AMDのCPUであるRyzenシリーズは、メモリーの動作クロックの対応幅が広く、内蔵GPUの描画にメインメモリーを使うRyzen APUほどではないが、PCパフォーマンスへの影響は確実にある。
“このメモリーを使ったら、まあ驚くほど体感速度が大幅に向上しますよ”とか、テレビショッピングのようなことは言わないが、メモリークロック(データ転送レート)がDDR4-2666とDDR4-3200ではマシンの処理性能に若干の違いが出る。
実際にメモリーを変えてCPUベンチマークの「CINEBENCH R23」(Multi Core)でRyzen 9 5900Xの性能を測ると、”DDR4-2666 CL20-19-19″が”20751pts”のところ、”DDR4-3200 CL16ー18ー18ではスコアが”20955pts”まで伸びている。当然、動画エンコード時間や、3Dベンチマークにも影響し、処理時間の短縮や、フレーレートが向上に繋がる。
メモリークロックでの違いによるパフォーマンス差は巻末に記載するが、Intel Coreプロセッサーを降したと言っても過言ではなく、Ryzen 5000シリーズでPC自作を組む、搭載BTO PCを選ぶ(カスタマイズ)うえで、メモリークロックが見逃せないポイントなのは間違いない。
メモリーは価格重視でDDR4ー2400やDDR4-2666を選ばず、DDR4ー3200とDDR4-3600から選択するのが正解で、PCパーツショップのメモリーラインアップも、DDR4ー3200が最も豊富になっており、ヒートスプレッダーのデザインや、RGB LEDの有無など、自分好みの製品を選べるようになっている。
高速なオーバークロックメモリーの落とし穴
そんなイチオシかつ、売れ筋のDDR4ー3000クラスのメモリーだが、大事なポイントとしてBIOSによるメモリークロックなどの設定が必要になるという点だ。3200MHzネイティブメモリーチップを採用する製品では、ポン付けでメモリー規格を制定するJEDEC準拠のDDR4-3200 CL22-22-22といった設定で認識されるのだが、DDR4-2133や、DDR4-2400といったメモリーチップをオーバークロックして、DDR4-3200などに対応させたオーバークロック(OC)メモリーでは、自身でBIOSの設定が必要になっている。で、実際店頭に並んでいるDDR4-3200やDDR4-3600メモリーの大多数が、設定必須なOCメモリーになる訳だ。
ちなみに、この設定不要なネイティブDDR4-3200メモリーだが、確実に3200MHzで動作するが、CASレイテンシーをはじめとしたメモリータイミングはCL22-22-22と遅めになる。なお、同じDDR4-3200のメモリータイミング違いの比較も巻末で試している。