静音を極めるならノイズ検出機能に注目
ここからはそのほかの特徴も紹介していくが、ハイエンドモデルのB550 AORUS MASTER (rev. 1.0)は、特徴といえる点が多い。そこで、本製品ならではの機能に絞って紹介していこう。
ゲーミングでもニーズがあるが、クリエイティブ用途でとくにニーズが高いのがThunderbolt 3。B550 AORUS MASTER (rev. 1.0)の標準では非搭載だが、Serial ATAポートの横にThunderbolt 3ヘッダーを搭載しており、Thunderbolt 3拡張カード「GC-TITAN RIDGE (rev. 2.0)」を搭載することで同機能が利用可能になる。このヘッダーを搭載していないマザーボードではカードを追加したとしても利用できないので、Thunderbolt 3を利用したいニーズではここをチェックしたい。
AORUSシリーズでもMASTERのみで利用できるのが「ノイズ検出機能」だ。いわゆる騒音計機能で、マザーボード付属のケーブルをCPUクーラー用4ピン端子横にある専用ヘッダーに挿せば「dB」表記で動作音を数値化できる。この数値は統合ユーティリティの「APP CENTER」内「System Information Viewer」→「Smart Fan 5 Advanced」で確認できる。
このノイズ検出機能だが、マイクロフォン部分をケース内部に接続するためノイズ源に近く、実際に耳で聴き取れる音とはかけ離れた数値になりがちだ。いわゆるノイズレベルとして利用するものというよりは、数値の大小や変化を見ながら、ファンの回転数チューニングに役立てられるものとして捉えるべきだろう。
ちなみに、温度センサーなどと同様に電流の大小で数値化するだけなので、オーディオデバイスとしての機能はない。そしてボード上には温度センサー用端子が2つある。各チップ内や追加チップによる温度情報、さらに動作音といった豊富な情報からファンのチューニングができる点は、B550 AORUS MASTER (rev. 1.0)の大きなメリットと言えるだろう。
オーディオ回路はコーデックに採用されたRealtek「ALC1220-VB」をベースに、ニチコンFineGoldコンデンサとWIMA FKP2コンデンサなどを組み合わせている。同社のAMP-UPオーディオ仕様だ。ALC1220-VBはS/N比が120dB(A)というチップ。ヘッドホンアンプも搭載しており、各種ヘッドホンのインピーダンスを自動検出することもできる。マイク側も、最大110/114dB(A)のS/N比とのこと。ハイレゾ対応でDTS:X Ultraにも対応するなど、かなりこだわった設計になっている。
ストレートに組めば納得の1台が出来上がる
3つのM.2スロットには固執しないほうがよい
GIGABYTE B550 AORUS MASTER (rev. 1.0)は、B550マザーボードとしては極めてハイエンド寄りの製品と言えるだろう。品質面では、CPU電源回路、ヒートシンクといった部分でAMD X570搭載のX570 AORUS MASTER並みだ。
信頼性、冷却性能にこだわる一方で、B550はチップセットの消費電力がX570よりも抑えられておりチップセットヒートシンクはファンレスだ。ノイズ検出機能や温度センサー機能などを活用すれば、静音寄りのチューニングも追求できる。実運用で満足のいくPCを組めるだろう。
もう1つの特徴である3つのPCIe 4.0×4対応M.2スロットは、活用方法を少し考える必要がある。一見すればスロットも豊富でより高速のM.2 SSDを搭載できるように見えるが、配線が特殊である分、ゲーミングPC用途ではビデオカードの帯域を制限される場合もある。
ゲーミングPCとして理想的なレーン構成は、ビデオカードに16レーン、M.2はCPU直結の1本のみ、データ用ストレージはSerial ATAポートに接続……となると、ほかのマザーボードと同じか、チップセット接続のM.2スロット(PCIe 3.0×4)がゼロの分劣る。
非常におもしろい設計だ。その点は間違いない。しかしおそらく、この機能を利用してメリットがあるのはクリエイティブ用途か、あるいはメインPCの任期を終えてサブPCとして用途がゲーミングからほかに移った時ではないだろうか。