ゲームによってバラツキはあるものの
概ね1割前後パフォーマンスが向上
テスト環境 | |
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CPU | AMD「Ryzen 7 3700X」 (8コア/16スレッド、3.6GHz~4.4GHz) |
マザーボード | ASRock「X570 Taichi」 (AMD X570) |
メインメモリ | DDR4-3200 8GB×2 |
ビデオカード | ASRock「Radeon RX 5600 XT Phantom Gaming D3 6G OC」 (型番:RX5600XT PGD2 6GO、Radeon RX 5600 XT) |
SSD | Plextor「PX-512M9PeG」 (M.2、NVMe、512GB) |
電源ユニット | SilverStone「SST-ST1200-G Evolution」 (1200W、80PLUS Gold) |
OS | Windows 10 Pro 64bit版 |
では、実際にメモリクロックが12Gbpsと14Gbpsとでは、どの程度パフォーマンスが異なるかを見てみよう。まずは、「3DMark」(Version 2.11.6866)からだが、DirectX 11のテストであるFire Strikeと、DirectX 12のテストであるTime Spyともに、14Gbpsと12Gbpsとの総合スコアの差は5~6%だった。両者でメモリ帯域幅の差は17%ほどなので、3DMarkではメモリクロックの影響は限定的だ。
続いて、実際のゲームから「バイオハザード RE:3」の結果を見てみよう。ここでは、テクスチャ品質を高(0.5GB)に設定し、それ以外を描画負荷が最大になるように変更。そのうえで実際にプレイし、GPUOpenの「OCAT」で1分間のフレームレートを取得した。その結果だが、平均フレームレートで14Gbpsと12Gbpsとでは12~14%の差が付いた。最小フレームレートも10~13%の開きがあり、両者で1割以上の性能が変わるというインパクトはなかなかに大きい。
さらに「Borderlands 3」では、中プリセットに指定したうえでベンチマークモードを実行。なお、最小フレームレートについてはログから算出している。ここでは、メモリクロックを14Gbpsにすることで平均フレームレートが5~6%向上し、最小フレームレートは3~6%上昇している。先ほどのバイオハザード RE:3と比べると上り幅は小さく、3DMarkに似た傾向と言える。
「Far Cry New Dawn」でもその傾向は変わらない。ここでは最高プリセットに設定し、ベンチマークモードを実行したが、平均フレームレートの差は4~7%ほど。最小フレームレートも14Gbpsと12Gbpsとの差は4~7%しかついていない。ただ、解像度が高くなるとグラフィックスメモリへの負荷が大きくなるため、1920×1080ドットよりも3840×2160ドットのほうが差が開くあたりは、メモリクロックを高めた恩恵と言えそうだ。
最後に「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」の結果だが、ここでは描画負荷が最も大きくなるよう最高品質を選択した。1920×1080ドットでは、CPUのボトルネックが近いためかスコアが丸まりつつある。
そこで、それ以外の解像度を見て行くと、両者の差は8~9%といったところ。Borderlands 3などに比べると差は広がっているものの、バイオハザード RE:3ほどの開きはない。とはいえ、平均フレームレートを見ると2560×1440ドットで68fpsから74fpsへと向上している点は、なかなかに魅力的だ。
VBIOSの更新だけで性能向上が実現するが
更新を行なうのはあくまでも自己責任
以上の結果からわかるとおり、メモリクロックを12Gbpsから14Gpsに変更すると、パフォーマンスは1割前後向上する。ゲームによって上り幅の大小はあるものの、VBIOSを更新するだけで性能向上が実現するのだから、しない手はないだろう。
ただし、1つだけ注意してほしいのは、VBIOSのアップデートはユーザーの自己責任で行なうことになる点だ。もしVBIOSをアップデートしている際に、不意に電源が落ちて動作しなくなっても、カードベンダーや販売店が責任を負うことはない。今回のRX 5600 XT Phantom GamingのVBIOSの更新作業は非常に簡単だが、それでも万が一の事故は覚悟して行なっていただきたい。