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【AMDチップセットマザーボードレビュー第22回】

X570の「後継」を狙うB550ハイエンドマザーボード、GIGABYTE「B550 AORUS MASTER (rev. 1.0)」(1/2)

文● 石川ひさよし 編集● AMD HEROES編集部

製品名:B550 AORUS MASTER (rev. 1.0)
メーカー:GIGABYTE
実売価格:4万2000円前後

GIGABYTEのAMD B550マザーボードは、8モデル中6モデルが「AORUS」というゲーミング寄りのラインナップだ。そのAORUSシリーズの中でも今回紹介する「B550 AORUS MASTER (rev. 1.0)」は最上位モデルである。AMD X570モデルのAORUS MASTERよりは安価だが、B550モデルで比較すると高価なため、選ぶには躊躇するかもしれない。しかし、スペックを見ていけば納得できる。

「B550 AORUS MASTER (rev. 1.0)」の主なスペック
対応ソケット Socket AM4
チップセット AMD B550
フォームファクター ATX
メモリースロット DDR4×4(最大128GB)
対応メモリークロック DDR4-5200(OC)~3333(OC)、DDR4-3200~2133
拡張スロット PCI Express 4.0 x16×1、PCI Express 3.0 x16(x4)×2
ストレージインターフェース SATA3(6Gbps)×6、M.2(PCIe 4.0×4/SATA)×1、M.2(PCIe 4.0×4)×2
ネットワーク 2.5Gb LAN(Realtek RTL8125B)、Wi-Fi 6(Intel Wi-Fi 6 AX200、Bluetooth 5.1)
サウンド 7.1ch HDオーディオ(Realtek ALC1220-VB)
リアインターフェース USB3.2 Gen2 Type-A×5、USB3.2 Gen2 Type-C×1、USB2.0 Type-A×6、HDMI 2.1×1、Wi-Fi 6アンテナ端子×2、オーディオ端子×5、S/PDIF×1、Q-Flash Plusボタン×1
M/B上インターフェース RGB LEDヘッダー×2、アドレッサブルLEDヘッダー×2、USB 3.2 Gen1ヘッダー×1、USB2.0ヘッダー×2、Thunderboltヘッダー×1、温度センサーヘッダー×2、ノイズ検出ヘッダー×1など

通常であればまず電源フェーズについて解説していくところだが、本製品では先にVRMヒートシンクを紹介したい。B550 AORUS MASTER (rev. 1.0)のVRMヒートシンクは、X570のAORUS MASTERと同じ「Fins-Arrayヒートシンク」だ。ソリッド型ヒートシンクと比べて放熱面積は3倍。薄いフィンを何枚も並べ、ソケットの左と上のヒートシンクを大口径ヒートパイプで結んでいる。熱伝導パッドにも7.5W/mKの高性能品を用いるなど、電源回路の冷却にこだわった設計だ。

フィンを重ねた「Fins-Arrayヒートシンク」

2つのパーツに別れた「Fins-Arrayヒートシンク」はヒートパイプで連結されている

その下にある電源回路もダイレクト14+2フェーズ構成で、PWMコントローラ、MOSFET(Power Stage)ともにInfineon製と、X570搭載モデルに対して容赦がない。

14+2フェーズの電源回路

Infineon XDPE132G5C(16フェーズ)最大1000A対応という、本来ならサーバー用途に向けた製品

Infineon TDA21472 OptiMOS Powerstage(70A対応)

チョークとコンデンサ。ボード上の固体電解コンデンサは、オーディオ用のものを除けばニチコンFPCAPシリーズ

通常、AMD B550チップセットがX570に対して劣っているところは、チップセットから下流のPCI ExpressがGen3である点だ。たとえばM.2スロットの#1はCPU直結でPCIe 4.0×4対応だが、一般的に#2、#3はPCIe 3.0×4対応になる。しかしB550 AORUS MASTER  (rev. 1.0)は#2、#3のM.2スロットもPCIe 4.0×4対応だ。

B550 AORUS MASTER (rev. 1.0)のM.2スロットは3つ。すべてPCIe 4.0×4対応だ

PCI Express x16 #1スロットの下を見ると、8つの細長いチップが実装されているのが分かる。これはNVIDIA SLI対応マザーボードでよく見るスイッチチップだ。上の4つはDiodes(Pericom Semiconductor)「PI3EQX16」で、16レーンを8レーン×2に分割、8レーンをPCI Express x16 #1スロットのビデオカード用に、残る8レーンは下にある4つのチップDiodes「PI3DBS16412」で4レーン×2に分割して、2本のM.2スロットに割り当てている。

PCI Express x16 #1と#2スロットの間にある4チップ×2列のチップ。上4チップが16レーンを8レーン×2に分割し、下の4チップが8レーンを4レーン×2に分割している

これで高速なM.2 SSDが3つも利用できるのだが、当然トレードオフもある。まず、M.2スロットの#1のみ利用する場合ならば、ビデオカードを挿すPCIe x16 #1スロットはPCIe 4.0×16として利用できるのでフルパフォーマンスだ。

一方、M.2スロットの#2、#3にはここで説明したPCIe 4.0×16レーン以外のパスはない。簡単に言えば、M.2 #2、#3スロットに1つでもSSDを装着した瞬間から、ビデオカード用x16スロットの帯域はPCIe 4.0×8に制限される。

いちおう、理論上の帯域ならばPCIe 4.0×8とPCIe 3.0×16は同じで、現行のPCIe 4.0世代のビデオカードもPCIe 4.0×16の帯域を使い切るほどではないので性能面の制約は小さい。ただし、PCIe 3.0世代のハイエンドビデオカードを挿す場合はPCIe 3.0×8になってしまうため、帯域不足が生じる可能性が高い。

M.2 #3スロットにSSDを搭載した状態でビデオカードの帯域を確認するとx8レーン動作だった。これはPCIe 4.0世代のビデオカードでもPCIe 3.0世代のビデオカードでも同様だ

つまりこの機能を利用する場合、GPU性能とストレージ性能がトレードオフの関係になる。ビデオカードの性能を重視するゲーミング用途では実質的に利用可能なM.2スロットはCPU直結の#1のみだ。

ただし、ゲーミング以外の用途では考え方も変わってくる。GPUアクセラレーションを利用するにしても、それ以上にストレージ性能が重要になるクリエイティブ用途であれば、ビデオカード側が8レーンでも、M.2 #2、#3スロットに高速SSDを挿せることのほうが重要だろう。

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