CPUの冷却に簡易水冷クーラーを利用しているユーザーは多いと思うが、GPUで使用する人は少ない。GPUやカードごとに形状が異なることから、なかなかGPU用の簡易水冷クーラーが登場していないことが主な要因だろう。
そんな中、ASUSから簡易水冷クーラーを採用したグラフィックスカード「ROG-STRIX-LC-RX6800XT-O16G-GAMING」(以下、STRIX-LC-RX6800XT-GAMING)がリリースされた。製品名からも分かるとおり、GPUには「Radeon RX 6800 XT」を採用し、ASUSがゲーマーおよびハイエンド向けに展開するROGブランドに属する製品だ。では、このSTRIX-LC-RX6800XT-GAMINGはどのようなカードなのか、詳しく見ていきたい。
ブーストクロックは2360MHzを実現
簡易水冷クーラー搭載ながらもまとまった印象
まずは、STRIX-LC-RX6800XT-GAMINGの動作クロック設定から触れていこう。STRIX-LC-RX6800XT-GAMINGのゲームクロックは2110MHz、ブーストクロックは2360MHzと、リファレンス比で前者は95MHz、後者は110MHz引き上げられたクロックアップモデルである。なお、メモリクロックは16Gbpsで、こちらはリファレンスから変わりはない。
さらに、付属アプリケーションの「GPU TweakⅡ」(Version 2.2.8.3)を使って、「OC mode」「Gaming mode」「Silent mode」の3つの動作モードを選択可能だ。工場出荷時設定はGaming modeで、その動作クロック設定は前述のとおり。OC modeに変更するとブーストクロックが20MHz上昇し、Power Target(電力目標)も106%に向上する。一方のSilent modeでは、逆にブーストクロックが20MHz低下し、Power Targetが94%へと変更される。なお、どの動作モードでもメモリクロックに変化はなかった。
また、GPU TweakⅡではオーバークロックの設定も用意されており、「GPU Clock」という項目では、1MHzきざみでブーストクロックを2181~2627MHzに変更可能なほか、GPUのコア電圧も1mVきざみで881~1150mVに調節できる。さらに、メモリクロックを1MHzきざみで3850~4150MHz(実クロック)に指定できる。
そして、STRIX-LC-RX6800XT-GAMINGでは、パフォーマンス重視のPモードと省電力重視のQモードの2つのVBIOSを搭載している。工場出荷時設定はPモードで、これをQモードに変更してみたのだが、動作クロック設定に差異は確認できなかった。ただ、従来のQモードと同じであれば、ファンの回転制御方法が静音重視に変更され、Power Targetが抑えられて消費電力が低減するのだろう。