拡張性はほどほど。排他利用が少なく拡張プランがイメージしやすい
X570 Pro4の拡張スロットは4本。数的にはmicroATXと同じではあるが、X570 Pro4はATXフォームファクタなので、2スロット厚のビデオカードを搭載してもほかのスロットに干渉しないところはメリットだ。ビデオカード用のPCI Express x16 #1に関しては、アンカー付きの金属カバーが採用されており、ハイエンドビデオカードの重量によるスロットの破損を防ぐ。
ストレージに利用できるM.2スロットは2つあり、両方がM.2 22110サイズにまで対応している。そしてこれだけ拡張スロット本数が少ないと、組み合わせるCPUにもよるが、拡張スロットとM.2 PCI Express接続での排他利用がほとんど生じない。
Serial ATAストレージは8ポート。水平端子が6、垂直端子が2で、少し離れたところに配置されている。M.2 NVMe/SATA×2、Serial ATA×8もあればストレージは十分に豊富と言えるだろう。
USBポートは、USB3.2 Gen2がバックパネルにType-A×1、Type-C×1の2系統を備えている。そのほかはUSB3.2 Gen1。豊富とは言えないが十分な数と言えるだろう。PS/2端子も備えているので、旧来のキーボードも接続できる。
そしてThunderbolt 3 AICカード用端子が搭載されている。X570 Pro4自体はThunderbolt 3に対応していないが、別売りのThunderbolt 3 AIC R2.0(PCI Express 3.0 x4)カードを追加し、ここに接続することでThunderbolt 3を利用できる。液晶タブレットなど、USB Type-C接続で映像出力する必要がある機器を利用したい方は参考にしてほしい。
USBという点では、CPUソケットとメモリスロットの間のところに1列(通常は2列)だけのUSBヘッダーがある。これはLEDをUSBで制御するタイプのCPUクーラーのためのもの。AMDリテールクーラーなどを利用する際は、ここに接続すればケーブル長を気にしないですむ。
そのほか、低価格なモデルとしてはうれしいのが、デバイスチェック用LEDを搭載しているところだ。POSTコード表示LEDのような詳細なステップを確認できるものではないが、万が一の起動失敗時などでどのパーツに問題が生じているのか把握することができる。
LANチップはギガビットイーサネット対応のIntel製I211ATを採用している。比較的コストが高いと見られるIntel製チップを採用したのは、AMD B450など下位のチップセット搭載モデルとの差別化だろうか。
オーディオチップは定番のRealtek ALC1200。オーディオ用コンデンサはエルナー製を搭載していた。
X570 Pro4は電飾LEDを搭載しないが、ARGB用ヘッダー×1、RGB LED用ヘッダー×2を備えている。
AMD B550が登場してもしばらくはAMD X570エントリーが低価格でPCIe 4.0の本命
X570 Pro4は、AMD X570チップセット搭載マザーボードとしては安価なモデルだ。主な部品に台湾メーカー製を採用するなどでコストを抑えているところはあるが、基本的な信頼性という点ではしっかりしており十分。
その上で、PCI Express x16スロットに補強を加えたり、Thunderbolt 3 AIC用端子を備えていたり、起動時のデバイスチェック用にLEDを搭載していたりといった特長がある。自作PCのトレンド、拡張性、組み立てやすさといった点でツボを抑えたモデルと言える。
AMD B550が近々発売することで、これまでAMD X570エントリーグレードモデルの強みだった、低価格でPCI Express 4.0というニーズの一部は、そちらに移るものと思われる。
ただし、チップセットから先のPCI Express 4.0などでAMD X570の優位性は残る。そして先行して販売されている分の安定性や信頼性などもアドバンテージになるだろう。その意味で、X570 Pro4は狙い目の製品と言える。