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【AMDチップセットマザーボードレビュー第14回】

小型でコスパ重視のゲーミングPCにオススメな、ASRock「Fatal1ty B450 Gaming-ITX/ac」をレビュー(1/2)

文● 石川ひさよし 編集● AMD HEROES編集部

製品名:Fatal1ty B450 Gaming-ITX/ac
メーカー:ASRock
実売価格:1万4000円前後

Fatal1ty B450 Gaming-ITX/acは、AMD B450チップセットを採用するMini-ITXマザーボード。チップセットがAMD B450なので、第3世代Ryzenはサポートしているものの、PCI ExpressはGen3止まり。細かく見ればほかにもいくつか制限があるが、低コストでゲーミングPCを組みたい、それも安定性が高いほうがよいという、多くのゲーマーが望むニーズをかなえてくれる。

「Fatal1ty B450 Gaming-ITX/ac」の主なスペック
対応ソケット Socket AM4
チップセット AMD B450
フォームファクター Mini-ITX
メモリースロット DDR4×2(最大32GB)
対応メモリークロック Matisse:DDR4-3200~2133、Pinnacle Ridge:DDR4-3466(OC)~3200(OC)、DDR4-2933~2133
拡張スロット PCI Express 3.0 x16×1
ストレージインターフェース SATA3(6Gbps)×4、M.2(PCIe3.0x4)×1
ネットワーク ギガビットLAN(Intel i211AT)、Wi-Fi 5(Intel製)
サウンド 7.1ch HDオーディオ(Realtek ALC 1220)
リアインターフェース PS/2×1、USB 3.2 Gen2 Type-A×1、USB 3.2 Gen2 Type-C×1、USB 3.2 Gen1 Type-A×2、USB 2.0×2、オーディオ端子×5、S/P DIF端子×1、DisplayPort 1.2(入力)×1、HDMI 2.0×1
M/B上インターフェース RGB LEDヘッダー×1、アドレサブルLEDヘッダー×1、USB2.0ヘッダー×1、USB3.2 Gen1ヘッダー×1など

Fatal1ty B450 Gaming-ITX/acが“Gaming”なところは、主に安定性・耐久性重視の設計がメインになる。Mini-ITXで唯一の拡張スロットであるPCI Express x16には金属カバー付き。ゲーミングPC用に用いられる大型カードによるスロットへの負荷に耐える設計だ。

PCI Express拡張スロットカバーはPCBを貫通し裏面からハンダ固定されている。重量級ビデオカードを搭載した際のスロット破損を防いでくれる

そしてPCI Express x16スロット内の端子や、メモリースロット内の端子には15μの金メッキを施し、CPU用の電源端子(EPS12V)は高密度電源コネクタを採用している。PCB基板も高密度ガラス繊維PCBをベースに2オンス銅箔層を採用している。

スロット内部に端子など、接点部分の品質を高めて安定性を向上

シンプルな回路でCPU:6フェーズ設計。3950Xも大丈夫

電源回路に移ろう。Fatal1ty B450 Gaming-ITX/acはAMD B450チップセットを採用していることもあり、OCをサポートしているが極限まで追求しているわけではない。定格で運用するのがメインだろう。とくに小型のケースに組み込む場合はエアフローに注意すべきであるし、加えて比較的低TDPのCPUを組み合わせる、あるいはハイエンドCPUではEcoモードを利用するなど、CPUの発熱だけでなくVRMへの負荷、発熱を抑えることも検討したい。

これを踏まえてCPUソケットまわりのレイアウトを見ていこう。まずEPS12Vは1基。これはMini-ITXマザーボードなら標準だ。VRMはトータル8フェーズ。CPU側6フェーズ、メモリ側2フェーズといったレイアウトになる。CPU側のVRMに搭載されているヒートシンクはソリッドタイプの小さなものだが、定格運用する上では問題ない。

Fatal1ty B450 Gaming-ITX/acの電源回路部分

ヒートシンクはATXマザーボードと比べるとかなり小さめ

チップセットヒートシンクも小ぶり

CPU側のVRM回路を追ってみよう。PWMコントローラはRenesasの「ISL95712」。スペック上では4/3/2/1フェーズ用。この下流にはMOSFETのSinopower「SM7341EHKP」とチョークが6基ずつ実装されている。周囲にフェーズダブラーは実装されていない。つまり、ISL95712の1フェーズあたり、MOSFETとチョークがそれぞれ並列に2つずつぶら下がる回路だ。MOSFETのSM7341EHKPは、「デュアル N MOSFET」として、2つのシリコンダイを組み込むことでON抵抗を小さくしているという。

PWMコントローラはRenesasの「ISL95712」

MOSFETはSinopower「SM7341EHKP」

コンデンサはニチコン製。FP12Kとあるように寿命が1万2000時間の高耐久タイプ

メモリ側VRM側はレギュレータがMonolithic Power Systemsの「MPQ8636」。MOSFETは同じSinopowerの「SM7341EHKP」。

レギュレータのMonolithic Power Systems「MPQ8636」

こうして見ると基本的には低コストを狙った部品選択だが、B450チップセット搭載マザーボードでは、CPU側4フェーズで構成されているものもあるので、それよりはリッチな回路だ。CPUサポートリストには現行最上位のRyzen 9 3950X(TDP 105W)も記載されている。つまり第1世代から第3世代まで幅広いRyzen/Ryzen Gを組み合わせられるわけだ。

では、Ryzen 7 3800Xを組み合わせた際の温度を見てみよう。PCMark 10を実行し、比較的CPU処理中心のシナリオに差し掛かった際のマザーボードをサーモグラフィーで撮影したのが下の画像だ(室温23度)。画像の青い部分は25.5度、白い部分は80度。ただし白い部分はビデオカード側で、マザーボード上は熱い部分でも赤色だ。赤はほぼ中間、つまり50度前後ということになる。

VRMはどちらかと言えば赤よりも温度の低いオレンジ。オレンジ部分は赤外線放射温度計で計測した際で45~47度程度。実際にケースに組めばエアフローも影響することになるが、回路的、ヒートシンクサイズ的には問題ないように見える。これはどのマザーボードにも言えるが、CPU周辺の主にチョーク部分には熱がたまりやすく、エアフローを阻害する要素も多い。ここの熱をしっかり逃がせるエアフローを心掛ければ大丈夫だ。

PCMark 10実行中のFatal1ty B450 Gaming-ITX/acをサーモグラフィーで計測したもの

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