AMDのNavi世代のミドルレンジ向けGPU「Radeon RX 5600 XT」(以下、RX 5600 XT)は、当初のリファレンススペックではメモリクロックは12Gbpsだった。しかし、2020年6月の時点では、メモリクロックは12Gbps、14Gbpsとされている。つまり、RX 5600 XTには、従来のメモリクロックが12Gbpsのものと、高速モデルとなる14Gbpsのもの、2種類が存在するというわけだ。
それを受けて、カードベンダーは14Gbpsでメモリが動作するRX 5600 XT搭載モデルに対して、メモリクロックを引き上げるVBIOSを公開し始めている。今回取り上げるASRockの「Radeon RX 5600 XT Phantom Gaming D3 6G OC」(型番:RX5600XT PGD2 6GO、以下 RX 5600 XT Phantom Gaming)も同様で、リリース当初はメモリクロックが12Gbpsだったが、ASRockのウェブサイトでは14Gbpsに引き上げるVBIOSが公開されている。
そこで、本稿ではRX 5600 XT Phantom Gamingを用いて、VBIOSを更新する手順を紹介するとともに、メモリクロックが12Gbpsから14Gbpsへと変わることで、パフォーマンスがどの程度向上するのか確認してみたい。
VBIOSの更新は非常に簡単
更新前にVBIOSのチェックは必須
まずは、VBIOSの更新を行なう前に、現在使用しているカードのメモリクロックを確認しておこう。メモリクロックがすでに14Gbpsであれば、当然のことながらVBIOSを更新する必要がない。メモリクロックはRadeon Softwareから確認でき、今回使用するRX 5600 XT Phantom Gamingは、「メモリービットレート」が12.00Gbps、「メモリクロック」が1500MHzと表記されていた。メモリクロックは実クロックで表記されるので、この場合はメモリービットレートを参照するとわかりやすいだろう。つまり、今回のRX 5600 XT Phantom Gamingは、従来のメモリクロック12Gbps版というわけだ。
次にASRockのRX 5600 XT Phantom Gamingのウェブサイトを見ると、メモリクロックに14Gbpsをサポートした「Version L12」のVBIOSが掲載されている。そこで、「Global」をクリックしてVBIOSのファイルを適切な箇所にダウンロードする。ダウンロードしたファイルは圧縮されているので展開すると、アプリケーションとバッチファイルが1つずつ入っているのがわかる。
あとは、このバッチファイルを実行するだけでVBIOSの更新が自動で行なわれる。もし、VBIOSが別のカードのものだった場合では、バッチファイルを実行してもエラーが発生して更新は行なわれない。だが万が一に備えて、バッチファイルを実行する前に、ダウンロードしたVBIOSがRX 5600 XT Phantom Gaming用のものかどうか確認しておこう。
VBIOSを更新後、再びRadeon Softwareでスペックを見てみると、メモリクロックが1750MHz、メモリービットレートは14.00Gbpsと表記され、無事にメモリクロックが14Gbps版へとアップデートされているのが確認できる。