AMD HEROES

twitter
facebook
line

【AMDチップセットマザーボードレビュー第9回】

安定動作と高速ネットワークが特徴の「TRX40 Creator」 Threadripperと組み合わせて生産性をアップ!(1/2)

文● 石川ひさよし 編集● AMD HEROES編集部

定格で安定動作を追求した90A対応8フェーズの電源回路

製品名:TRX40 Creator
メーカー:ASRock
実売価格:6万5000円前後

ASRockから登場した2枚のTRX40マザーボード。1枚は前回紹介したゲーマー/OC向けのTRX40 Taichiで、もう1枚がクリエイター向けモデル「TRX40 Creator」だ。ASRockのCreator向けモデルは明るいシルバーというテーマカラーを採用しつつ、基本に忠実かつクリエイターが求める部分を強化するといった特徴のマザーボードだ。

「TRX40 Creator」の主なスペック
対応ソケット Socket sTRX4
チップセット AMD TRX40
フォームファクター ATX
メモリースロット DDR4×8(最大256GB)
対応メモリークロック DDR4-4666(OC)~3466(OC)、DDR4-3200~2133
拡張スロット PCI Express 4.0 x16×4(x16/x16+x16/x16+x16+x8/x16+x8+x16+x8)
ストレージインターフェース SATA3(6Gbps)×8、M.2(PCIe4.0x4)×2、M.2(PCIe4.0x4/SATA3)×1
ネットワーク 10ギガビットLAN(AQUANTIA AQC107)、2.5ギガビットLAN(Realtek Dragon RTL8125AG)、Wi-Fi 6(Intel)
サウンド 7.1ch HDオーディオ(Realtek ALC4050H、ALC1200)
リアインターフェース PS/2×1、USB3.2 Gen2 Type-A×2、USB3.2 Gen2x2 Type-C×1(20Gbps)、USB3.2 Gen1 Type-A×4、オーディオ端子×5、SPDIF端子×1
M/B上インターフェース RGB LEDヘッダー×2、アドレサブルLEDヘッダー×2、USB2.0ヘッダー×1、USB3.2 Gen1ヘッダー×2、USB3.2 Gen2 Type-Cヘッダー×1など

Ryzen Threadripper 3000シリーズは、32コア64スレッドという多コアを実現しており、ゲーマーと言うよりはレンダリングやエンコーディング、オーサリングといったクリエイティブ用途に向けたモデルであることがAMDのプレゼンテーションでも明らかだ。本製品はワークステーションよりもコストパフォーマンスがよく、メインストリームよりもハイパフォーマンスを求めるといったニーズに向けたモデルである。

ASRock TRX40 Creator

TRX40 CreatorとTRX40 Taichiの違いがよく分かるのがVRM設計だ。TRX40 Creatorは8フェーズに抑えられている。TRX40 Taichiの半分という数はインパクトがあるが、要はTaichi側はOCを視野に入れたためにCPUコア向けだけで16フェーズもの電源回路を構成しているというだけだ。Ryzen Threadripper 3000シリーズを定格で動作させるならば8フェーズで大丈夫ということになる。もちろん、MOSFETとチョークは90A対応のものを採用しており、十分な電力を供給可能だ。

TRX40 Creatorのソケット周辺の設計

VRMヒートシンクを取り外した状態。ソケットの上にチョークとMOSFETが並び、メモリスロットを挟んで、右と左それぞれにEPS12Vコネクタを配置。ソケットの左側にはアンコア向けの電源回路がある

回路設計では、PWMコントローラにRenesasの「ISL69247」を用い、MOSFETは同「ISL99390」を組み合わせている。フェーズダブラーは用いていない。一方、MOSFETを中心に、左右にEPS12Vの8ピンコネクタを置くレイアウトはTRX40 Taichiと同様だ。

PWMコントローラはRenesasの「ISL69247」

MOSFETは90A対応のRenesas「ISL99390」。写真下のチョークも90A対応だ

裏面はコンデンサがあるだけでフェーズダブラーは見当たらない。また、バックプレートもない

アンコア部の回路は、2フェーズ+2フェーズに分かれているようだ。1系統はPWMコントローラがRenesas「ISL69243」でMOSFETがRenesas「ISL99390」。もう1系統はPWMコントローラがRenesas「ISL69144」でMOSFETがVishay Intertechnology「SiC632A」という組み合わせだった。複雑だが、負荷の具合によって使い分けているものと思われる。

アンコア部の片方2フェーズ分はPWMコントローラにRenesas「ISL69243」を採用。MOSFETは先と同様「ISL99390」

もう片方の2フェーズはPWMコントローラにRenesas「ISL69144」を採用

MOSFETはVishay Intertechnologyの「SiC632A」

なお、TRX40 Taichiでも特徴とされていた8レイヤーのサーバーグレードPCB、4セットの2オンス銅箔層なども受け継いでおり、低損失、マザーボード上の熱を全体に拡散して放熱する設計といったメリットを挙げている。

VRMの冷却は、ソケット上部のVRM部分に小型ファンを搭載したヒートシンクを、アンコア部となるソケット左側部分にはソリッドタイプの大型ヒートシンクを採用し、2つをヒートパイプでつなげている。小型ファンを搭載するのはTRX40 Taichiと同様だが、過度のオーバークロックを想定しない分、1基で済んでいるのだろう。高さに関しては十分に高いが、TRX40 Taichiほど巨大というわけではないので見た目はライトになる。

チップセットヒートシンクは一見するとM.2ヒートシンクと一体のように見えるが、実は分離していて双方に熱を伝える仕組みはない。チップセットヒートシンク側はファンが下部にあり、そこで吸気した風をメモリスロット側に排気する。排気部分にはフィンが並んでおり冷却効率はよさそうだ。

チップセットヒートシンクは小径ファンを1基搭載

排気側の内側にはフィンが並んでいる

TRX40チップセット

M.2ヒートシンクは一枚板に熱伝導パッドを貼り付けたもので、3つあるM.2のうち上2つのスロットが2280サイズ対応、最下段が22110対応となっている。

PCI Express 4.0 x16×4スロットというビデオカードに全振りした拡張スロット。4-wayマルチGPUをサポートする

4本のPCI Express 4.0 x16スロットの間に3つのM.2スロットがある

M.2ヒートシンクは一枚板に熱伝導パッドを貼り付けた一般的な構造

上2つのM.2スロットは2280まで、最下段は22110をサポートする

Serial ATA IIIポートは8。その横にマザーボードに追加の電力を供給するためのPCI Express 6ピンコネクタがある

この記事もおすすめ

PAGE TOP