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検証環境は?
今回RX 5600 XTのパフォーマンスを検証するにあたり、既存のNavi世代からはRX 5700およびRX 5500 XT搭載カードを、RX 5600 XT登場に伴いフェードアウトするRX 590およびVega56搭載カードを、さらにライバルとなるGTX 1660 SUPER搭載カードをそれぞれ準備した。
ドライバーはRX 5600 XTが評価用のAdrenalin 20.1.1ベースのベータ版、それ以外は最新の20.1.2、GeForceは442.01(Hotfix)を使用している。
また、前述の2種類のvBIOSを使用した時のパフォーマンスもそれぞれ検証することとした。Performance vBIOS時はメモリーバス幅の狭いRX 5700に近いスペックとなるため、メモリーバス幅が今のゲームに及ぼす効果をハッキリと観測できるはずだ。
【検証環境】 | |
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CPU | AMD「Ryzen 7 3800X」 (8コア/16スレッド、3.9~4.5GHz) |
ビデオカード | Sapphire「PULSE Radeon RX 5600 XT 6GB」 (Radeon RX 5600 XT) AMD「Radeon RX 5700リファレンスカード」 ASUS「DUAL-RX5500XT-O8G-EVO」 (Radeon RX 5500 XT) AMD「Radeon RX Vega56リファレンスカード」 ASRock「Phantom Gaming X Radeon RX 590 8G OC」 (Radeon RX 590) ASUS「PH-GTX1660S-O6G」 (GeForce GTX 1660 SUPER) |
マザーボード | GIGABYTE「X570 AORUS MASTER」 (BIOS F11) |
メモリー | G.Skill「F4-3200C16D-16GTZRX」×2 (DDR4-3200、8GB×4) |
ストレージ | Western Digital「WDS100T2X0C」 (NVMe M.2 SSD、1TB) |
電源ユニット | Silverstone「ST85F-PT」 (850W、80Plus Platinum) |
CPUクーラー | Corsair「H115i」 (簡易水冷、280mm) |
OS | Windows10 Pro 64bit版 (November 2019 Update) |
Vega56の後継を名乗る資格は十分にある
では定番「3DMark」のスコアー比較から始めよう。Fire Strike〜Time Spy Extremeの4テストを実行した。
見事にRX 5600 XTはRX 5700とRX 5500 XTのほぼ中間に着地した。Performance vBIOS時のクロックはRX 5700とほぼ同等だが、スコアーは20%程度下回っていることから、メモリーバス幅を192bitに狭めたことが性能の調整に大きく寄与していることが分かる。
ただPerformanceとSilent vBIOSの差は意外なほどに小さく、3~4%のスコアーアップにとどまっている。テストに用いたSapphire製カードのように、メモリー14GbpsのvBIOSが提供されているカードでなくても十分なパフォーマンスが得られると考えてよさそうだ。
続いて「VRMark」のスコアーも比較してみよう。
こちらでも着順的にはほぼ同じ。3DMarkもVRMarkも、ライバルといえるGTX 1660 SUPERを大きく上回る結果を出している。ただし今回残念なことにシングルファン廉価版しか調達できなかったので、ややGTX 1660 SUPERにはかなり不利な検証となってしまったことは否定できない。
このVRMarkで注目すべきはRX 5600 XTとRX 590のスコアーの傾向だ。注目すべきはDirectX12で動くCyan Roomのスコアーで、よりコアの設計が新しいRX 5600 XTで大きくスコアーを伸ばしている。よりモダンなシェーダーで構成されたゲームに対して、RX 5600 XTはより威力を発揮すると考えてよいだろう。
では消費電力をチェックしよう。ラトックシステム「REX-BTWATTCH1」を使い、アイドル時の消費電力の安定値(低めのもの)と、3DMark“Time Spy”デモ実行中のピーク値を比較する。
VegaやPolaris世代のワットパフォーマンスの低さが悪目立ちしてしまったが、RX 5600 XTの消費電力は旧世代のGPUと比較してかなり改善されており、7nmプロセスの優秀さがよく出ている。
Performance vBIOS使用時は当然消費電力は増えるが、それほど大きくは増えていない。消費電力だけを見ればGTX 1660 SUPERの方が省電力であるが、描画性能はRX 5600 XTの方が30~40%高いことを考えると、ワットパフォーマンスは極めて優秀であるといえる。
国内モデルの初値での勝負は厳しいか?
以上の結果から、RX 5600 XTは既存のRX 590やVega56のポジションを継承するものであることが確認できた。7nmプロセス採用により消費電力も相応に低くなり、ファンノイズの大きい製品が多かったRX 590に比べるとかなり快適になった。これでVega56やRX 590も安心して市場からフェードアウトできるだろう。
しかし、本稿を編集部に提出する寸前(情報解禁まで10時間足らず)、テストに使用したSapphire製カードの予想価格(税込み4万1800円前後)が飛び込んできた。AMDがライバル視しているGTX 1660 SUPERに対して、性能面では大きなアドバンテージを得たものの、GTX 1660 SUPERの実売価格が2万円台中盤~3万円強に分布していることを考えると、まともに勝負するのはかなり厳しい。
RX 5700の安価なモデルが4万円を切っているのだから、明らかにオーバープライス。土壇場で3万6000~7000円あたりに落ち着くかもしれないが、それでもフルHDゲーミングのためのGPUとしては明らかに高い。
加えて、NVIDIAは先日RTX 2060の価格を299ドルに値下げした。北米ではGTX 1660 SUPERが229ドル、GTX 1660TiとRX 5600 XTが279ドルで並ぶが、RX 5600 XTの方がコストパフォーマンスに優れるという話だったが、税込み4万1800円という予想がそのまま通ったとすると、RTX 2060より高価になってしまう。
RTX 2060にすればDXRやDLSSも利用できるため、価格設定を間違えるとRX 5600 XTの前途はかなり厳しい。日本国内でRTX 2060の値下げの影響があるかは不明だが、少なくともRX 5600 XTが3万円に限りなく近づかない限り、GeForceに対する価格的なメリットのあるGPUとは言えないだろう。
次回後編では、実ゲームでのテストを中心に、RX 5600 XTの実力を明らかにしていきたい。