2020年1月6日、AMDはNavi世代のミドルレンジ向けGPU「Radeon RX 5600 XT」(以下、RX 5600 XT)を発表した。このRX 5600 XTは、型番通り「Radeon RX 5700」と「Radeon RX 5500 XT」の間に置かれるモデルで、AMDはフルHDでゲームが快適にプレイできるGPUと位置付けている。
今回はそんなRX 5600 XTを採用したPowerColorの「Red Devil Radeon RX5600XT」(型番:AXRX 5600XT 6GBD6-3DHE/OC、以下Red Devil RX 5600 XT)と「Red Dragon Radeon RX5600XT」(型番:AXRX 5600XT 6GBD6-3DHR/CO、以下Red Dragon RX 5600 XT)を取り上げる。PowerColorは、クロックアップを抑えたRed Dragonシリーズと、かなり高いチューニングを施したRed Devilシリーズを展開しているが、果たして今回の2製品はどのような出来に仕上がっているのだろうか。テストにより、両製品が持つポテンシャルに迫ってみたい。
Red Devilのブーストクロックは1750MHz
2つのVBIOSを持つDualBIOS仕様
まずは、Red Devil RX 5600 XTの動作クロック設定から紹介していこう。Red Devil RX 5600 XTは、ベースクロックこそ非公開ながらもゲームクロックは1660MHz、ブーストクロックは1750MHzと、リファレンス比で前者が285MHz、後者が190MHzとかなり引き上げられている。また、メモリクロックは14Gbpsで、こちらもリファレンスの12Gbpsから17%ほど高速になっている。
さらに、Red Devil RX 5600 XTは2つのVBIOSを持ったDual BIOS仕様で、SilentモードとOCモードの2つが用意されている。工場出荷時設定はOCモードで、その動作クロック設定は前述のとおり。Silentモードの詳細は明記されていないが、実機で試した限り、ゲームクロックが1495MHzに低下した。
カード長は実測で約240mm(※突起部除く)で、100mm角相当のファンを2基した2.5スロット占有タイプのGPUクーラーを搭載。これらのファンは「Mute Fan Technology」という機能により、GPUの温度が60℃以下になると回転を停止するようになっており、アイドル時の静音性が向上する。また、ヒートシンクには6mm径のヒートパイプが4本用いられ、PowerColorの説明によると、基板の電源部にはMOSFETとドライバICを1パッケージに統合したDrMOSを採用しているとのこと。さらに、電源部は8フェーズ構成で、信頼性の高い部材を採用することで、電力損失の低減や温度耐性の向上が図られているという。
補助電源コネクタは8ピン+6ピンで、リファレンスから6ピンが1基増えた格好だ。また、映像出力インタフェースは、DisplayPort 1.4×3、HDMI 2.0b×1という構成。