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【AMDチップセットマザーボードレビュー第28回】

Ryzen 5000シリーズに合わせた最新設計で次世代の備えも十分なASRock「X570 PG Velocita」(1/2)

文● 石川ひさよし 編集● AMD HEROES編集部

製品名:X570 PG Velocita
メーカー:ASRock
実売価格:3万5000円前後

ASRockから「X570 PG Velocita」が登場した。AMD X570チップセット搭載マザーボードが最初に登場したのは2019年夏のこと。そのAMD X570はRyzen 5000シリーズが登場した今も最上位チップセットであるが、1年の間にトレンドも変化してきた。X570 PG Velocitaは、現在のトレンドに沿って開発されたAMD X570マザーボードだ。

「X570 PG Velocita」の主なスペック
対応ソケット Socket AM4
チップセット AMD X570
フォームファクター ATX
メモリースロット DDR4×4(最大128GB)
対応メモリークロック DDR4-5000+(OC)~3466(OC)、DDR4-3200~2133
拡張スロット PCI Express 4.0 x16×2(x16/x4)、PCI Express 4.0 x1×3
ストレージインターフェース SATA 3(6Gbps)×8、M.2(PCIe 4.0×4)×1、M.2(PCIe 4.0×4/SATA)×1
ネットワーク 2.5Gb LAN(Killer E3100G)、Wi-Fi 6(Killer AX1650x)
サウンド 7.1ch HDオーディオ(Realtek ALC1220)
リアインターフェース USB3.2 Gen 2 Type-A×1、USB3.2 Gen 2 Type-C×1、USB3.2 Gen 1 Type-A×6、DisplayPort×1、HDMI×1、S/PDIF×1、オーディオ端子×5、BIOS FlashBack×1
M/B上インターフェース RGB LEDヘッダー×2、アドレサブルLEDヘッダー×2、USB 3.2 Gen 2 Type-Cヘッダー×1、USB 3.2 Gen 1 Type-Aヘッダー×2、USB 2.0ヘッダー×2、Thunderbolt AICコネクタなど

「PG Velocita」は、AMD B550チップセット搭載マザーボードの「B550 PG Velocita」から登場したシリーズだ。

今回のX570 PG Velocitaは、AMD X570としては初めてのVelocita。最新のAMD X570マザーボードであるため、Ryzen 5000シリーズやRadeon RX 6000シリーズと組み合わせた際に「AMD Smart Access Memory」(SAM)が利用できることもメリットと言える。

ほかのモデルとの大きな違いはネットワークかもしれない。X570 PG Velocitaは2.5GbEとWi-Fi 6に対応しており、どちらもKiller NICを採用している。たとえば、X570 PG Velocitaに近いスペックの製品と言えば、X570 Phantom Gaming Xが挙げられるが、こちらはRealtek製2.5GbE+Intel製Wi-Fi 6だ。

X570 PG Velocitaでは両方ともKiller NICなので、有線と無線のネットワークを束ねるKiller DoubleShot Proが利用できる。もちろん2.5GbEハブやWi-Fi 6対応ルーターなどネットワーク機器側の対応も必要ではあるが、有線が2.5Gbps、無線が2.4Gbps、Killer DoubleShot Proではそれを超える理論値4.9Gbpsが実現できる。

有線LANに2.5GbE対応のKiller E3100Gを搭載

無線LANにWi-Fi 6対応のKiller AX1650xを搭載

Wi-Fi 6対応ネットワーク機器は製品が増えており、とくにスマートフォンなどで採用されたことから普及し始めたと言えるだろう。一方、2.5GbE対応機器は、既存の1GbE機器と比べれば高価だが、コンシューマーでも手が届く価格の製品が出始めてきた。高速ネットワークは当面、Wi-Fi 6&2.5GbEということになるだろう。

10GbEと比べてしまうとWi-Fi 6や2.5GbEではもの足りないかもしれないが、その点でX570 PG VelocitaにはKiller DoubleShot Proがある。10GbEのほぼ半分の帯域とはいえ、比較的現実的な価格で高速なネットワークを実現できるわけだ。

引き続きインターフェースつながりでUSBに目を向けてみよう。X570 PG VelocitaではUSB 3.2 Gen 2が合わせて3ポート利用できる。内訳は、リアにType-A/C各1、フロントにType-C×1だ。USB 3.2 Gen 2は10Gbps。最近では高速タイプのUSB外付けSSDで採用例が増えている。

一体型バックパネルにはWi-Fi 6アンテナやUSB 3.2 Gen 2 Type-A/C、2.5GbEなどを搭載。このバックパネルのプレート部分は上下左右に微調整できるタイプで、ケースの精度の影響を受けにくい

フロントUSB Type-CはGen 1止まりのものも多いが、本製品はGen 2対応

また、X570 PG Velocitaは、Thunderbolt AICコネクタを搭載している。これはX570 PG VelocitaがThunderboltを搭載しているというわけではなく、Thunderboltアドオンカードを追加搭載する際に必要になるインターフェースだ。Thunderbolt 3の帯域は40Gbpsで、USB 3.2 Gen 2を大幅に上回る。そして間もなく登場するだろう次世代USB4規格(40Gbps)のベースでもある。このコネクタの搭載理由について、現在はThunderboltが必須のクリエイター用途などになるが、次世代インターフェースへの備えという点でもポイントになるだろう。

Thunderbolt AICカードを搭載する際に必要になるヘッダーを搭載している

ストレージは、Serial ATA 3.0が8基、M.2はCPU直結がPCI Express x4専用で1基、チップセット接続がPCI Express x4/Serial ATA 3.0対応で1基。M.2が合計2つというのは少ないようにも感じるが、2スロットであれば拡張スロットなどとの排他関係はないようだ(ただしThunderbolt AICカード搭載時は、チップセット側M.2スロットでSerial ATA 3.0が利用不可となる)。

Serial ATA 3.0はチップセット仕様の上限である8ポート

M.2スロットにはともにヒートシンクが備わっている。PCI Express x16 #1の上のM.2スロットはシルバー、PCI Express x16 #2の下のM.2スロットはブラックのヒートシンクで判別つけやすい。また、ヒートシンクの着脱は前後の2つのネジで行なう。とくに下側のM.2スロットもチップセットヒートシンクと一体型ではないため、個別に取り外せてメンテナンス性はまずまずだ。

2基のM.2スロットはともに最大2280サイズまで。凹凸を設けて表面積を拡大したヒートシンクを組み合わせている

拡張スロットはPCI Express 4.0 x16×2(x16/x4)およびPCI Express 4.0 x1×3だ。PCI Express x16スロットの本数としては少なく感じるかもしれない。この構成を見れば分かるとおり、NVIDIA SLIには対応していない。

もっとも、現在ではNVIDIA SLIもエンスージアスト向けGPUでのみ利用できる機能であり、一時期ほど一般的ではなくなった。そうなるとThreadripperのような、エンスージアスト向けのx16レーンをフルで2本搭載するシステム向けという方向になるだろう。AMD X570マザーボードがカバーする領域ではなくなったとも言える。

一方、AMD CrossFireには対応しているし、マルチディスプレイ用途としてもう1本ビデオカードを搭載することは可能になっている。そして#2はx4帯域なのでThunderbolt 3 AICカードを搭載するといった選択もできる。

拡張スロットはPCI Express x16×2(うち1本はx4レーン)、PCI Express x1×3とシンプル

右下には電源/リセットボタンとPOSTコード用LCDパネルを搭載している

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