製品名:B550 Taichi
メーカー:ASRock
実売価格:4万円前後
これまでのTaichiは、ハイエンド級の品質をアッパーミドル価格で提供してきたイメージ。一方、今回紹介するASRock「B550 Taichi」はAMD B550チップセットのなかでも最高級クラスの製品だ。執筆時点では上位チップセットを搭載するX570 Taichiよりも高価だ。
もちろん、X570 Taichiが発売から月日が経ち、価格がこなれてきたという理由もあると思われるが、この価格の逆転現象については考察しなければならないだろう。
「B550 Taichi」の主なスペック | |
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対応ソケット | Socket AM4 |
チップセット | AMD B550 |
フォームファクター | ATX |
メモリースロット | DDR4×4(最大128GB) |
対応メモリークロック | DDR4-5000+(OC)~3466(OC)、DDR4-3200~2133 |
拡張スロット | PCI Express 4.0 x16×2(x16/-、x8/x8)、PCI Express 3.0 x16×1(x4)、PCI Express 3.0 x1×2 |
ストレージインターフェース | SATA3(6Gbps)×8(うち4ポートはASMedia ASM1061)、M.2(PCIe 4.0 x4)×1、M.2(PCIe 3.0 x4/SATA3)×1 |
ネットワーク | 2.5Gb LAN(Intel I225-V) |
サウンド | 7.1ch HDオーディオ(Realtek ALC1220) |
リアインターフェース | USB 3.2 Gen2 Type-A×1、USB 3.2 Gen2 Type-C×1、UBS 3.2 Gen1×4、USB 2.0×2、オーディオ端子×5、S/PDIF×1、DisplayPort 1.4×1、HDMI 2.1×1、Wi-Fi 6アンテナ端子(Intelチップ)×2、CMOSクリアスイッチ、BIOS Flashbackスイッチ |
M/B上インターフェース | RGB LEDヘッダー×2、アドレッサブルLEDヘッダー×2、USB 3.2 Gen2 Type-C×1、USB 3.2 Gen1×2、USB 2.0ヘッダー×2など |
細かく見ていけば異なるものの、B550 TaichiのレイアウトはX570 Taichiに似ている。陰陽というTaichiのデザインコンセプトは当然として、スロットレイアウトや電源/リセットボタンやPOSTコード表示パネル、ヒートパイプで繋がれた2つのVRMヒートシンクなど、拡張性や機能面はかなり近いように見える。
また、これは同時期に発売されたIntel 400シリーズチップセット搭載Taichiと同じだが、陰陽の陽の部分、従来シルバーだった部分がゴールド系のカラーに改められている。
電源設計を見ると、B550 TaichiはX570 Taichiを上回っているように見える。B550 Taichiは16フェーズ電源回路を採用しており、X570 Taichiの14フェーズを上回る数だ。しかもCPU用電源端子は8+8ピンで、ここも8+4ピンだったX570 Taichiよりも供給可能電力が大きいことを示している。
回路追ってみると、まずPWMコントローラはRenesas Electronics「RAA229004」。8フェーズ対応のチップだ。PCB裏面にはフェーズダブラーのRenesas(Intersil)「ISL6617A」(刻印は17AF)が実装されている。
MOSFETはVishay Intertechnologyの「SiC654」。ドライバICとともにハイサイド、ローサイドのMOSFETを統合した最大50A対応のDrMOS Power Stageだ。その下流の合金製チョークコイルは最大60A対応品。さらにCPUやメモリなどの電源回路周辺には耐久時間12K(1万2000時間)グレードのニチコン製コンデンサを搭載している。
まず、B550 Taichiは、その電源設計を見るとX570 Taichiよりも上位と見ることができる。CPU用電源端子からフェーズ、そしてMOSFETもX570 TaichiはSiC634を採用していたので、B550 Taichiが採用するSiC654のほうが上のグレードのようだ。
もちろん豪華な電源回路は発熱の抑制・安定性の担保という側面もあるだろう。ただしB550はOCも可能なチップセットだ。B550 TaichiのほうがよりOC向けに設計されているようにも見える。
B550 Taichiがターゲットとしているユーザーは、B550チップセットマザーボードが本来ターゲットとしているメインストリーム層よりも上の層と思われる。
X570もB550も、CPU直結のビデオカード用PCI Express x16スロットや1基目のM.2スロットでPCI Express 4.0接続が利用できる。おそらくここまででハイエンドユーザーの大半のニーズをまかなえてしまうのではないだろうか。現状、2基目以降のSSDや拡張カードでもPCI Express 4.0対応を求めるニーズは、ハイエンドの中でも上層に該当するだろう。
要は主要部分のPCI Express 4.0対応を果たし、OCまでサポートしているB550のカバー範囲は、Intelチップセットの「B」や「H」のグレードよりも上寄りに広範囲。そしてそうしたB550のニーズにおいて、B550 Taichiは上端を満たすモデルなのだと言える。