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消費電力の差はあるか?
続いては消費電力だが、まずはラトックシステム「REX-BTWATTCH1」を用い、シンプルにシステム全体の消費電力を測定する。システム起動10分後の安定値を“アイドル時”、3DMarkのTime Spyデモ再生中のピーク値を“高負荷時”としている。
TBP320WのRTX 3080 FEの消費電力が最も高いのは当然として、Radeon RX 6800 XTの高負荷時の消費電力は480Wを超えている。RTX 3080 FEのTBPが320W、Radeon RX 6800 XTのTBPは300Wなので、TBPの差が全体の消費電力差につながったといっていいだろう。
ただ今回Radeon系はアイドル時の消費電力がまったく下がらず、90W以上を示していた(瞬間的に60W台の数値が見えたこともあるが、極めてまれ)。この原因はRadeonにあるのか、RadeonのβドライバーやSAMを使うためのβBIOSであるのかまでは不明だが、今回見る限りでは、アイドル時の省電力性能はあまり良くないといえる。
とはいえ、このグラフにおける高負荷時の値は瞬間的なピーク値であるため、NVIDIA製の計測ツール「PCAT」を使って各ビデオカードのTBPを正確に計測してみた。3DMarkの“Time Spy Stress Test”を5分間回し、その際のTBPを記録したのが下のグラフだ。
ここでもRTX 3080 FEのTBPが高いことには疑いの余地はない。2番手にRadeon RX 6800 XT、3番手にはRadeon RX 6800、最後にRTX 3070 FEと続く。消費電力のブレが一番少ないのはRadeon RX 6800である点も興味深い。この区間の値を集計したのが次のグラフだ。
こうしてみると各GPUの公称TBPがほぼそのまま平均に表れていることがわかる。ただしRadeon RX 6800 XTもRadeon 6800も、平均TBPは公称TBPよりも5W程度下だった。Radeon RX 6800 XTはRTX 3080 FEより平均約25W消費電力が低く、Radeon RX 6800はRTX 3070 FEよりも平均約34W消費電力が低いということだ。
「Rainbow Six Siege」ではSAMがなくても勝てる
では実ゲーム検証に入ろう。まずは「Rainbow Six Siege」で試す。APIはVulkanとし、画質は“最高”、さらにレンダースケール100%設定を加えている。ゲーム内ベンチマーク機能を利用して計測した。
今回DirectX 11でも試したが、Vulkanの方がRX 6000シリーズにおいても明確に速いため、Vulkanでの計測となった。
まずRadeon RX 6800 XTだが、RTX 3080 FEに対しおよそ5%上のフレームレートを出しトップに輝いた。ここではSAMがしっかり仕事をしているが、Radeon RX 6800 XTでは2~5%しか伸びないのに対し、Radeon RX 6800では17~22%伸びている。
上位GPUでは伸びしろが少ないというよりも、Rainbow Six Siegeの描画負荷が軽すぎるため、Radeon RX 6800 XTには何かがボトルネックになってしまったことを示している。