※この記事はASCII.jpからの転載です(文中リンクはASCII.jpの記事に飛ぶことがあります)
検証環境は?
それでは今回の検証環境を紹介しよう。CPUを最新の第4世代Ryzenに変更しただけで、基本的にはこれまでのビデオカードのレビュー用構成とあまり変わっていない。比較対象として競合するRTX 3080と3070(ともにFE版)を用意。さらに旧世代代表としてRX 5700 XTのファクトリーOCモデルも用意した。
X570マザーボードのBIOSは、AMDからレビュー用に提供された「T67(11月6日付)」を使用し、SAM有効時と無効時の挙動を比較する。ちなみに11月17日時点で最新だった「F31e(10月29日付)」にもSAMを有効にするための「Re-Size BAR Support」設定はあるが、T67の方がRadeon RX 6000シリーズの性能が格段に上昇したため、すべてT67環境で計測している。
ドライバーはGeForceが457.30、Radeon系はすべてレビュー用ドライバー(Adrenalin 20.45.01.12)となる。
テスト環境 | |
---|---|
CPU | AMD「Ryzen 9 5950X」 (16C/32T、最大4.9GHz) |
CPUクーラー | Corsair「iCUE H115i RGB PRO XT」 (簡易水冷、280mmラジエーター) |
マザーボード | GIGABYTE「X570 AORUS MASTER」 (AMD X570、BIOS T67) |
メモリー | G.Skill「Trident Z RGB F4-3200C16D-32GTZRX」 (DDR4-3200、16GB×2)×2 |
ビデオカード | AMD「Radeon RX 6800 XTリファレンスカード」 AMD「Radeon RX 6800リファレンスカード」 ASRock「Radeon RX 5700 XT Taichi X 8G OC+」 NVIDIA「GeForce RTX 3080 Founders Edition」 NVIDIA「GeForce RTX 3070 Founders Edition」 |
SSD | GIGABYTE「AORUS GP-ASM2NE6200TTTD」 (NVMe M.2 SSD、2TB) Western Digital「WDS100T2X0C」 (NVMe M.2 SSD、1TB) |
電源ユニット | Super Flower「Leadex Platinum 2000W」 (80PLUS PLATINUM、2000W) |
OS | Microsoft「Windows 10 Pro 64bit版」 (October 2020 Update) |
Fire Strikeで大勝するも、Port Royalでは……
では「3DMark」での力比べに入ろう。まずは定番のFire Strike~Time Spy Extremeまでのテストと、DXR対応GPUがそろったのでPort Royalも実行する。
驚くべきことにRadeon RX 6800 XTがRTX 3080 FEをFir StrikeやFire Strike Ultraで大幅に破りスコアートップに。RTX 3080のレビュー時には、Fire Strikeのスコアーが飽和しすぎて「もうハイエンドGPUの評価には適さないのではないか」と評した筆者の眼は節穴だったことも判明した。
CUDAコアモンスターであるRTX 30シリーズでFire Strikeのスコアーが伸び悩むのは、Ampereアーキテクチャーの設計的な問題だ。Radeon RX 6800 XTも6800もSAMの効果は確認できないので、Infinity Cacheがスコアーアップに貢献している可能性は極めて高い。
しかし、その一方で、Time Spy~Port RoyalまでのスコアーはRTX 3080 FEが優勢だ。特にPort Royalでは、RTX 3080 FEがRX 6800 XTに大差をつけて勝っている。この点からRadeon RX 6800 XTはDXRのパフォーマンスにおいては、まだRTX 30シリーズにおよばないことがわかる。
また、このベンチマークではSAMの効果は期待できるどころか、オフの時の方がスコアーが良い(ブレの範囲)ことすらある。SAMは必ずしも効くわけではないようだ。
その他のGPUに目を向けてみると、Radeon RX 6800はFire Strike系ではRTX 3070 FEを超えているが、Port Royalでは負けている。また、1世代前のRX 5700 XTから見るとRX 6800 XTは約1.5倍の性能、Radeon RX 6800だと1.35倍といったところか。
3DMarkにはこれ以外にもRadeon RX 6000シリーズの新要素を検証できるテストが存在する。その中からいくつか試してみよう。まずは直近で追加された「DirecX Raytracing feature test」だ。DXRを使ったレイトレーシングだが、レイを処理する性能にフォーカスしたものだ。結果はfpsで出るので、高fpsほどレイの処理が早いということになる。
ここでもRTX 30シリーズはRadeon RX 6000シリーズを圧倒している。RTX 3080 FEはRX 6800 XTよりもDXRのパフォーマンスは1.8倍程度。Radeon RX 6000シリーズのRAは出たばかりなのだから当然ともいえるが、RTX 30シリーズの全ての要素を超えたわけではないことは確認できた。また、このテストでもRadeon RX 6000シリーズのSAMはまったく効いてないことがうかがえる。
もう1つ「VRS feature test」も試してみよう。これは文字通りVRSのパフォーマンスを見るテストとなる。テストは2つあるが、桁が違いすぎて差が見えづらいのでグラフはわけている。
Tier 1とTier 2はVRSの機能を示すもので、Tier 1よりもTier 2の方がレンダリング時により細かい指定ができる。このグラフから読み取れるのは、Radeon RX 6000シリーズで使えるVRSはTier 2のみであり、そのパフォーマンスはRTX 30シリーズよりもやや劣る程度であるということと、ここでもSAMは効いてないということだ。