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DX11系ではRTX 3090 FEに圧勝するも……
そろそろ検証を始めよう。まずは「3DMark」の定番テストによるスコアー比較だ。
前回RX 6800 XTとRTX 3080 FEを比較した時は、Fire StrikeなどのDirectX 11ベースのテストではRX 6800 XTが上回ったが、今回も全く同傾向となった。ただ、今回はRTX 3090 FEに対するRX 6900 XTの優位性はだいぶ小さくなっている。Fire Strikeなら誤差程度、Fire Strike UltraでRTX 3090 FEの約4%上でしかない(RX 6800 XTレビュー時はそれぞれ約6%と10%)。Rageモードでさらに1~2%上乗せできるが、それでも大きく引き離せるわけではない。RX 6800 XTレビュー時のようなインパクトには欠ける。
一方、Time Spy系ではRTX 3090 FEが勝利しているが、これもRX 6800 XTレビュー時と同傾向。さらにPort Royalになると、RX 6900 XTはRTX 3090 FEに圧倒的な差を付けられてしまう。GPUが同格なら、RTX 30シリーズよりもレイトレーシング系の処理に弱いのはRX 6000シリーズ共通の特徴といっていいだろう。
ではここで消費電力を比較する。ラトックシステム「REX-BTWATTCH1」を使用し、システム全体の消費電力を測定した。システム起動10分後の安定値を“アイドル時”、3DMarkのTime Spyデモ再生中のピーク値を“高負荷時”としている。
TGP350WのRTX 3090 FEが頭1つ以上抜け550Wに迫っているが、RX 6900 XTは定格時で約492W。若干誤差はあるがRTX 3090 FEとRX 6900 XTのBoard Power(TGP)の差が50Wなので、GPUの電力設計の差がほぼそのまま消費電力の差になっていることがわかる。
また、今回RX 6900 XTでRageモードを利用した際、アイドル時の消費電力が著しく上昇した。ただRX 6800 XT初レビューの時もアイドル時の消費電力増が確認でき、後にBIOS更新で下がったため、今回も検証で使用したマザーボードのBIOSとの摺り合わせの問題ではないかと推測される。
システム全体の消費電力を見たところで、ビデオカード単体の消費電力(TBP:Total Board Power)はどの程度か、NVIDIAの「PCAT」を利用して正確な値をチェックしよう。3DMarkの“Time Spy Stress Test”を10分回し、その際のTBPの変動を記録した。さらにその間の最小値/平均値/最大値も比較する。
まずRX 6800 XTとRX 6900 XTのTBPはどちらも300W前後で、スペック表のBoard Powerの値とほぼ一致する。同じ負荷をかけた時のTBPの出方は微妙にRX 6800 XTの方が低いが、ほぼ誤差レベルといえるだろう。どちらのGPUも瞬間的に350~360Wまで到達することはあるが、これはRTX 3090 FEのTBPのやや下となる。
そしてRageモードを利用すると、RX 6900 XT定格時よりも約22W増えており、これもシステム全体の消費電力の増加分と一致する。瞬間最大TBPは381Wなので、Rageモードを利用しても電源ユニットに優しい設計といえるだろう。ただ、このクラスのGPUを買うのに電源ユニットの出力をケチる人はそういないと考えれば、消費電力で悩むよりもDXRを使うゲームでの性能を重視するか、ラスタライゼーションベースのゲームにおける性能を重視するかで考えた方が精神衛生上良いのではないか。
続いて3DMarkの「DirectX Raytracing featrure Test」でレイトレーシング処理のパフォーマンスを、「VRS feature test」でRDNA2世代から対応したVRS(Variable Rate Shading)のパフォーマンスをそれぞれ比較する。
RDNA2におけるRA(Ray Accelerator)はCU1基につきRA1基なので、単純計算でRX 6900 XTのDXRパフォーマンスはRX 6800 XTの11%上になると推測される(72CU→80CUで11%増)。そして、DirectX Raytracing feature testにおけるフレームレートの増分も約11%。計算通りのパフォーマンス向上が確認できた。だがそれでも、RTX 3090 FEのDXRパフォーマンスに比べるとようやく半分より上になったに過ぎない。RX 6000シリーズのRAはまだまだ改善の余地があるようだ。
VRSに関してもRTX 3090 FEの方が良いフレームレートを叩き出せている。つまり、RX 6000シリーズはRDNA2で新たに実装された機能に関してはRTX 30シリーズよりも劣る傾向にあるが、逆に従来から存在する機能に関しては強い、というところだろうか。