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【AMDチップセットマザーボードレビュー第18回】

ミドル向けのAMD B550に高品質回路&部品! ASUS「ROG STRIX B550-E GAMING」のバランスの妙(2/2)

文● 石川ひさよし 編集● AMD HEROES編集部

2.5GbEやWi-Fi 6、USB Cオーディオなどをサポート

バックパネル

機能面ではまず無線&有線ネットワークがともに次世代規格になったところが挙げられるだろう。具体的には有線が2.5GbE、無線がWi-Fi 6だ。ともにIntel製チップを採用しているあたりはB550マザーボードのなかでもハイエンドモデルと言える。なお、タイミングにもよるが現時点でのWindows 10インストールメディアではIntel 2.5GbEドライバが収録されていないので、ドライバDVDやドライバを収録したUSBメモリを作成しておくのがよい。

Intel I225-V。2.5GbEチップ

Intel Wi-Fi 6 AX200を搭載し、バックパネルに外部アンテナを接続できる

バックパネルにはほかにも気になるものがある。ROGロゴ付近のUSB Type-CはUSB 3.2 Gen2のものだが、もう1つオーディオ端子付近にもUSB Type-C端子がある。これはオーディオ用とされるUSB 2.0のType-C端子だ。スマートフォン用などのUSB Type-C端子のイヤホン・ヘッドホンを接続できる。オーディオ用というのはここがポイント。

USB Type-Cオーディオには、アナログ信号を通すものとDACを搭載してデジタル信号を通すものがあり、通常のUSB Type-C端子ではデータ通信のみが処理される。オーディオ用USB Type-C端子では回路の途中に「S210」チップが搭載され、これがアナログ信号をミックスすることでデジタル/アナログ両対応になっているようだ。合わせてノイズフィルターも搭載している。

オーディオ用USB Type-C端子と付属するUSB Type-C-to-3.5mmジャックアダプタ

「S210」チップによって、接続機器がDACを搭載していてもいなくても利用できる

オーディオ回路はチップが同社SupremeFX S1220Aで、オーディオコンデンサはニチコン製という定番の組み合わせになっている。ソフトウェアでは、SONIC STUDIO IIIやDTS Sound Unboundなどに対応しているほか、新しいのがAIノイズキャンセリングマイク。マイク入力からの音声に対して、ディープラーニングデータベースを活用したノイズキャンセリングができるという。

主にCPUを利用するようだが、同様の技術に対してゲームパフォーマンスへの影響が小さいとされる。入力は3.5mmジャック、USBオーディオ、Bluetoothがサポートされる。ゲーム実況やボイスチャット、あるいは今話題のオンラインビデオ会議などでも活用できそうな技術である。

オーディオ回路はSupremeFX S1220A、ニチコンのオーディオコンデンサ、2つのオペアンプなどで構成される

新しい統合ユーティリティ「Armoury Crate」から利用できるAIノイズキャンセリング。有効化するとマイクデバイスとして「ArmourylgoService」がインストールされる

そのほか、Thunderbolt 3にも触れておこう。本製品はThunderbolt 3非搭載だ。ただし、Thunderbolt 3ヘッダーを搭載し、別途Thunderbolt 3カード「ThunderboltEX 3-TR」を搭載することで利用できるようになる。クリエイティブ用途などでThunderbolt 3必須という場合でも、道が用意されている。

Thunderbolt 3ヘッダーによって同機能の追加搭載が可能になっている

B550マザーボードでも安価なモデルでは非搭載になりがちなフロント用USB Type-Cヘッダーも搭載している

ストレージはM.2スロットが2基とSerial ATA 3.0が6ポート。M.2スロットはソケットに近いほうがPCI Express 4.0 x4/Serial ATA 3.0、チップセットの下にあるほうがPCI Express 3.0 x4/Serial ATA 3.0。どちらのスロットもM.2 22110サイズに対応している。

M.2ヒートシンクも2つあり、比較的大人しい造形だがM.2 22110サイズのM.2全面をカバーできるサイズだ。Serial ATA 3.0は6ポートまとまって実装されている。PCI Express 3.0側のM.2スロットを使用時にはSerial ATA 3.0の#5~6ポートが使用不可になるという排他仕様に注意したい。

M.2 22110対応の2つのM.2スロット。上がPCI Express 4.0対応、下がPCI Express 3.0対応

M.2ヒートシンクはシンプルだが大きさは十分

「ROGに参加せよ」のメッセージにピンと来たらこの製品に決まりだ

ゲーミングマザーボードと言えばLED。本製品ではバックパネルのシールドカバー部分とチップセットの下にLEDが搭載されている。シールドカバー部分はROGロゴ、チップセット部分はSTRIXロゴが浮かび上がる。

どちらもロゴという点ではまずまずインパクトあるが、ピンポイントなのでハデというほどではないだろう。輝度で言えばボード下辺にあるQ-Code、POSTコード表示パネルのほうが目立っている。RGBヘッダーはARGB用、第2世代AURA用(3ピン)を2セットずつ搭載する。

シールドカバーとチップセットヒートシンクの2箇所にLEDを搭載

LEDストリップなどを接続する端子はARGB用、AURA用それぞれ2セット。その手前にはPOSTコードを表示するLCD

そして特徴的なのが、シールドカバーとソケットの上に「ROGに参加せよ」という日本語が書かれている点。日本向けモデルのみのものかと思ったが、各国サイトを見ても同様の写真なので、いわゆる下町の土産屋にある外国人観光客向け日本語アイテム的なノリと思われる。「Yes sir!」と答えておいたほうがよいのだろうか(笑)。

「ROGに参加せよ」

ある意味でB550の潜在能力を示すゲーミングマザー

AMD B550チップセットはたしかにコスパ、価格を重視するユーザー向けの製品だ。しかし同じチップセットでも、マザーボードとなるとローエンドからハイエンドまで幅広い。今回のROG STRIX B550-E GAMINGはB550ではハイエンド。マザーボード全体を見渡してもアッパーミドルに相当するモデルと言える。

追加チップ満載というほどではないので機能は基本に忠実だが、電源回路を大幅に強化しているところは安定性重視、あるいはOC、マルチGPUも視野に入るゲーミングマザーボードらしい選択だ。見た目もハデすぎず地味すぎずといったちょうどよいところを突いている。

価格に関しては、冒頭で紹介したように一部のX570マザーボードとも競合する。部品や回路の品質、チップセットの冷却方法、2.5GbEやWi-Fi 6といった次世代インターフェースなどを総合して考えればよいだろう。コスパを追求するユーザー向きではないが、ゲーミングマザーとして検討している方であれば十分に選択肢に入るだろう。


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