックしてみよう。
シーケンシャルのリード性能は高めとなっているが、ライト性能はNVMe接続のSSDとしてはそれほど速いものではない。ただし、SATA接続では速いものでもシーケンシャル速度で550MB/s程度しか出ないだけに、それらを上回っているぶん、高速だというのは間違いない。ファイルのコピーやソフトの起動、大きなファイルの保存といった体感面でも、とくにSSDが足を引っ張っているという印象はなかった。
「Radeon Vega 9 Graphics」の
ゲーミング性能の高さに注目
CPU内蔵のグラフィック機能は3D描画が弱めで、ゲームをするには力不足だというのが一般的な認識だ。しかしRyzen 5 3580Uが内蔵しているのは、「Radeon Vega 9 Graphics」。軽量クラスのゲームなら十分遊べる実力がある。
どのくらいの性能となるのか、まずは「3DMark」を使ってそのスコアーを見てみよう。
試したのは、軽量クラスのゲームに多いDirectX 11世代のテストとなる「Fire Strike」。IntelのCPUでは1000台前半ということが多いのだが、スコアーが2000を超えており大きくリードしているのは間違いない。グラフィックも含めた総合性能では、明らかにRyzenのほうが有利だといえる。
では、より実際のゲームに近い場合の性能はどうなるだろうか。ベンチマークソフトの「漆黒のヴィランズ ベンチマーク – ファイナルファンタジーXIV」を使い、どのくらいの設定で快適に遊べるのかを調べてみたのが、次の結果だ。
設定は解像度を「1920×1080」とし、画質を「最高品質」「標準品質(ノートPC)」の2パターンで試してみた。なお、表示はフルスクリーンとしている。
実は、ノートPCでグラフィック性能を比較する場合、多くの場合はフルHD(1920×1080ドット)ではなく、HD(1280×720ドット)で試すことが多い。これは単純にグラフィック性能が低く、フルHDでは現実的なスコアーが出ないためだ。
しかし結果を見てもらえればわかるとおり、Radeon Vega 9 Graphicsを内蔵するRyzen 5 3580Uでは、フルHDの最高品質でも評価は「普通」、そして標準品質(ノートPC)であれば「快適」と、十分ゲームが楽しめるだけの実力があるのだ。
より快適な動作を目指すならHDまで解像度を下げたほうがいいのは確かだが、そうするとゲーム画面が粗くなり、細部が見づらくなってしまう。快適に、美しい画面で楽しめるという点で、Ryzen 5 3580Uを搭載したSueface Laptop3は魅力的だといえるだろう。
もちろんこれはあくまで軽量クラスのゲームの話。重量クラスのタイトルでは解像度を下げた上に画質も大きく落とさなければ、プレイそのものが難しいだろう。
とはいえ、たまにはゲームで遊びたい、インディーズ系ゲームを楽しみたいというライトな要望であれば、しっかり応えてくれるだけの性能がある。