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【Radeon Softwareレビュー第2回】

平均フレームレート約70%向上も!? Radeon Softwareの新機能「Radeon Boost」の効果を検証

文● 宮崎真一 編集● AMD HEROES編集部

 AMDが2019年末に行なったドライバソフトウェア「Radeon Software」の大規模なアップデートで、フレームレートを引き上げ、ゲームプレイをより快適にする「Radeon Boost」という機能が実装されたのは、前回の記事でもお伝えしたとおりだ。では、このRadeon Boostはどのような場面で効果を発揮するのか、またパフォーマンスはどの程度向上するのか、気になっている人も多いはず。

 そこで、本稿ではRadeon Boostの使い方から有効性まで、実際のゲームでテストを行なったうえで、確かめてみたい。

Radeon Boostの肝はレンダリング解像度の動的制御

 まずは、Radeon Boostがどのような機能なのかを紹介しておこう。ゲーム画面をディスプレイに表示する仕組みは、まずGPU側で設定された解像度に合わせてレンダリングが行なわれ、それをディスプレイ解像度に合わせて画面に表示する。通常、レンダリング解像度とディスプレイ解像度は同一となっている。つまり、ディスプレイ解像度を1920×1080ドットに設定すると、その解像度でレンダリング処理が行なわれる。

 ただゲームによっては、レンダリング解像度を個別に設定できるものもあり、当然のことながら、同じディスプレイ解像度でもレンダリング解像度が低いほうが、GPUに対する負荷は小さい。

 Radeon Boostは、レンダリング解像度を動的に変化させることで、フレームレートを向上させる機能である。視点を大きく左右に動かした場合などは、画面が急激に変化するため、画質の細かなところなどは、人の目では区別が付き難い。そこでRadeon Boostでは、そういったシーンではレンダリング解像度を低下させて、フレームレートを高めるという処理を行なっている。

 Radeon Boostを使用するのはいたって簡単で、Radeon Softwareの該当項目を有効にし、レンダリング解像度を直下のスライドバーから選択するだけだ。ただし、Radeon Boostを利用するには、ゲーム側も対応している必要があり、現時点では「Overwatch」、「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」(以下、PUBG)、「Borderlands 3」、「Shadow of the Tomb Raider」、「Rise of the Tomb Raider」、「Destiny 2」、「Grand Theft Auto V」、「Call of Duty: WWII」の8タイトルがRadeon Boostをサポートしている。

Borderlands 3でRadeon Boostを有効にし、レンダリング解像度を50%に設定している様子
一方、こちらはPUBGでRadeon Boostを有効にしているところ。こちらはレンダリング解像度を83.3%に設定している

Radeon Boostで平均フレームレートが7割上昇
高解像度でより高い効果が期待できる

 では、実際のゲームでRadeon Boostの効果のほどを確認してみよう。今回のテスト環境は表のとおり。

テスト環境
CPU AMD「Ryzen 7 3700X」
(8C/16T、3.6GHz、最大4.4GHz)
マザーボード ASRock「X570 Taichi」
(AMD X570)
メインメモリ DDR4-3200 8GB×2
ビデオカード ASRock「Radeon RX 5700 XT Taichi X 8G OC+」
(Radeon RX 5700 XT)
SSD Plextor「PX-512M9PeG」
(M.2、NVMe、512GB)
電源ユニット SilverStone「SST-ST1200-G Evolution」
(1200W、80PLUS Gold)
OS Windows 10 Pro 64bit版

 まずは、Radeon Boostを無効にした状態と、レンダリング解像度が50%でRadeon Boostを有効にした状態を、Borderlands 3のベンチマークモードで比較してみた。なお、ベンチマークは高プリセットで実行し、最小フレームレートはログファイルから抽出している。その結果だが、両者に大きな差異は見られなかった。

 Radeon Boostを有効にすると、若干スコアが低下しているものの、その差は平均フレームレートで1fps程度しかなく、誤差レベルだ。AMDは、プレイヤーキャラクターが登場しないようなベンチマークモードでは、画面が大きく移動するような状況が発生しないため、Radeon Boostの効果はないと説明している。このBorderlands 3では、その説明どおりの結果が得られたというわけだ。

Borderlands 3におけるベンチマークモードの1シーン。飛行するような視点で表現されるFlyby形式のベンチマークとなっているため、プレイヤーキャラクターは登場せず、Radeon Boostも機能しない

 そこで、PUBGにおいて、トレーニングモードで1か所に留まり、その場所で視点を回転させ、その際のフレームレートを「Fraps」(Version 3.5.99)で取得した。なお、レンダリング解像度は50%、66.6%、83.3%の3つそれぞれでテストを行ない、プリセットは描画負荷が最大となるウルトラを選択している。

 その結果だが、レンダリング解像度を低くすることで、段階的に平均フレームレートならびに最小フレームレートが向上していることが確認できた。Radeon Boostを無効にしたOFFと、レンダリング解像度を50%の状態では、平均フレームレートで15%以上の差が付き、3840×2160ドットでは両者の差が69%にまで達している。

 さらに、最小フレームレートも、Radeon Boostにより確実に上昇しており、とくに3840×2160ドットでは、Radeon BoostがOFFの状態は45fps程度なのに対して、レンダリング解像度を50%の状態にすると常時60fps以上のパフォーマンスを発揮しており、ゲームの快適性が格段に上がっている点は注目に値する。結果を見ても明らかなとおり、描画負荷の大きい高解像度のほうが、Radeon Boostの効果が絶大だ。

 さて、Radeon Boostが効果を発揮している場面では、どの程度画質が低下するかも確認しておこう。下記に示すスクリーンショットは、Radeon BoostがOFFの状態と、レンダリング解像度を50%に設定したRadeon Boostが有効の状態の1シーンだ。まったく同じシーンを切り取るのはRadeon Boostの仕様上難しいのでご理解いただきたいが、両者の画質の違いは一目瞭然だ。

 Radeon Boostが有効な状態では、屋根の輪郭などのジャギーが残り、画質の低下はハッキリと確認できる。ただ、これは静止画として切り取ったためであり、実際にRadeon Boostが効いている状態は、画面は大きく移動しているため、画質の低下を認識することは難しい。

Radeon BoostがOFFの状態のPUBGにおける1シーン
一方、こちらはRadeon Boostが有効になっているほぼ同じシーン。レンダリング解像度は50%に設定しているため、輪郭のジャギーなどが確認できる

Radeon BoostはTPSやFPSのゲームに適した機能
課題は対応タイトルの増加

 以上のテスト結果を見ても、RadeonBoostの効果はかなり大きい。とくに、4K解像度の快適性が、Radeon Boostにより大きく引き上げられる点は注目に値する。画質の低下も、移動中や画面を大きく左右に振った状態ではあまり気にならない。とくに、FPSやTPSでは、画質を落としてでもフレームレートを高めたいと考えるユーザーも多い。Radeon Boostは、そういった用途に即した機能と言えるのではないだろうか。

 ただ、Radeon Boostは、現状では8タイトルしか対応しておらず、その恩恵を享受できるのは限定的だ。今後の対応ゲームの増加が、Radeon Boostの課題であると指摘できよう。しかし、もし現在プレイしているゲームがRadeon Boostに対応しているのであれば、ぜひ試してみることをオススメしたい。

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