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【AMDチップセットマザーボードレビュー第20回】

高性能・低発熱の電源回路で小さなゲーミングPCにも最適なASUS「ROG STRIX B550-I GAMING」(1/2)

文● 石川ひさよし 編集● AMD HEROES編集部

製品名:ROG STRIX B550-I GAMING
メーカー:ASUSTeK
実売価格:2万6000円前後

AMD B550チップセットは、もしかしたらMini-ITX向けなのかもしれない。AMD X570に対しB550の機能で制限されているところは、チップセット以下のPCI ExpressがGen 3までの対応という点だ。Mini-ITXはPCI Express x16スロット1本しかない。M.2スロットは2本以上搭載するものもあるので1つは最大でPCI Express 4.0 x4接続、もう1つがチップセットにぶら下がる最大PCI Express 3.0 x4接続となるが、このくらいだ。

機能的な点でほぼAMD X570と同じ。加えてチップセットの発熱量が小さい。ここは小型ケースでより安定性を望むユーザーにとってポイントになるだろう。もちろん、AMDチップセット全体で見ればB550はやや高価な部類だが、AMD X570搭載Mini-ITXよりはコストパフォーマンスもよいのではないだろうか。

前置きが長くなったが、今回紹介するのはASUSのB550搭載Mini-ITXマザーボード「ROG STRIX B550-I GAMING」だ。

「ROG STRIX B550-I GAMING」の主なスペック
対応ソケット Socket AM4
チップセット AMD B550
フォームファクター Mini-ITX
メモリースロット DDR4×2(最大64GB)
対応メモリークロック DDR4-5000+(OC)~3400(OC)、DDR4-3200~2133
拡張スロット PCI Express 4.0 x16×1
ストレージインターフェース SATA3(6Gbps)×4、M.2(PCIe4.0x4/SATA)×1、M.2(PCIe3.0x4/SATA3.0)×1
ネットワーク 2.5Gb LAN(Intel I225-V)、Wi-Fi 6(Intel Wi-Fi 6 AX200、Bluetooth 5.1)
サウンド 7.1ch HDオーディオ(SupremeFX S1220A)
リアインターフェース USB3.2 Gen2 Type-A×3、USB3.2 Gen2 Type-C×1、USB2.0 Type-A×1、USB2.0 Type-C×1、DisplayPort 1.4×1、HDMI 2.1×1、Wi-Fi 6アンテナ端子×2、オーディオ端子×3、BIOS Flashbackスイッチ
M/B上インターフェース Aura RGB LEDヘッダー×2、アドレッサブルLEDヘッダー×1、 USB 3.2 Gen1 Type-C×1、USB 3.2 Gen1ヘッダー×1、USB2.0ヘッダー×1、温度センサー用ヘッダーなど

ゲーミングブランド「ROG STRIX」シリーズなので、ターゲット層はメインストリームというよりもゲーミング層になるだろう。どこがメインストリーム向けと異なるのかと言えば、電源回路だ。ROG STRIX B550-I GAMINGではMini-ITXのボードサイズの上に8+2フェーズを構成している。それも、PowerStage(DrMOS)を用いることで発熱を抑えた高効率回路だ。

EPS12Vは8ピン1基のみなので、過度なOCを目指すものではないにせよ、余裕をもった電源回路で低発熱、そして安定動作を求めるユーザーにちょうどよい。もちろん、16コア/32スレッドのRyzen 9 3950Xもサポートされている。

一列に並ぶ8+2フェーズ電源回路

EPS12Vは金属カバー付き。内部のコンタクトもソリッドタイプ

8+2フェーズ回路はCPUソケットの左に1列に並ぶ。そのため、ソケット上部にはそれなりの空間が生まれている。リテンション用のツメがソケット上下にあるSocket AM4なので、CPUクーラーの取り付けがMini-ITXマザーボードとしては比較的ラクだ。

電源回路の部品を見ると、PWMコントローラはお馴染み、ASUSのDigi+VRM。その下流のMOSFETはVishay SiliconixのSiC639。最大50A対応のDrMOS PowerStageだ。Mini-ITX規格なのでCPUソケットのすぐ横までチップを実装している。もちろんそうした部品は干渉を抑えるために背の低いもの、効率がよく発熱が少ないものを採用している。

VRMヒートシンクを外した状態

PWMコントローラはDigi+VRM。基板裏に搭載されている

MOSFETはVishay SiliconixのSiC639 PowerStage

よりCPUに近い部分では薄型のチョーク、薄型のタンタルコンデンサを採用

通常の固体コンデンサもソケットから離れた部分に6つだけ利用されていた。MIL刻印の高耐久品

VRMが1列に並んでいるため、ヒートシンクは1ピース構造。バックパネル寄りに大きく突き出す格好だ。また、ROG STRIX B550-I GAMINGではさらに小径ファンを搭載している。発熱量がAMD X570ほどではないB550チップセットでファンを搭載するのは賛否が分かれるかもしれないが、冷却力向上、安定性向上と前向きに捉えることもできるだろう。

VRMを完全に覆う幅があるが、放熱部分はバックパネルのスペースに収めるため小さい

MOSFETとチョークに接する部分に熱伝導パッドを使用している

ファンは3cm角

有線&無線LANは次世代規格
「新チップセット」B550だからより長く現役でいられる

バックパネルも見ておこう。バックパネル付近にファンを搭載する設計だが、バックパネル自体にスリットはない。基本的にケースファンを併用して排気する前提だ。また、ヒートシンクの裏にあたる部分には端子類を搭載できないため、バックパネルの端子類は平均的ではあるものの、ハイエンドとして見ると多少少なく感じる。それでも現在のPCに求められる端子は揃っているので、不足に感じることはあまりないだろう。

このクラスではめずらしく、一体型ではない従来型のバックパネル。映像出力端子やUSB 2.0/3.2 Gen2 Type-A端子の上にVRMヒートシンクの放熱部分が位置する

AMD B550世代ではUSB 3.2 Gen2が利用可能だ。バックパネルにはUSB 3.2 Gen2対応のType-A/C端子が1ポートづつ搭載されている。また、USB 3.2 Gen1になるが、フロントパネル用のType-Cヘッダーもマザーボード上にあり、最近徐々に増えてきたType-C対応ケースと組み合わせて活用できる。こうして見るとMini-ITXながら機能面の不足はあまり感じられない。

Mini-ITXながらフロント用のUSB 3.2 Gen1 Type-Cヘッダーを搭載

チップセット機能ではないものの、AMD B550世代ではハイエンドモデルを中心に、ネットワーク機能が強化されている。有線LANであれば2.5GbE、無線LANであればWi-Fi 6だ。ROG STRIX B550-I GAMINGはどちらも搭載している。

たとえばAMD X570世代の「ROG Strix X570-I Gaming」は、無線LANはWi-Fi 6だったが、有線LANは1GbEだった。この点では、より新しいチップセットを搭載したモデルとして機能強化されており、拡張性に余裕がないMini-ITXマザーボードでは、大きなメリットになるだろう。

有線LANチップは裏面に実装。2.5GbE対応のIntel I225-V

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